蒼穹のぺうげおっと

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巌窟王 第3幕 感想

2004-10-20 23:30:33 | 巌窟王
嵐を伴って地上に降り立つ巌窟王ことモンテ・クリスト伯、そしてこの感想を書いている今、外は超大型の台風が接近していた。

第1幕、第2幕のカーニバルの喧騒とはうって変わり、静かな緊張感につつまれた第3幕。
モンテ・クリスト伯の目的は「復讐」にあるのですが、今回その対象と原因、またその手段についての伏線がかなり仕込まれていたと感じました。

■巌窟王とは
原作は読んだことないのですが、確か親友に裏切られ流刑となり岩の洞窟に幽閉されたことから巌窟王と名付けられ、その原因となった親友に復讐をしていく物語であると記憶しています。
今作の巌窟王 モンテ・クリスト伯もアルベールの両親と深く関わっており、惑星を放浪することになった原因を作っているのではないかと思われます。

■復讐の対象とは
アルベールの父親がモンテ・クリスト伯とアルベールの母親を巡っていろいろあったことは想像に難くありません。
そしてその結果として宇宙に放り出されることになったということも。
そのモンテ・クリスト伯が考える復讐とは?
最もつらい復讐とは?
それは最愛の人を奪われることではないか?
モンテ・クリスト伯が最も愛したのがアルベールの母親であるとするならば、奪った者の今最も愛するものを奪うこと、つまりアルベールを復讐の対象にすることでしょう。

■その方法とは
アルベールから大事なものを少しずつ奪っていく。そんな気がします。
今週アルベールの友人が紹介されたのも、その中にある微妙なゆがみを突いて友人関係を壊して行く、そんな布石に感じられました。
すでにそのゆがみは散りばめられていて、ヴァランティーヌとマクシミリアンの関係性や、ドプレーの人を見下す態度など少しつつけばこの均衡はいつでも崩せる、そんな感じ。

また、パリとそれ以外の世界を完全に隔離している点、これすらも復讐のツールというかバックグラウンドとして利用されそうな勢いです。

■その中でポイントとは
やはりアルベールとフランツの友情関係だと思います。
最もアルベールの心を崩しやすく、またその関係性も崩しやすいのですが、恐らく最終的にはこの二人の関係性こそがモンテ・クリスト伯にとって最大の脅威になる、そう思えた今回。

■ペッポは
作中狂言回しの役割か、意外と面白い役どころで使われるのではないかと。
つか、そうだと面白いな(男だけど)。

2Dテクスチャリングにも慣れてきて、この静かな緊張感、雰囲気の中で、復讐、嫉妬、不安、愛憎、信頼、こんな言葉が頭の中でぐるぐる回る、この巌窟王という作品はかなり僕の好みになりそうです。
#またこのショパンの別れの曲をアレンジしたようなオープニングと、2Dテクスチャリングの嵐で酔いそうなエンディングがまた秀逸。かなり好きかも。

『ガンパレード・マーチ 5121小隊 九州撤退戦 下』

2004-10-20 12:00:00 | 小説 感想
ラスト50ページ、絶望的な戦況の中で5121小隊の面々が見せる最後まで生き抜こうとする戦いを、僕は目に一杯の涙をためて読んだ。
傷付いた兵士たちが戦いの最中、最後まで残る士魂号に皆でガンパレード・マーチを唱和するシーンでは電車内にも関わらず、涙が溢れるかと思うほどに。
僕はこの「榊ガンパレ」大好きです。

■このブログを読んでい頂いている方の中で、
ガンパレのゲームはやったという方はいるかもしれませんが、ガンパレの小説を読んでいる方はいらっしゃるのでしょうか。
#少なくとも僕は僕を除いて一人しか知りません。
#しかも僕はゲームもやっていない、小説だけ読んだ超少数派だと思います。

だけど僕は書きたいと思います。
「どこかのだれかの未来のために」
#もこのネタ使ったな・・・。

■熊本城決戦の緊張感を
超えるエピソードがこの先あるのだろうか、そう思っていた僕はこの考えを改めました。
今回、この九州撤退戦(下)は最初から最後までまったく気が抜けませんでした。
時間刻みで推移していく戦場は、誰も彼もが必死に戦っていて、臨場感たっぷりでちょっとした脇役キャラでさえ、そのひたむきな姿に心を打たれる思いでした。

■今回はオールキャスト
これまで小説版で生き残ってきたキャラは全員参加です。
紅陵女子アルファ小隊(モコス隊)しかり、堅田女子戦車隊、もちろん島村百翼長も出ますし、なんとあの人(達)まで登場します。
『決戦前夜』『熊本城決戦』だけでなく『エピソードONE』『エピソードTWO』も読んでから本巻を読むことをお勧めしますよ~。

■やっぱり門司港でしょう
今回は撤退戦というだけあって、主戦場が熊本から福岡に移ります。
最後の脱出港は門司港になるのですが、自分に縁のある土地なんで(かなりリアルに)情景を思い浮かべながら読んでました。
#知っている土地だけに市街戦はゾッとします。
だからこそ、この土地から皆生き延びて脱出してくれ~、そんな思いで読んでいました。

■もはや
言うことはありません。満足の出来です。
テーマ性や社会風刺性というのは無い本作品ですが、それでも絶望的な状況の中で各キャラたちがひたむきに生き残ろうとする姿、それが本作品の魅力に他ならないのかなと。
ガンパレのゲーム構成はプレイヤー次第でどのようにもなると聞いています。
だからみんながそれぞれのガンパレ世界観を持っているのかもしれません。
そんな中、ゲームをやったことはありませんが、僕はこの「榊ガンパレ」大好きです。

プレステをもし買ったなら、たぶん一番最初にガンパレを買うと思います。
#それまで売っていればの話ですが。