蒼穹のぺうげおっと

-PEUGEOT in the AZURE- マンガ・小説・アニメの感想を書き流すファフナーとエウレカ好きのサイトです

KURAU 第16話 感想

2004-10-22 21:15:54 | アニメ 感想
それは切な過ぎるよ・・・。
存在することを諦めたその淵から、互いを必要とする存在に巡り逢い、生きる意味を初めて知る。
しかしその刹那、互いを想うが故に、助けたいがためにやっと巡り逢えた「対」は消失してしまう。
そんなイヴォンに果たしてどんなテーマを背負わせていくのか・・・。

■存在することを
諦めたイヴォンが生きていたという描写と、生きること、独りでいることを諦めたジェシカが出会う冒頭のシーンは、これは二人に対して救いの道を描くのか、それはそれで観て見たい、と思わせるに十分な演出でした。
二人とも存在する意義を見失っていたところに、互いに必要とされる存在を得たことによって、再生していくプロセスを描いて欲しい、そんな思いでした。

■僕はもともと
このKURAUという作品のテーマは「家族、親愛なる者への思慕」だと思っていて、その表現のひとつとして「憧憬」「寂しさ」が随所に散りばめられているんだと思っています。
しかし、第13話以降この表現に加えて「別れ」という表現も同じように散りばめられていて、今回のイヴォンとジェシカのストーリーは残念ながら「別れ」を描くシーンとなってしまいました。
しかし、これは今までの「別れ」とは異なっていて、大切な相手を守るための「別れ」だったと解釈したいです。

■だからそこ
ジェシカの想いを胸にイヴォンがこれからどんなテーマを背負うのか、そしてこのイヴォンとジェシカの「別れ」がクラウとクリスマスにどう影響していくのか、これからも静かに見守りたいと思うのです。

イヴォンとジェシカの再生のプロセス、これがほんとに見たかったから、余計今回のエンディングが切ない・・・。
僕はもともと涙腺が弱いのですが、このKURAUを見るときはいつも涙目になってしまうのでした。

#KURAUのオープニングもエンディングも非常に好きなのですが、挿入歌もけっこう沁みるんです。
#サントラ買おうかな・・・。

太公望にみる小説(コミック)比較

2004-10-22 02:07:00 | 小説 感想
宮城谷昌光さんが『三国志』を出版されるということ、最近藤崎竜さんの『WaqWaq(ワークワーク)』が面白くなってきたということで、それに関連してちょっと本を思い出しまして、今日はお勧め?本の比較をしてみたいと思います。

■宮城谷昌光『太公望(上・中・下)』(小説)
太公望というと「釣り好き」の人を指すのが一般的ですが、中国の歴史に興味がある方だと有名な故事から「世俗を離れた老人」のイメージ、ジャンプを読んでいる方だと桃好きのおとぼけ仙人?というイメージでしょうか。
本書で描かれる太公望とは、そんなイメージとは全く違う、復讐というバックグラウンドを持ちつつも、どこかひたむきさを忘れない青年として描かれています(上・中・下で年代のステージは変わりますが、私の印象はずっと青年の印象でした)。

宮城谷昌光の描く歴史世界はどこかロマンティックというか、理想を追うひたむきさを描く感じなので他の歴史小説とはちょっと雰囲気が違います。だからこそお勧めというのはあるんですけど。
ただ歴史小説としては私は一級品だと思っていて、多くの歴史小説がそうであるようにこの人も膨大な量の資料を客観的に分析されていて、その上で宮城谷ワールドを展開しています。

登場人物の熱く真摯な思いが交錯し、中華史上でも有数の戦いである「牧野の戦い」に至るプロセスはかなり熱いです。
#ラストシーンは個人的にかなり好き。
歴史小説としてこれはひとつお勧めです。

■藤崎竜『封神演義』(コミック)
現在ジャンプで『WaqWaq(ワークワーク)』を執筆中の藤崎先生を世に広めることになったこの『封神演義』。
こちらは同じ太公望でも上記の太公望とはかなり違います。
何せ彼は仙人ですからね。人間ではありません。そして登場人物も殆どが仙人です。
「演義もの」なんで、史実ではなく御伽噺(おとぎばなし)として描かれるこの物語、宝貝(パオペイ)と呼ばれる不思議な力を秘めた武器を手に、中華統一を巡って仙人たちが戦いを繰り広げるいわゆる壮大な能力者バトルマンガです。

主人公である太公望は原作では掴み所の無いというか、ぱっとしない感じなんですが、このマンガでは前述の宮城谷太公望にぐうたら感を足して2で割ったような不思議な性格をしていて、物語全体としてはかなり中盤まではある程度原作に忠実に描かれて(いたと思)います(キャラクターの描写は別ね、ストーリー展開の方です)。

物語終盤、姐己(だっき)と女か(じょか:漢字が出ない・・・)が本性を現してくるあたりはもう藤崎ワールド全開だったのですが、何故か最終回の記憶がない私・・・。
今度漫画喫茶に行って確認してきます。
バトルエンターテイメント作品としてお勧めです。

■安能務/訳『封神演義(上・中・下)』(小説)
いろいろと『封神演義』の訳本は出ていると思うのですが、僕が読んだのは安能務版でした。
こっちの太公望は一般的な故事で登場する太公望らしく老人のイメージで描かれています(だからぱっとしない)。
それを補って余りあるのが登場人物数、なんと400人以上。
しかもほとんどが捨てキャラという大胆さ。

他の訳本は未読なんで単純比較は難しいですが、藤崎竜版『封神演義』は何となくこれをベースにした感じがします。
なんと言っても宝貝は乱れ飛ぶは、大殺戮だし、何かもうあきれるくらいにやりすぎな感じがするもんですから。

で本音を言うと、上・中・下構成は長かった・・・。
中盤からは仙人・人間・神入り乱れて「宝貝が乱れ飛び大殺戮」の繰り返しに突入するんで、そこで飽きちゃいました。
もし『封神演義』にご興味があれば、1巻に纏まったものを読まれた方がいいかなと個人的に思ったりします(でも他を読んでないから勧めようがないのですが)。

■読む順番としては
もし、藤崎版『封神演義』を読んだことがある人には、次は宮城谷版『太公望』を読むことをお勧めします。
全く違うストーリーだと捉えて欲しいのですが、藤崎版の主人公である太公望は宮城谷版太公望にスタンスが近い気がするので(あんなにぐうたらしてませんけどね)。
史実はこうで、その上で御伽噺はこうだったのか、そんな発見ができると思います。

もし、宮城谷版『太公望』を読んだことがある人には、次は藤崎版『封神演義』をお勧めします。
御伽噺版としてはかなり高レベルエンターテイメントになっているので、楽しめると思いますよ。
でも漫画はちょっとって言う人には無理にお勧めはしません。
全23巻(だったかな)なので、長いですから。

話の種に読むには原作って感じでしょうか。
上記3種類の太公望を読んだことがない、という人は逆にこれから始めると面白いかもしれません。
次に藤崎版を読むと絶対面白いと思いますね。
で、最後に宮城谷版を読んで、なるほど~、って感じになるのが宜しいかと。

こんな感じで比較してみましたが、いかがでしたでしょうか。
僕は今ジャンプで連載している藤崎竜先生の『WaqWaq(ワークワーク)』が好きです(無関係コメント)。

また本の紹介とかできたらやって行きたいと思います。
では~。