5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

あらま、オバマ!

2008-11-05 22:54:51 |  経済・政治・国際

バラク・オバマが44代のアメリカ大統領に選ばれた。

NBCの大統領戦開票速報を、朝から昼過ぎまでしっかり見てしまった。PCに映るストリーミング実況は、各地で興奮度が上昇していくのをしっかりと映し出している。なにせ、アメリカの歴史始まって以来最初の黒人(アフリカ系といわないと駄目なのか)大統領の誕生なのだ。

5番街・ロックフェラープラザのスケートリンクは今日一日、NBCの選挙プラザとして貸切。スケーターのいない氷面は大きなスクリーンとなって、アメリカ選挙地図が映し出される。

保守の地盤である中西部と南部から開票が始まったせいか、始めのうちは赤色のマケインがリードしていたが、その後の東部諸州は軒並み青色のオバマ票に塗られ、両候補ともに重点州として直前までキャンペーンに力をいれたペンシルバニアやオハイオまで青色に変わる。

本来なら黒人嫌いで保守のマケインに向かったはずのオハイオやペンシルバニアの白人層からもオバマに票が流れたということは、急激な経済不振で、ジョブカットやレイオフに怯える彼らの心理がそうさせたわけだろう。

出口調査では投票した60%以上が「経済問題」を選択の条件にしたというから、「リセッションを長引かせず、どうやって脱出するか」が新大統領の第一の仕事になるわけだ。

難しい「経済」のほかにも「ヘルスケア」や「Gods,Guns and Gays」といった、もっぱら内向きのアジェンダが山済みであれば、民主党多数の議会に呼応しながら舵取りを始める新大統領が向かう方向はおのずとわかろうというものである。

米企業保護が目的の各種規制法案もつぎつぎと議会に上がるかもしれず、能天気なブッシュのやり方とは間違いなく変わってくるはず。麻生政府も、新ホワイトハウスへの対応を怠ることがあってはなるまい。

テキサスの赤色の横、ニューメキシコに青色が点るようになると、当初からの予想どおりオバマの勢いが停まらなくなった。大票田の西海岸がすべてオバマに靡き、得票が300票を超えたあと、しばらくしてマケインのコンセッション・スピーチが始まる。恨み節も少しはあったが、シニアらしいなかなかに格好のよい敗退宣言である。

TV映像に、夜のホワイトハウスが浮かび上がる。「アメリカ史上最低」と呼ばれそうなブッシュ現大統領は、いったい何を思いながら過ごしているのだろう。

ゲストコメンテーターが入れ替わり登場するが、デービッド・パターソンニューヨーク州知事に注目。彼も黒人しかも盲目である。コンドリーザ・ライス現国務長官や、コリン・パウエル前国務長官もアフリカ系であれば、マイノリティ出身の政治家というものが、すでに珍しくはなく、「もう一歩先」を望む機運は、オバマの登場を後押ししたことは間違いはない。

長期間にわたる草の根運動の成果もあって、事前投票者も含めた投票率が大きく伸びたというのも、変革を叫び続けるオバマに期待したアメリカ人が増えていったこと。特に学生たち若者や非白人のマイノリティたちの積極さが注目されるというのもゲストコメントであった。

今日のハイライト。夜もふけたシカゴのグラントパークに集まった大観衆を前に行われたオバマの勝利宣言もなかなかに聞き応えあるもの。選挙戦での上ずった調子は消え、しっかりしたレトリック、且つソフトなアジテーションは皆をあらためて虜にしてしまったようである。

最後に気になったこと。

NBCのWEBストリーミングの広告が、「鯨戦争」と題した「アニマルプラネット」のTV番組の告知広告になっていたこと。これが日本の捕鯨非難の番組だということはすぐ判る。

「日本は過去何十年にもわたって南氷洋で違法な捕鯨を繰り返してきた」というナレーションを何度も聞くことになって、「新大統領選出のタイミングで、早くも日本バッシングが始まった感じだ」とイヤな気分にされた。「アニマルプラネット」は暴力的な反対行為で問題の多い「シーシェパード」の支援団体ではないか。これは、NBCの意地悪か、それとも単なる偶然か?


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