5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

パルテノン大理石像

2008-02-05 21:26:28 |  文化・芸術
VOAのIPOD番組で、世界の歴史的文化財の所有・返還・維持について最近の動きを説明している。(VOA Special English 2008/1/29)

大英博物館には古代ギリシャ・パルテノン神殿から巧みに持ち出してロンドンに運んだ大理石像が収められているが、ギリシャ政府はこれら歴史遺品の返還を求めて長い間キャンペーンを行って来た。1980年代から始まって(当時の文化大臣は歌手のメリナ・メルクーリ)今も続いている国家的キャンペーンだが、最近、アテネに新しいアクロポリス博物館を建設、ロンドンの本物の替わりにプラスターの模造品を置いて、これをキャンペーンのシンボルにしているようだ。イギリスに正当性の有無は云わせんという訳だが、イギリスとギリシャの意見は食い違ったままらしい。老練な大英帝国、敵もさるものである。

文化財の返還要求に熱心なのはイタリアも同様で、これもアメリカの博物館との間で地道な交渉の結果、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ポールゲティ美術館などは、貴重なローマ美術の返還に応じる動きを始めているらしい。ペルーのマチュピチュ遺跡からの発掘品コレクションで知られるイェール大学もペルーとの交渉で、インカの遺品をもどすことになったようだ。

このように、近頃では文化財保護法などが各国で整備され、その保護や返還に対する考え方が替わり始めているようだ。"Winner takes all"とばかりに、戦争のどさくさにまぎれて合法非合法に敗戦国から持ち出した文化財はきっと各所にた~くさんあるのだろう。

おりしも、名古屋のボストン美術館ではボストン帰りの浮世絵の名品展が開催されている。アメリカの東海岸には、明らかに戦後日本から持ち出されたすばらしい美術品の数々を持ち、「東洋美術」を専門にするような美術館も多いのはたしかだ。ここらで、海外に非合法に散逸した我国の美術品のありかを調べて、所有権の正統性をアピールすることがあってもよかろう。文化政策には案外冷淡な我が国だが、文化財保護についてギリシャやイタリアに学ぶことはたくさんありそうだ。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿