6月25日は、38度線を超えて北朝鮮の戦車と兵隊が南へ侵攻した日。朝鮮戦争の開戦記念日である。今年は60年目のアニバーサリーだという。
BBCのグローバルニュースでは、「未だに終わらぬ戦争のレガシー」として短くレポートしている。興味深いのは、戦争当時のBBCのTVニュースの素材を見せてくれたこと。当時はラジオだけだと思っていたのだが、すでにイギリスではTV放送がスタートしていたということだ。NHKの試験放送が始まったのが1970年だから、まさしく大英帝国と敗戦弱小国の違いというわけか。
国連軍対共産軍の対立ということで、参戦が20ケ国以上になった朝鮮戦争だが、互いの攻防はすざましく、前線がめまぐるしく変化し、首都ソウルは最初の一年で4度も奪回が繰り返されたという。当時のBBC放送は、押しては返す中国兵の人海戦術を「ハシコイ中国兵ら」と切り捨てている。
3年続いた戦闘では400万近くが死に、そのうちの半分が一般市民だったというが、結局、戦争は休戦状態のままで凍結、休戦ラインは開戦時点とほとんど変わっていない。60年が経って、韓国は世界の経済パワーの一部にまでなった一方で、北朝鮮はその体制をほとんど変えずに来てしまった。
BBCは、第二次大戦とヴェトナム戦争のあいだにあって、世界から次第に忘れられてゆく「朝鮮戦争」だが、このアニバーサリーを機会に、朝鮮半島の現状を世界が改めて考えることが必要だと結んでいる。
そのアニバーサリーだが、今日の聯合ニュースは「朝鮮戦争開戦から60年、中央記念式典を開催」という見出しで、政府(国家報勲処)が主管する記念式をソウルで開催し、韓国政府高官をはじめ、朝鮮戦争有功者、国連軍参戦兵、参戦21ケ国の駐韓外交団、参戦国メディア、学生、市民など5000人が出席したと報道している。
「世界の人々に朝鮮戦争を思い出してもらいたい」として、式典に海外から参加する年老いた国連軍参戦兵たちの参加費用の一部を韓国政府が(積極的に)負担したのだという。高齢をおして歴史の証言者たちの多くが再び集まることには大きな歴史的意味があると大統領は判断したのだろう。
その李大統領だが、記念式典の挨拶では「北朝鮮は無謀な軍事挑発をやめ、7000万民族がともにいきる道を進まねばならない」、「韓国の究極の目標は平和的統一。天安艦事件については過ちを認めて謝罪し、国際社会の前で責任ある姿勢を示すべき」だと発言し、さらに「平和と繁栄が続く中で、韓国民は戦争を忘れたのではないか」と、安保の重要性を改めて強調したと云う。
「仇敵」に対して無頓着、無関心が増えたといわれる児童層への教育が必要だとする韓国政府の姿勢をBBCは紹介しているが、中日新聞(6月24日)の国際欄にも「韓国の成人6割が北朝鮮は敵」というコラムが載っている。
これは、韓国行政安全省が19歳以上の成人と中高生各1000人に対して行った「国民安保意識世論調査」についてのもの。
その結果、北朝鮮を「警戒や敵対の対象」と答えた成人は60.9%で、前年比22ポイントと大幅な増加を見せたが、3月の哨戒艇沈没事件が影響しているのは間違いない。中高生で「警戒・敵対の対象」と答えたのは41.5%で成人より低い。
逆に、北朝鮮は「競争協力対象」と回答した成人は35.4%とあって、中高生の回答率は書かれていない。若しこれが、成人よりも高いということだと、「仇敵に対して寛容な子供たち」という年齢層傾向が読み取れるはずだ。
振り返って我が国の場合、23日は沖縄戦で犠牲になった20万の戦没者の「慰霊の日」として、沖縄全戦没者追悼式が糸満で開催された。こちらは、沖縄戦の終結65年目にあたるわけだ。
沖縄戦にせよ、朝鮮戦争にせよ、時の流れとともに戦争・戦闘を経験した者はひとりまたひとりと亡くなって、戦争への「国民の危機意識」の風化はもはや止めようもない。
小学校で先生が「また戦争が起きるとしたらどんな時だと思いますか?」ときいたところ、手を上げた児童が「みんなが戦争を忘れた時」と答えたという。これは、数日前のツイッターで見つけた「慰霊の日」によせるツイートである。
BBCのグローバルニュースでは、「未だに終わらぬ戦争のレガシー」として短くレポートしている。興味深いのは、戦争当時のBBCのTVニュースの素材を見せてくれたこと。当時はラジオだけだと思っていたのだが、すでにイギリスではTV放送がスタートしていたということだ。NHKの試験放送が始まったのが1970年だから、まさしく大英帝国と敗戦弱小国の違いというわけか。
国連軍対共産軍の対立ということで、参戦が20ケ国以上になった朝鮮戦争だが、互いの攻防はすざましく、前線がめまぐるしく変化し、首都ソウルは最初の一年で4度も奪回が繰り返されたという。当時のBBC放送は、押しては返す中国兵の人海戦術を「ハシコイ中国兵ら」と切り捨てている。
3年続いた戦闘では400万近くが死に、そのうちの半分が一般市民だったというが、結局、戦争は休戦状態のままで凍結、休戦ラインは開戦時点とほとんど変わっていない。60年が経って、韓国は世界の経済パワーの一部にまでなった一方で、北朝鮮はその体制をほとんど変えずに来てしまった。
BBCは、第二次大戦とヴェトナム戦争のあいだにあって、世界から次第に忘れられてゆく「朝鮮戦争」だが、このアニバーサリーを機会に、朝鮮半島の現状を世界が改めて考えることが必要だと結んでいる。
そのアニバーサリーだが、今日の聯合ニュースは「朝鮮戦争開戦から60年、中央記念式典を開催」という見出しで、政府(国家報勲処)が主管する記念式をソウルで開催し、韓国政府高官をはじめ、朝鮮戦争有功者、国連軍参戦兵、参戦21ケ国の駐韓外交団、参戦国メディア、学生、市民など5000人が出席したと報道している。
「世界の人々に朝鮮戦争を思い出してもらいたい」として、式典に海外から参加する年老いた国連軍参戦兵たちの参加費用の一部を韓国政府が(積極的に)負担したのだという。高齢をおして歴史の証言者たちの多くが再び集まることには大きな歴史的意味があると大統領は判断したのだろう。
その李大統領だが、記念式典の挨拶では「北朝鮮は無謀な軍事挑発をやめ、7000万民族がともにいきる道を進まねばならない」、「韓国の究極の目標は平和的統一。天安艦事件については過ちを認めて謝罪し、国際社会の前で責任ある姿勢を示すべき」だと発言し、さらに「平和と繁栄が続く中で、韓国民は戦争を忘れたのではないか」と、安保の重要性を改めて強調したと云う。
「仇敵」に対して無頓着、無関心が増えたといわれる児童層への教育が必要だとする韓国政府の姿勢をBBCは紹介しているが、中日新聞(6月24日)の国際欄にも「韓国の成人6割が北朝鮮は敵」というコラムが載っている。
これは、韓国行政安全省が19歳以上の成人と中高生各1000人に対して行った「国民安保意識世論調査」についてのもの。
その結果、北朝鮮を「警戒や敵対の対象」と答えた成人は60.9%で、前年比22ポイントと大幅な増加を見せたが、3月の哨戒艇沈没事件が影響しているのは間違いない。中高生で「警戒・敵対の対象」と答えたのは41.5%で成人より低い。
逆に、北朝鮮は「競争協力対象」と回答した成人は35.4%とあって、中高生の回答率は書かれていない。若しこれが、成人よりも高いということだと、「仇敵に対して寛容な子供たち」という年齢層傾向が読み取れるはずだ。
振り返って我が国の場合、23日は沖縄戦で犠牲になった20万の戦没者の「慰霊の日」として、沖縄全戦没者追悼式が糸満で開催された。こちらは、沖縄戦の終結65年目にあたるわけだ。
沖縄戦にせよ、朝鮮戦争にせよ、時の流れとともに戦争・戦闘を経験した者はひとりまたひとりと亡くなって、戦争への「国民の危機意識」の風化はもはや止めようもない。
小学校で先生が「また戦争が起きるとしたらどんな時だと思いますか?」ときいたところ、手を上げた児童が「みんなが戦争を忘れた時」と答えたという。これは、数日前のツイッターで見つけた「慰霊の日」によせるツイートである。
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