5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

イチロー贔屓

2015-01-30 22:42:22 | スポーツ
Yahooニュースを見ていて眼に留まったのが「イチロー真意誤訳で伝わらず」という見出し。

どういうことだろうと思ってリンクをクリックすると出てきたのが「『応援は乞わない、応援される選手であり続けるよう努める』誤訳で伝わっていない、イチローの真意」。こっちが実際の見出しらしい。

これは「ベースボールチャンネル」の配信記事だが、筆者の指摘はこうだ。

「会見でイチローは「応援してくださいという気は無い、応援してもらえる選手であり続けたい」と語ったはずだが、〔MLB.com〕に転載された訳文は"Please keep rooting for me wherever I'm playing." he said."I will continue to work hard 〔to be〕a player that you would want to root for."となっている。これではイチローの真意が伝わっていないように感じる。」

たしかに、訳文の前半は「どのチームでプレイしようと応援して欲しい。」という英訳だから、イチローの発言とは違っている。だが、読者に誤解を与えるような致命的な悪訳だというわけでもないと思う。

反対に「応援してくださいという気は無い」という日本語を文字通り英語に直訳したとすれば、いかにも傲慢で無礼なニュアンスが表面に出てしまいそうだ。

いくら直裁な表現を好むアメリカ人とは言え、野球ファンに失礼な物言いをして、その感情を引っ掻いてしまったのでは、新フランチャイズでの人気の出方にはマイナスにしかならない。

イチローの言葉の前半は「応援してもらえる選手であり続けたい」という後半を強調するためにあるのだから、誰が担当したのかは知らぬが〔MLB.com〕の意訳は、そこら辺りを巧みに読んだやり方だと思えるのだ。

ひょっとすると、通訳者の直訳をレビューしてわざと書き直してプリントさせたのかもしれないが、イチローの真意は過不足無く伝わっている。

これはマーリンズ入団の記者会見での話だ。前シーズンの成績は低迷し球団経営としても難しい局面にあるマーリンズ側にとって、イチローはチームの人気挽回、起死回生への期待の星になるかもしれない。

だから、フランチャイズのあるマイアミではなく、わざわざ東京までイチロー本人と球団首脳3人がやってくるという極めて例外的な「スペシャルプレゼンテーション」だったのだ。

「公式インタビューは母国語の日本語でしかやらない」というのが、すでに一種のトレードマークのようになっているイチロー。〔MLB.com〕は、マーリンズ移籍が報道された後で「野球殿堂入りが決まったらスピーチはもちろん英語でするのかね?」というジョークインタビュー映像を載せている程だ。

「マーリンズのユニフォームで3000本安打の記録を上げてほしい」という期待的伏線があってのことだろう。マリナーズで長年あれだけ好成績を上げながらトレード先のヤンキーズではチャンスが与えられず、宝の持ち腐れになったことを残念に思っているような〔MLB.com〕の記事。イチローはシアワセな人気者なのだ。

"Please keep rooting for me wherever I'm playing."

という意訳が〔MLB.com〕のイチロー贔屓をしっかりと明示している。何処に行こうとイチローはイチローなのだから。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿