5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ラの字も知らず

2019-10-21 21:52:58 | スポーツ

〈ラグビーのラの字も知らず歓喜する〉

中日の「時事川柳」に選ばれた一句だそうだ。今日の「夕歩道」が紹介している。

RWCの日本対南ア戦は、実況もビデオも見ていない。ストレスが昂じて心臓に悪いということが判っているからだ。昨夕の序盤戦結果が3対5だというツイートを読んで密かに安心したのだが、結果は至極残念な結末になった。ベスト4には残れなかったということだ。

「桜戦士8強はれやか」というリードで、中日夕刊は記者会見を行った日本代表選手たちの様子をレポートしている。「チームの成長を感じる。ベストエイトはすごく嬉しい」と語ったキャプテン、リ-チ・マイケルの顔は笑ってはいなかった。

彼の心中を思いながらこのブログを書きだしたのだが、NHKニュースは台風20号が温帯低気圧に変わったと報じている。進む方向が1週間前に東日本一円に大きな被害を出した19号と似ていそうなのが気になる。これから深夜にかけて大雨の予想がでているから、心配な夜を過ごす人たちも多いことだろう。

どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいかりんも吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう

宮沢賢治の〈風の又三郎〉の書き出し。故郷花巻の山野を吹き荒れる暴風の様子だ。「雨ニモマケズ風ニモマケズ」と頑張っても、今回の19号は岩手にも大きく影響を与えたようだ。

「ヒデリかヒドリか」という〈大波小波〉コラムも「雨ニモマケズ」の詩に関するものだった。その一節にある「ヒデリノトキハナミダヲナガシ」が、賢治の遺した手帳には「ヒドリ」と書かれていたことで、解釈が二分されているのだという。

ヒドリは賢治の誤記だとして「ヒデリが正しい」のだという説が一般的だというが、「ヒドリ」説も依然として存在しており、このコラムを書いたジョバンニ氏は「農民が凶作で日雇い人夫になるというヒドリ」説だというが、そう聞いて「なるほどな」と思った。

山折哲雄と綱沢満昭による新刊〈ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治〉もヒドリ説を採るようだが、賢治の文学は、宗教や方言、東北の古層にある縄文まで多層的に読め、さらに、詩の後に続く経典の題目や菩薩の名前も読むべしという論旨だという。宗教学者と賢治研究者ならではの考察ということか。

詩に続く経典の題目や菩薩の名というのがこれだ。

南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩

野分の吹く夜、賢治はこの念仏を唱えながら頑張っていたのかもしれない。彼はラグビーのことなど少しも知らなかっただろう。




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