「新生産システム」という言葉を知っているだろうか。
林業界では、いまや流行り言葉である。ようは林野庁の新しい企画(補助策)なのだが、これが時ならぬ活況を生み出している。シンクタンクの某氏に言わせれば、「林業バブルがやってきた」状態だそう。補助金がジャブジャブつぎ込まれるので、ウハウハの人々がいるらしい。
実は、その前に「新流通システム」というものもあった。こちらは平成14年度から林野庁が打ち出したもので、大雑把に言えば、売れないB材を集成材や合板などに加工すべく新たな国産材の流通を促したのである。おかけで大規模製材工場などが乗り出し、結果的に、木材自給率を嵩上げすることに成功した。
そこで次が、「新生産システム」。今度はA材対策だ、というわけで、林野庁がシステムモデル地区を11地域指定して、またもや大手製材所やハウスメーカーを中心に号令をかけているのである。
正直言って、中身はわからない。何をどう変えようとしているのか。集成材のように目に見える加工や需要がない。ただ、森林組合などを見捨てて、大手企業に期待しているように見える。
まあ、それは正解だろう。これまであった幾多の補助制度も、森林組合を相手にすることで単なる失業対策?のようになり、なんの構造改革も行われなかったのだから。すでに大手の連携によって効率化と流通短絡化は進み始めたから、かなり木材流通の風通しはよくなる気がする。ただし、その陰で中小はバタバタ消えていくかもしれない。
大手が量を牽引し、中小および覚醒した森林組合などが新たなニッチの需要を探し出すのが理想である。
そのように考えると、中小向きのニッチな需要こそ起業のチャンスかもしれないな、と思うのである。ただ本当に「林業バブル」なら、私にも多少のおこぼれが来てもよいと思うのだが、全然ないのが悲しい(-.-)。