うさぎとリザード [DVD] | |
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チャン・ヒョク氏とソン・ユリさん主演の作品。
チャ・テヒョン氏がヒョク氏の友人役で出てますが、これはもう二人芝居と言って良い作品ですね。
タクシー運転手のウンソル=チャン・ヒョク氏。心臓が時々止まってしまうと言う原因不明の病で苦しんでいます。
両親を亡くし、祖母との二人暮らしでしたが、その祖母も認知症で施設に入院しています。
何時死ぬか判らない中で、昔の友人に近況を聞く電話をしたり、身の周りのモノを整理し始めています。
ある日、空港で客待ちをしていた時、突然、苦しくなってしゃがみこんでしまうのです。
そこに通りかかったのがメイ=ソン・ユリさん。
メイは、幼いころアメリカに養子に出され、23年が過ぎた今、両親や自分の記憶を取り戻すために韓国に来たところでした。
ウンソルは、通りかかったメイの腕を掴んでしまうのです。
それは、偶然。・・・でも、運命かもしれません。
それが切っ掛けで、ウンソルのタクシーに乗ってソウル市内に行ったメイ。
控えた住所を頼りに行った先に住んでいたのは、両親ではなく、叔母。
叔母の話から、自分を養子に出したのは叔母で、両親は交通事故で亡くなってしまっていると言うことが判りました。自分も、その事故に遭ったのだけれど、記憶が無いんですね、メイは。
メイが知りたかった事が、もうひとつ。
自分の背中にリザード、トカゲに似た痣があるのは何故か・・・ということ。
叔母からその理由を聞き出すことは出来ませんでした。
家に居るよう叔母に言われたのですが、メイはそのまま叔母の家を出てしまいます。
アメリカの養子先で、メイは寂しい思いをしながら育ったようです。自分の誕生日すら覚えてもらえてない…と言う事が判りましたしね。
街をさまよっている時、またも偶然ウンソルと出会います。
彼に紹介された宿は、安いモーテル。そして、彼の家の前にありました。
そんなこんなの偶然が重なり、メイは“肩のリザードの理由”を、ウンソルは“赤いうさぎ”を探している事を話しあいます。
メイは叔母から、父が勤めていたある駅の事を聞きだしました。そこに、自分もしばらく住んでいた・・・と。
ウンソルに送ってもらったんだけど、建物を見ても、何も思い出せません。
夜、近くの宿に泊まった二人。
そこで、ウンソルはメイのカバンの中の書類から、彼女の本名を知ります。本名・・・忘れちゃいました
それを見た時、ウンソルは“忘れてしまいたい記憶”が甦って来たのです。
幼いころ、両親とバスに乗っていたウンソル。
前の席には、両親と一緒の幼い女の子が居ました。その女の子の名前が、まさに、メイの本名だったのです。
そして、その時、メイ達の座席の下に置かれていた籠に、一匹のウサギが居るのを見つけたウンソル。
「これは何?」
と聞くウンソルに、メイのお母さんが言いました。
「娘の誕生日のプレゼントなの。」
そんな長閑な時間。でも、次の瞬間、バスが道路から坂の下に転げ落ちる大事故が
何が起こったのか判らないけれど、ウンソルの目に飛び込んできたのは、血に染まったウサギ…真っ赤なウサギだったのです。
そして、その事故でメイは肩に怪我を負ったのでしょう。
そんな事情を思い出したウンソル。
でも、メイにはきちんと話しませんでした。
・・・いや、話すのかな?
ゆったりと静かな二人の時間が流れて行く作品です。
死を待つしかないウンソルだけど、とても人に優しく、穏やかに過ごしています。
メイは、絶望感や孤独を感じさせるまなざしから、ウンソルと過ごすうちに少しずつですが柔らかな眼に変わってきています。
荒々しさを感じさせる役が印象的なチャン・ヒョク氏ですが、これはちょっと違う雰囲気ですね。
ソン・ユリさんは、これが映画初出演だとか。歌手から女優転向時は、演技力不足のレッテルを貼られてたらしいですが、この作品は、成長が感じさせられるモノだと思います。