大阪城での四季のうつろい

相棒や友人たちとの日々の行動を記録するため、2005年(平成17年)リタイア後ブログをはじめました。

怖い絵展

2017年09月09日 | 催事
朝晩はめっきりと涼しさの増した昨日、「怖い絵展」を鑑賞に相棒と共に兵庫県立美術館へ。
阪神岩屋駅下車、国道2号線手前の敏馬神社(何と読むのか気になり)へ立ち寄り。

敏馬(みぬめ)神社
奈良時代の摂津風土記に、神功皇后が朝鮮出兵に先立ち占ったところ能勢の美奴売(みぬめ)山の神のお告げで舟を美奴売山の杉の木を造って出兵したところ大勝利を収められ、この地に美奴売山の神を祀られた。との記述から推測すると、201年の創建となる。
また、平安時代編纂の延喜式にも「生田・長田・敏馬」と記載あり市内最古の神社の一つ。

祭神は、素戔嗚尊・天照皇大神・熊野座大神の三柱。

大和・奈良時代、都人が九州・朝鮮へ行く際の最初の泊りがこの地であったことから、敏馬の泊としてよく知られ万葉集に敏馬を詠んだ歌が9首もあり、大和以外でこんなに多く読まれているのは珍しい。
柿本人麻呂の歌「玉藻かる 敏馬をすぎて 夏草の 野島の埼に 舟ちかづきぬ」(境内に碑あり・冒頭写真右)
現在判っている歌だけでも60数首あるそうです。

立派な神殿にお参りを済ませて美術館へ。
美術館の上にはカエル、裏には巨大な女の子の像。
まず美術館内のレストランで昼食、その後別室にて学芸員の解説を聴いてから入場。

来場者はそんなに多くないだろうとの思いに反し各絵の前には行列ができていました。
私達も解説のあった絵や興味深そうなタイトルの絵には並んで鑑賞。
全てに解説文が添えられていたことや本展覧会の特別監修を担当された中野京子氏(「怖い絵」作者・ドイツ文学者)の解説文もあったことは各絵の見所などが大変見やすく判りやすかったのは良かったです。

特に、本展の目玉の「レディー ジェーン グレイの処刑」(ポール ドラローシュ作)は、夏目漱石の「倫敦塔」の中に記述があり読んだ時にはさぁーと読み流していましたが、今回解説を聴いたりしてよく理解でき、ジェーンが処刑される寸前に同じく処刑される夫と共に「正しき神の国に、正しき道を踏んでいこう、と云い終わって落つるが如く首を臺の上に投げかける」や処刑後を想像し「余の洋袴の膝に二三点の血が迸しると思ったら、凡ての光景が忽然と消え失せた」との記述を読み返し漱石の感受性や想像力の豊かさが感じられました。
(漱石はナショナルギャラリーにてこの絵を見たあと「倫敦塔」を著作)

また、処刑時ジェーンは黒い服であったが作者によって白い(相棒の表現を借りれば真珠のような美しい白)服に変えて描かれたことも、作者の意図する16歳で在位9日間のジェーンの清純さや自己の潔白さが表現されていて、さすがプロの画家と思わせました。
と同時に処刑後、飛んだ首と首の無い白い胴体が横たわり、断頭台の周りに敷かれた藁に血が浸み込んでいく場面を想像するだけで「ゾォー」とした寒気を覚えます。

マリー・アントワネットの肖像画も、この後断頭台に露と消える運命が待っている、と思ってみると可哀そうと思うと共に恐怖も覚えました。
約80点の作品が並べられた本展では、想像により様々な恐怖を感じる場面があることが判り面白かったです。
9月18日まで開催中、東京では10月7日から上野の森美術館にて開催されるようです。


コメント
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