朝の散歩時、国道九号線から県道に入るため、いつも信号機のある場所を渡っている。そこに佇み、月曜日の朝に限り、決まって交通指導をしておられる男性がある。顔を見知っている人で、幾度か会話したこともあるが、そう親しいわけでもない。こういう人間関係は、どういう言葉で表せばいいのだろう?
知人というほど親しくもない。姓も知っているし、奥さんも子供も知っているが、親疎の度合いを尋ねられれば、疎の部類に入るだろう。
出会えば必ず挨拶はする。
最近、散歩のスタートが遅れがちである。潔く家を飛び出すことができない状態が続いている。多少、体が大儀がっているようだ。体の疲れか、精神のだれか、よく分からない。
今朝も、かなり遅いスタートとなった。
交通指導をされる男性は、小中学生の登校時間帯に合わせて、信号機の傍に立たれるようだ。
今朝、私が信号機に近づいたとき、その男性は仕事を打ち切り、引き上げられるところだった。私の、そこへの到着が、かなり遅かったことになる。
国道を横切る距離だけ遅れて、私は、その人の後ろをついて歩いた。内心、住まいはどこなのだろう? と思いながら。
交通指導員の帰り着かれたところは、驚いたことに、私が前々から関心を持って眺めていた豪邸であった。
ああ、そうだったのかと思いながら、玄関を入ることなく、庭におられたT氏に挨拶をした。
「ここが、お住まいなのですね」
と言った後、前日、横庭に咲く水仙の写真を、無断で撮らせていただいたことを詫びた。
「いくらでも見てやってください。花が喜ぶと思いますから」
そう言いつつ、傍の水仙を指して、
「こちらにも、植えていますよ」
と、言われた。
菰を着て、大事に育てられている牡丹が数本あり、その傍らに、水仙はあった。
花冠が純白、副花冠がクリーム色。これも初めて見る水仙のように思え、カメラに収めた。(写真)
今朝は、豪邸の主、T氏がおられたので、安心してお庭を見せてもらった。
歴史を刻んだお庭である。古木も多く、灯篭や小さな社なども、配置よく置かれていた。次第に、こうした由緒ありげなお庭が少なくなってきている。それだけに珍しい。
菰を着た牡丹は、沢山の蕾をつけている。花の季節が楽しみだ。