まだ外は薄暗い。寝ていられず起きて部屋の灯りをつける。
オバサンは今、病院のICUのベッドの上。もう目を覚ましただろうか。
慌ただしかった一昨日、日曜日の事が頭の中を駆け巡る。
「なんか変だな?」と、彼女の異変に気付いたのは朝食の後。
左手の動きが定まらないようでぎごちない。
言葉がはっきりしないし、受け答えに時間が掛かる。
疲れているのかな?と思ったが、それにしても尋常ではない。
その後、洗濯物を干しに二階に上った筈だが、時間が掛かり過ぎている。
不安になり様子を見に行くと、洗濯ばさみが上手く扱えていない。
挟んだつもりがボロボロと足元に落ちている。
顔つきも別人のように見えた。これはただ事ではない!
病院に行こうと言ったのだが「行かないわよ!」と頑なに拒否。
自分では大した事だとは思っていないらしい。
直ぐに近くの二男宅に電話、孫と嫁さんが飛んできた。
「お母さん病院に行きましょう」嫁さんと孫に言われてやっと承知。
だんなの言う事は聞けなくても、孫や嫁さんの前では素直なオバサン。
掛かり付けの病院に電話を入れたが、話し中で繋がらない。
「行った方が早いな」近くなので病院の受付まで足早に急いだ。
休日だが入り口は開いている。受付で事情を話して対応をお願いした。
明け方まで吹き荒れた台風19号の影響か、緊急外来が多くて混んでいるそうだ。
13時半に診察開始、当直の先生は脳外科の専門医だそうで実に幸運だった。
MRIの結果、15時30分から直ぐに手術が始まった。
カテーテルで広げると、また別の個所が詰まるの繰り返しだったと言う。
不安な気持ちで待つ時間は長く感じる。結局3時間ほど掛かった。