「おとうさーん、来て来て!」
階段下からオバサンの素っ頓狂な声。
あの声は只事じゃないな。
「どうした?」2階から駆け下りる夢さん。
「なんだよ、どうしたんだよ大きな声出して」
階段下からオバサンの素っ頓狂な声。
あの声は只事じゃないな。
「どうした?」2階から駆け下りる夢さん。
「なんだよ、どうしたんだよ大きな声出して」
「マリの顔が腫れちゃってるの」「えっ、どうして?」
見れば、なるほど鼻を中心にして、顔がかなり膨らんでいる。
「どうしたんだろな」
見れば、なるほど鼻を中心にして、顔がかなり膨らんでいる。
「どうしたんだろな」
「今ね、何か虫みたいなもの食べてたから、手で払い落としたのよ」
たまたま、デッキに出たオバサンが見つけたようだ。
「これはスズメバチだぞ」
噛み砕かれた堅い甲冑の部分と、黄色と赤の尻の部分が残っている。
渦を巻いた尻には不気味な針が付いたままだ。「こりゃまずいぞ」
頭の部分が無い。「喰っちゃったのか?」ますますまずいぞ。
興奮した声で先生に電話を掛けているオバサン。
「直ぐに連れて来なさいって」
アレルギーの有る犬は、症状が酷くなる場合があるらしい。
持って行ったスズメバチの残骸を見て先生曰く。
「おーぉ、ふっくらして美人になったね」
「こんなもの喰うから、膨らんじゃうし、金も掛かるんだぞ」
「スズメバチ食っちまうなんて、いい度胸してるな」
何時もながら、気さくな先生だったとオバサン。
注射をして薬を貰ってきたそうだ。やれやれこれで一安心。
さっきまで顔色が変わっていたオバサン。
今は先生の話を思い出しながら笑っている。