東京都立秋川高等学校は全寮制の学校であった。
よって自宅に帰ることを外泊という。
実際、高校在籍時の3年間の住民票登録は秋川市(現あきるの市)にあるのだ。
れっきとした秋川市民なのである。
外泊は月に2回申請することができる。
外泊で自宅に帰宅途中の出来事であった。
電車の中でなぜか自分の周囲だけ人と距離があるのだ。
これは、高校最寄駅の西秋留(現秋川駅)から乗った武蔵五日市線の中でも、乗り換えた青梅線や中央線、山の手線、京浜東北線の中でも変わりなかった。
何故だ?
その謎は帰宅した時に解けた。
ゆきたんく「ただいまぁ。」
父「おぉ、お帰り。ところでオマエ良いにおいをさせているなぁ(笑)」
ゆきたんく (なんのこっちゃ?)
訳のわからない親父だと思いながら、服を脱いだ時に「ハッ」とした。
覚えのあるにおい・・・
寮を出る時に、外泊届けに時刻を書き込むかなんかした記憶がある。
そう、舎監室に行く訳だ。
そのついでにやらされたことがある。
K澤先生という国語の面白い先生がいた。
K澤先生 「おい、〇〇〇、出かける前に仕事をやる。」
ゆきたんく「はい?」
K澤先生「これをガスレンジであぶってくれ」
素直なゆきたんくである。「はい、分かりました。」
そしてあぶったものをK澤先生に渡して寮を後にした。
父親が言った良いにおい・・・
父親は言った。「八丈島産のアオムロ(ムロアジ)のくさやの香りだ。」