「人の心のようだ」
その時、ゆきたんくはそう思った。
大乗仏教最大の遺構である、世界遺産ボロブドゥール。
最初に作られた部分の上に重ねるように現在の外壁がある。
そう、ロシアのマトリョーシカのように。
最初の作られた外壁を「隠れた墓壇」と呼ぶ。
ボロブドゥールの東南の一角はその「隠れた墓壇」を露出させてある。
隠れた墓壇
その墓壇に近づいてみる。
回廊にある彫刻と比べると、いかにも下界の人間らしい彫り物になっている。
「隠れた墓壇」の登場人物
この登場人物たちを称して「醜悪な顔」だという。
確かに良い表情とは言いがたい。
そしてそれを裏付けるのは
遺跡に唯一残る文字「カウイ文字」。これで゛「醜悪な顔」と読むそうだ。
一皮剝いたところに醜悪な顔。
「人の心のようだ」と言ったのにはそういう訳がある。
あれ、自分は性悪説を指示していなかったはずだが・・・