南座の「坂東玉三郎特別公演」でございます。7月に引き続き玉ちゃん
がご来洛くださいました。演目は「東海道四谷怪談」と「元禄花見踊」です。
玉ちゃん
の「四谷怪談」は京都では初めての上演となるそうです。昨年9月に歌舞伎座で孝玉コンビ
の「四谷怪談」を拝見しております。2回、それも奮発の一階席でございました。本当に素晴らしいお岩様と伊右衛門でございました
。今回は相手役が愛之助さんだし、“安定の”三階席でございます。
“舞台から遠くなると、感動も薄くなる”という法則(注:ワタシの法則です)のとおり、歌舞伎座の時のような、何とも言えない、心がえぐられ重苦しくなりながら、なぜかお岩様に心を寄せていくような、そんな心持ちにはちょっと遠かったような気がします。もちろん、玉ちゃん
のお岩様はperfectで、伊藤家からの血の道の薬を有難く押し頂いて飲むところや、それが毒薬とわかって、伊藤家へ乗り込もうと支度をするところ、本当にその時々のお岩様の感情が全身から迸っているようでした。頭の先からつま先まで何の迷いもなく、お岩様でした。髪漉きもお歯黒も、一瞬たりとも目が離せないし、独吟の「瑠璃の艶」も聞き応えがあって、いつまでもその場面を見ていたいと思いました。ただ、やっぱりお芝居は相手があってこそなので…。伊右衛門との絡みがもひとつ、こっちに響かなかったように思いました。
愛之助さんの伊右衛門は玉ちゃん
のご指名で、何年か前の南座の「四谷怪談」の時に監修された時に「合ってる」と思われたからだそうです。合わないってことはないのですが、お岩様が偉大すぎてバランスの問題なんでしょうかね。玉ちゃん
のご指導では「変に作らず、自然体で」って言われたそうなんですが、思いっきり作ってましたね。特に声が気になりました。いわゆる“ドスのきいた声”っていうんでしょうか、ずっと低くて太い声なんです。孝夫さん
もそういう声をされる時はありますが、もっと緩急があって、それこそ“七色の声”で演じられました。愛之助さんの野太い声を聞きながら「孝夫さん
だったら、こんな声よね~」って孝夫さん
の“七色の声”を思い浮かべていた失礼な客はワタシです。玉ちゃん
という高い高い高い(×10ぐらい?)壁に必死でよじ登ろうとしてるんだけど、ずり落ちてる、そんな感じでした。
それと、今回は「浪宅・伊藤家・浪宅」の場面だけで、何だか消化不良?みたいな感じもありました。「穏亡堀」をつけるとそれだけで公演が終わり、暗い気持ちで劇場を後にしないといけなくなるから、という玉ちゃん
のご配慮で「元禄花見踊」になったようなんですが…。
松之助さんの宅悦、歌女之丞さんのおまきは安心して見てられました。われらが吉太朗クンのお梅、お可愛らしくて大変結構でございました。絶対千ちゃんより上手だと思います。玉ちゃん
のご指導でいろいろお勉強されたようです。呑み込みが早い吉太朗クンなので、玉ちゃん
もご指導の甲斐があるというものです。
新派から雪之丞さんと緑郎さんがご参加でしたが、ちょっともったいないような使い方かなって思いました。演目が先に決まってたんでしょうかね。せっかく華のあるお二人なので、もうちょっとご活躍いただきたかったなと。それでいくと吉弥さんも「元禄花見踊」だけって、もったいないですよね。もっぱら裏で吉太朗クンのサポートをされていたようなんですが。
「元禄花見踊」は「明るく華やかに打ち出しを!」というコンセプトどおり、ご出演の皆様がそれぞれ見せ場があって、楽しいお舞台でした。愛之助さんはナンバー2ということで、ちょっと特別扱いになってました。今回の座組みって、皆さん歌舞伎のお家のお生まれではないんですよね。こういうのも玉ちゃん
のお心遣いなんでしょうか。
で、結局のところ「やっぱり、孝玉コンビ
を見ないとね~」って、いつもの結論に達しました。孝夫さん
、「お富さん」のリベンジを!っておっしゃっていたので、それをお待ちしております。

番附です。見応え、読み応えがありました。奥サン、「買い」です。

おやつは鍵善の鍵餅です。

玉ちゃん



“舞台から遠くなると、感動も薄くなる”という法則(注:ワタシの法則です)のとおり、歌舞伎座の時のような、何とも言えない、心がえぐられ重苦しくなりながら、なぜかお岩様に心を寄せていくような、そんな心持ちにはちょっと遠かったような気がします。もちろん、玉ちゃん

愛之助さんの伊右衛門は玉ちゃん






それと、今回は「浪宅・伊藤家・浪宅」の場面だけで、何だか消化不良?みたいな感じもありました。「穏亡堀」をつけるとそれだけで公演が終わり、暗い気持ちで劇場を後にしないといけなくなるから、という玉ちゃん

松之助さんの宅悦、歌女之丞さんのおまきは安心して見てられました。われらが吉太朗クンのお梅、お可愛らしくて大変結構でございました。絶対千ちゃんより上手だと思います。玉ちゃん


新派から雪之丞さんと緑郎さんがご参加でしたが、ちょっともったいないような使い方かなって思いました。演目が先に決まってたんでしょうかね。せっかく華のあるお二人なので、もうちょっとご活躍いただきたかったなと。それでいくと吉弥さんも「元禄花見踊」だけって、もったいないですよね。もっぱら裏で吉太朗クンのサポートをされていたようなんですが。
「元禄花見踊」は「明るく華やかに打ち出しを!」というコンセプトどおり、ご出演の皆様がそれぞれ見せ場があって、楽しいお舞台でした。愛之助さんはナンバー2ということで、ちょっと特別扱いになってました。今回の座組みって、皆さん歌舞伎のお家のお生まれではないんですよね。こういうのも玉ちゃん

で、結局のところ「やっぱり、孝玉コンビ



番附です。見応え、読み応えがありました。奥サン、「買い」です。

おやつは鍵善の鍵餅です。