おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

シネマ歌舞伎「怪談牡丹燈籠」

2020-09-13 22:08:09 | 観たもの
 シネマ歌舞伎の「月イチ歌舞伎」、今月は「怪談牡丹燈籠」でございます。たぶん、3回目か4回目になると思うのですが、なかなか歌舞伎にありつけない(←表現が下品で申し訳ございません。でも、これが正直な気持ち…)昨今ですので、行ってまいりました。シネマ歌舞伎っていつもガラガラという印象だったので、ネット予約もせずにいきなり映画館に行きましたが、そういう人が多いのか、10時開始で10分ぐらい前に着いたら、ラスト3席になっていて焦りました。もう少し遅かったら、せっかく言ったのに見られないところでした。ラスト3席ということで、お席は最前列になりました。本チャンの歌舞伎座で最前列ならばラッキーですが、映画館での最前列ってどうよ?と思いましたが、シネマ歌舞伎は割引料金一切なしというシステムのおかげで、プレミアムシアターのようなところで上映されるので、椅子がとてもよく、最前列でも全然大丈夫でした。ただ、この“椅子がいい”って曲者でして、すごく心地よく座っていられるので、いつしか“声はすれども姿は見えず”状態に引き込まれ、かんじんな個所を見逃すということになりかねません。実際に昨日も「見てないよなぁ」と思えるところいくつかありました。

 シネマ歌舞伎の「牡丹燈籠」は平成19年の歌舞伎座で上演されたものです。13年も前なんですね。孝玉コンビが主役の伴蔵・お峰夫婦のお役です。夫婦役者が夫婦を演じる、これほど素晴らしい配役はございません。前半の貧乏だった頃はお二人とも白塗りというよりは砥粉にお化粧です。どういうお化粧であれ「夫婦よね」という空気感はMAXでして、台詞の一言一言の間の絶妙なこと!軽妙なやりとりを見ながら、マスクの下はニタニタでした。

 後半は打って変わって大店の主人夫婦、お化粧も白塗り、衣装もパリッとしています。急にお金ができて、出世して、二人の間に微妙なズレみたいなものが出てきます。そのあたりのやり取りも、やっぱり絶妙な間で表していらっしゃいます。孝玉コンビならでは!ってところです。

 最後の伴蔵がお峰を手にかける場面、映画は顔の表情が大画面に映し出されるので、これまでも見ているとは思うのですが、最前列で見たおかげで、孝夫さんの演技をはっきりしっかりじっくり見ることができました。“歌舞伎界のお芝居上手いツートップ”の孝夫さん、ちょっと色悪のような、凄まじい鬼気迫るお芝居でした。映画を見ていると意識しながら、迫られてくるような怖さを感じました。それに対する玉ちゃんも何とも哀しいお峰でした。その直前まで、料亭で食事をして着物を買ってもらって、それこそルンルンで孝夫さんと花道を歩いていたのに、突然切りつけられます。歌舞伎ですので、殺める場面は一気にブスッではなく、舞踊のような殺陣がつけられており、ここでも夫婦役者孝玉コンビ、要所要所でピタッと決まります。凄惨な場面なんですが、美しいんです。「かさね」が入ってる?お二人の「かさね」を見たくなりました。

 シネマ歌舞伎は上映期間が短いのが玉に瑕、これも17日(木)までです。
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2 コメント

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13年・・・ (まるこ)
2020-09-14 13:58:30
もう、13年も経ちました?とても面白かったですね。
夫婦役者の孝玉コンビはもちろんですが、三津五郎さん、吉之丞さん、みなさん素晴らしかったです。
孝玉コンビの舞台が観たいです。・・・・
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月日が経つのは… (おとら)
2020-09-14 21:59:18
歌舞伎座の舞台の方は拝見してないのですが、最後に「2007年歌舞伎座」とクレジットが出てきて、あぁそんなに前のお舞台なんですね、と改めて思った次第です。

玉さまが中車さんを起用して歌舞伎座でこの「怪談牡丹燈籠」をかけられたのですが、つい2,3年前と思っていたら、それも5年も前のことで、月日が経つのは早いと思いました。

三津五郎さんも吉之丞さんもはまり役でした。
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