
改めまして「上方歌舞伎会」でございます。昨年は「第30回」ということで、節目で何かイベント事があるのかと思っていたらコロナで中止になり、今年はその“リベンジ”?と思っていたら、第30回は欠番?で第31回となっていました。コロナが何とかなってくれないうちは何も出来ないんですが、せっかくの記念の年がちょっともったいないような気がしました。
そのコロナの関係で今年は短縮バージョンで、お芝居と舞踊が1本ずつでした。配役は↑上のチラシの通りです。
お芝居の「引窓」は、拙ブログでも何度も書いている通り、われらが吉太朗クンがお早をお勤めになりました。十次兵衛は翫政さん、お幸は當史弥さん、長五郎は鴈大さんでした。皆さん、本当に上手くなられましたよね。ハラハラドキドキすることは一度もなく、普通に劇場でお芝居見てる、ってなってました。ワタシがこの上方歌舞伎会を初めて見たのは確か第20回でした。10年以上前です。役者さんたちは動きも台詞も何となくぎこちなくて、当時、ほとんど歌舞伎を見たことがないワタシでさえ「え、大丈夫なん?」と客席で心配しておりましたから。それが5、6年くらい前からでしょうか、上方歌舞伎塾の出身者から名題が出始めた頃からめきめき腕を上げられ、ご指導の秀太郎さんも孝夫さん
も最後のご挨拶で本当に嬉しそうにされていました。特に秀太郎さんは手塩にかけた「うちの子ら」なので、感激で目を真っ赤にしてご挨拶されてたんですよね…。
「引窓」のことですね。吉太朗クンはお早をタカタロさんにお習いになりました。だから時々タカタロさんを思わせるようなところもありましたが、完全に自分の手の内に入ってたように思います。ご自身の才能もあるだろし、これまでのお稽古の蓄積もあるだろうし、吉弥さんによれば、観察する力が凄いそうで、人のを見て吸収できる力もお持ちなんでしょうね。吉太朗クンがインスタに写真をupしていて、マシュマロ米吉クンが「おきれいです」ってコメントを入れてらしたのですが、大きな声では言えませんが、マシュマロ米吉クンよりわれらが吉太朗クンの方が絶対上手やと思います。まだ20歳ですからね。本当に楽しみです。松竹株式会社の制作の皆様、大阪にはこんなに上手い若手女形がいるんですよ~、ぜひ歌舞伎座でも使ってあげてください。お江戸のお客様もビックリされると思いますよ~。
翫政さんの十次兵衛、見る前は少し身長が足りないかと思っていましたが(失礼)、そこは演技力でカバー、立派な十次兵衛になってました。残念だったのは壱太郎さんがコロナでご覧になれなかったことです。ずいぶん前からご自身のTwitterで宣伝されていたので。お幸の當史弥さん、すっかり老け役になってしまって、おきれいな方なのでもう少しお若い役も、って思いますが、上方歌舞伎会のメンバーの中でお役を割り当てるとなると、こうなるんでしょうね。でも、ずっと老け役を勉強してこられたせいか、それはそれで身について、変に浮かない白髪のおばあさんになっていました。インスタか何かで見ましたが、ご本人もお若いけれどちょっと渋めで、「としママ」と呼ばれているみたいで、ご本人的にもしっくりきているのかもしれません。鴈大さんもこれまでは老け役専門?で、おじいさんのお役が多かったように思いますが、今回は長五郎、ご自分の年齢に近いお役だと思います。ひょろっとした体型だったようにイメージしてましたが、肉襦袢をつけてお顔も大きく見えるようにお化粧されていたので、ちゃんとお相撲さんになっていました。“義理と人情”の板挟みのなかで、それぞれを思いやる“情”をよく表現されていたと思います。これも大きな声では言えませんが、南座の花形メンバーとだったら、結構勝負できるんじゃないかなと思います。
舞踊は「慣彩舞七以呂波(まねていろどるななついろは)」です。「慣ちょっと七化(みなろうてちょっとななばけ)」という七変化の所作事を今回の上演に合わせてまとめた長唄舞踊です。三代目中村歌右衛門が一人で七役を踊ったそうですが、それを七つのパートに分けて7組の役者さんが踊られました。上演時間は50分だったので、1パートあたり6~7分、わりと短めですが、舞踊が苦手なワタシにはそれがちょうどよく、次から次へと役者さんや長唄が変わるので、飽きずに見ることができました。
まず千壽さんが傾城のお役で登場、阿古屋のような感じでした。頭もおそらく10キロぐらいあるような飾り物がじゃらじゃらと挿してありました。お衣装も、阿古屋ならば確か30キロぐらいあると聞いているので、かなり重そうでした。確か「助六」の時に並び傾城で後ろに控えてらしたことがあるので、こういういでたちも初めてではないと思うのですが、じっと座っているのと踊るのではやっぱり違います。こちらもこういう傾城のお衣装を見ると、つい玉ちゃん
のことが思い浮かび、歌舞伎界の立女形と比較するなんて非常に酷なことだとは思いながら、やっぱり玉ちゃん
とは違うって思ってしまった失礼な客はワタシです。富士山と生駒山を比べているようなもので申し訳ないのですが…。決め決めの足の位置がスッと決まらなくて、どうも微妙にずれているみたいで、ほんの少しのそっと動くんです。扇の扱いも何となくぎこちなくて、「落とさはったらどうしよう…」ってこちらが思ってしまうような、そういう気持ちが伝わってきました。もう少し軽い衣装の舞踊ならばそういうこともなく、完璧に踊られたと思うのですが。今さらながら「玉ちゃん
の舞踊ってすごいんやねぇ~」と思いました。最高レベルの舞踊を見せていただいているんですよね。
千太郎クンと愛三朗クンの「越後獅子」、キビキビと気持ちよく踊っていらっしゃいました。千太郎クンが一気に大人びてきて、愛三朗クンと同い年ぐらいと思っていたら、愛三朗クンのほうが3歳年上でした。お二人ともイマドキのお子様なので、顔が小さくて手足が長い体形でした。
千次郎さんの「座頭」は安心して見られました。舞台全体をわが物にされてる感がありました。6月の歌舞伎座の「桜文章」の時に、幕開き10分間、舞台番として歌舞伎座の大きな舞台を一人で仕切ったっていうのが大きいのかなぁと勝手に思っていました。それは「橋弁慶」で夜鷹を務められた折之助さんにも感じました。昨年「みよし屋一門会」で「鏡獅子」を一人で踊られたので、そういうのが自信となって踊りにも現れるような気がしました(決して“天狗”になってるってことではありません)。
7組の踊りが終わると、もう一度全員舞台に揃ってフィナーレのような演出になっていて、それも良かったです。山村のご宗家が振り付けをされたのですが、それぞれのニンに合うように配役とか振りとかつけられたのでしょうか。楽しい舞踊でした。
そして、最後は指導者ご挨拶です。幕が上がると、上手側に孝夫さん
、真ん中に我當さん、そのお隣に山村のご宗家が並んでいらっしゃって、その後ろにタカタロさん、がんじろはん、吉弥さんが並んでいらっしゃいました。孝夫さん
が口火を切られたのですが、「いつもなら、兄の秀太郎が」で詰まってしまわれました。それだけでお客さんの涙腺崩壊です。本当は禁止なんですが「松嶋屋っ!」って大向うがかかり、なんとか持ち直し進行をお勤めになりました。続いて我當さん、少々口許が不自由そうでしたが、松嶋屋のご長男としてご挨拶されました。「弟、秀太郎さんが亡くなり、今年は開催できるか心配したけれど、孝夫がよくやってくれて…」ということをおっしゃったときは、またまた涙腺崩壊です。山村のご宗家はしんみりさせてはいけないと思われたのか、「二十数年前、この子らを初めて指導した時は、手も足も出ないとはこういうことかと思ったけれど、二十数年経ってちゃんと手も足も出た」とユーモアを交えてご挨拶されました。孝夫さん
、この後上方歌舞伎塾のことをお話されようとしたのですが、秀太郎さんのことを口にするとおつらいようで、「あかん、もうこの話やめとこ」って切り上げられました。本当に仲の良いご兄弟だったんですね。これまでだと出演者の紹介もあったのですが、時節柄時間は短めにということで、この後「大阪締め」でお開きとなりました。
先日も書きましたが、コロナの患者数が毎日記録更新で、吉村知事が「より強いお願い」って言ってたので、開催されるまで大丈夫?ってヒヤヒヤドキドキしていました。見る方でもこんなだったら、演る方はもっとプレッシャーを感じていらっしゃったのではないかと思います。無事に初日と千穐楽が迎えられて本当によろしゅうございました。来年はいつもと同じように開催できますように!と祈ります。
皆さん、写真をupしてくださっています。
タカタロさんのブログ「無事に千穐楽を」
吉弥さんのブログ「第31回上方歌舞伎会」
千次郎さんのブログ「第31回『上方歌舞伎会』ありがとうございました」
翫政さんのtwitter
千壽さんのtwitter
りき彌さんのtwitter
吉太朗クンのtwitter
そのコロナの関係で今年は短縮バージョンで、お芝居と舞踊が1本ずつでした。配役は↑上のチラシの通りです。
お芝居の「引窓」は、拙ブログでも何度も書いている通り、われらが吉太朗クンがお早をお勤めになりました。十次兵衛は翫政さん、お幸は當史弥さん、長五郎は鴈大さんでした。皆さん、本当に上手くなられましたよね。ハラハラドキドキすることは一度もなく、普通に劇場でお芝居見てる、ってなってました。ワタシがこの上方歌舞伎会を初めて見たのは確か第20回でした。10年以上前です。役者さんたちは動きも台詞も何となくぎこちなくて、当時、ほとんど歌舞伎を見たことがないワタシでさえ「え、大丈夫なん?」と客席で心配しておりましたから。それが5、6年くらい前からでしょうか、上方歌舞伎塾の出身者から名題が出始めた頃からめきめき腕を上げられ、ご指導の秀太郎さんも孝夫さん

「引窓」のことですね。吉太朗クンはお早をタカタロさんにお習いになりました。だから時々タカタロさんを思わせるようなところもありましたが、完全に自分の手の内に入ってたように思います。ご自身の才能もあるだろし、これまでのお稽古の蓄積もあるだろうし、吉弥さんによれば、観察する力が凄いそうで、人のを見て吸収できる力もお持ちなんでしょうね。吉太朗クンがインスタに写真をupしていて、マシュマロ米吉クンが「おきれいです」ってコメントを入れてらしたのですが、大きな声では言えませんが、マシュマロ米吉クンよりわれらが吉太朗クンの方が絶対上手やと思います。まだ20歳ですからね。本当に楽しみです。松竹株式会社の制作の皆様、大阪にはこんなに上手い若手女形がいるんですよ~、ぜひ歌舞伎座でも使ってあげてください。お江戸のお客様もビックリされると思いますよ~。
翫政さんの十次兵衛、見る前は少し身長が足りないかと思っていましたが(失礼)、そこは演技力でカバー、立派な十次兵衛になってました。残念だったのは壱太郎さんがコロナでご覧になれなかったことです。ずいぶん前からご自身のTwitterで宣伝されていたので。お幸の當史弥さん、すっかり老け役になってしまって、おきれいな方なのでもう少しお若い役も、って思いますが、上方歌舞伎会のメンバーの中でお役を割り当てるとなると、こうなるんでしょうね。でも、ずっと老け役を勉強してこられたせいか、それはそれで身について、変に浮かない白髪のおばあさんになっていました。インスタか何かで見ましたが、ご本人もお若いけれどちょっと渋めで、「としママ」と呼ばれているみたいで、ご本人的にもしっくりきているのかもしれません。鴈大さんもこれまでは老け役専門?で、おじいさんのお役が多かったように思いますが、今回は長五郎、ご自分の年齢に近いお役だと思います。ひょろっとした体型だったようにイメージしてましたが、肉襦袢をつけてお顔も大きく見えるようにお化粧されていたので、ちゃんとお相撲さんになっていました。“義理と人情”の板挟みのなかで、それぞれを思いやる“情”をよく表現されていたと思います。これも大きな声では言えませんが、南座の花形メンバーとだったら、結構勝負できるんじゃないかなと思います。
舞踊は「慣彩舞七以呂波(まねていろどるななついろは)」です。「慣ちょっと七化(みなろうてちょっとななばけ)」という七変化の所作事を今回の上演に合わせてまとめた長唄舞踊です。三代目中村歌右衛門が一人で七役を踊ったそうですが、それを七つのパートに分けて7組の役者さんが踊られました。上演時間は50分だったので、1パートあたり6~7分、わりと短めですが、舞踊が苦手なワタシにはそれがちょうどよく、次から次へと役者さんや長唄が変わるので、飽きずに見ることができました。
まず千壽さんが傾城のお役で登場、阿古屋のような感じでした。頭もおそらく10キロぐらいあるような飾り物がじゃらじゃらと挿してありました。お衣装も、阿古屋ならば確か30キロぐらいあると聞いているので、かなり重そうでした。確か「助六」の時に並び傾城で後ろに控えてらしたことがあるので、こういういでたちも初めてではないと思うのですが、じっと座っているのと踊るのではやっぱり違います。こちらもこういう傾城のお衣装を見ると、つい玉ちゃん



千太郎クンと愛三朗クンの「越後獅子」、キビキビと気持ちよく踊っていらっしゃいました。千太郎クンが一気に大人びてきて、愛三朗クンと同い年ぐらいと思っていたら、愛三朗クンのほうが3歳年上でした。お二人ともイマドキのお子様なので、顔が小さくて手足が長い体形でした。
千次郎さんの「座頭」は安心して見られました。舞台全体をわが物にされてる感がありました。6月の歌舞伎座の「桜文章」の時に、幕開き10分間、舞台番として歌舞伎座の大きな舞台を一人で仕切ったっていうのが大きいのかなぁと勝手に思っていました。それは「橋弁慶」で夜鷹を務められた折之助さんにも感じました。昨年「みよし屋一門会」で「鏡獅子」を一人で踊られたので、そういうのが自信となって踊りにも現れるような気がしました(決して“天狗”になってるってことではありません)。
7組の踊りが終わると、もう一度全員舞台に揃ってフィナーレのような演出になっていて、それも良かったです。山村のご宗家が振り付けをされたのですが、それぞれのニンに合うように配役とか振りとかつけられたのでしょうか。楽しい舞踊でした。
そして、最後は指導者ご挨拶です。幕が上がると、上手側に孝夫さん



先日も書きましたが、コロナの患者数が毎日記録更新で、吉村知事が「より強いお願い」って言ってたので、開催されるまで大丈夫?ってヒヤヒヤドキドキしていました。見る方でもこんなだったら、演る方はもっとプレッシャーを感じていらっしゃったのではないかと思います。無事に初日と千穐楽が迎えられて本当によろしゅうございました。来年はいつもと同じように開催できますように!と祈ります。
皆さん、写真をupしてくださっています。
タカタロさんのブログ「無事に千穐楽を」
吉弥さんのブログ「第31回上方歌舞伎会」
千次郎さんのブログ「第31回『上方歌舞伎会』ありがとうございました」
翫政さんのtwitter
千壽さんのtwitter
りき彌さんのtwitter
吉太朗クンのtwitter
上方歌舞伎をずっと見守ってくださっていると思います。