おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

中村勘三郎さん

2012-12-05 08:31:43 | 訃報
中村勘三郎さんがお亡くなりになりました。まだ57才という若さです。残念としか言いようがありません。私を歌舞伎に誘ってくれた役者さんでした。それだけに自分でも驚くぐらい喪失感でいっぱいです。
心からご冥福をお祈り申し上げます。


 ここからは自宅PCからの投稿です。朝一番のニュースで訃報に接し、とにかく何かブログに書かなければと思って、通勤電車の中で携帯から↑上の文章はupしました。写真は、職場の近くに「関西歌舞伎を愛する会」の事務所があって、その前に貼ってある「籠釣瓶」のポスターです。携帯で撮って、記事に貼り付けました。

 いわゆる“芸能人”の訃報で、これほどショックを受けたのは初めてのような気がします。週刊誌の報道等でご病状がかなり厳しい状況だとは聞いておりましたが、勘三郎さんならきっと回復する、奇跡を起こしてくれると信じていたので、今朝ニュースを見たときは、「え、ウソでしょ?」ってテレビに向かって言ってしまいました。

 会社に行っても、今日は一日なんだか落ち着かない、フワフワとした状態で仕事をしていました。上にも書きましたがすごい「喪失感」です。ぽっかり穴が開いています。

 勘三郎さんは私が初めて見た歌舞伎の人です。24、5年前になるでしょうか。勘三郎さんや三津五郎さんの世代が歌舞伎ブームを起こした時代で、ミーハーな私は「こりゃ、見とかなあかんわ」と道頓堀の中座の夏歌舞伎に行きました。前の前の会社の上司が松竹のエライさんとお知り合いだったおかげで、前から4列目か5列目の花横のお席で、やたら歌舞伎役者さんと目が合って喜んでいた覚えがあります。「夏祭」だったと思います。お江戸の役者さんなのに、ちゃんと大阪弁になっていてびっくりしました。義太夫の基礎がおありになったからなんでしょうね。

 その後も大阪で何度か拝見する機会がありました。後で聞くと、当時はお父様の十七代目さんが亡くなられて、東京ではあまり良いお役に恵まれず、大阪だと自分の好きなお芝居ができたのでいらしていたそうで、傍目からだとあれだけの人気者なのに、やはり後ろ盾がないとそうなるのかと驚きました。

 勘三郎さんの舞台は歌舞伎だけではなく、藤山直美さんと共演された喜劇や「桜姫東文章」を翻案?した「桜姫」も見ています。何をなさっても上手い役者さんでした。先ほど、NHKの9時のニュースに山川静夫さんがご出演でしたが、勘三郎さんは確かに天才だけれど、それ以上に努力の人だとおっしゃっていました。きっと人の何倍も何十倍も何百倍も努力して、人生を“早送り”で送ってしまったような気がします。

 来年4月にいよいろ歌舞伎座の杮落としですが、勘三郎さんがご出演なさらないなんて、いったいどうなるんでしょうか。杮落としだけでなく、これからの歌舞伎界全体がどうなるんでしょうか。ニュースを見ていても皆さんが口を揃えて「歌舞伎界の損失」「演劇界の損失」とおっしゃっていました。今の旧態依然とした歌舞伎を新しい形に変え、生まれ変わらせてくれるのは勘三郎さんしかいないと思っていたのに…。悲しい、悔しい、そういう言葉しか出てきません。本当に惜しいです。改めてご冥福を祈りたいと思います。
コメント (8)
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