yoosanよしなしごとを綴る

つれづれなるままにパソコンに向かいて旅日記・斜読・よしなしごとを綴る

フィールドサーベイは精神的な緊張+肉体的な疲労が高まる、備えあれば憂い無し、事前に調査を試行する

2016年11月01日 | studywork

1992+2004 フィールドサーベイ覚え書きの3 /1992.6記+2004.9補

 フィールドサーベイ覚え書き、その2に続く第3報で、調査試行+現地調査を中心にまとめてある。服装や海外旅行の持ち物一覧表にも言及したので、興味のある方はホームページを参照されたい。
 以下に、調査試行と現地調査のまとめを紹介する。

6 調査試行
 出発前に、現地調査と同じ状況を想定して、一通りの調査を試しに行う
 友人や家族に頼んで実際にアンケート表に記入してもらったり、ヒヤリング表をもとに聞き取りをしてみる。自分では分かり切った言葉が通じなかったり、記入スペースが不足したり、気づかなかった欠点を見つけることができる。
 観察実測も、試しに自分の家や近所の公園、商店街などで実際に野帳を持ち、用具を用いて計測し、野帳に記録してみる。
 縮尺を何分の一にしたら野帳に書きやすいか、短い距離は一人でも測ることができるが、長い距離や高さは手伝いがいないと測れないことも分かってくる。消しゴムはどこにしまうか、用紙の予備はどのくらい必要かなど、事前に準備が万全であればあるほど、当日の緊張感は小さくなる。
 使えると思っていた用具が動かなかったり、部品が不足していることに気がつくこともある。毎日使っている用具であれば、日頃点検は怠りないが、一年に数度しか使わない用具や新たに購入したものは要注意である。
 機器類は念のため、取扱説明書を持って行く。
 初心者はベテランといっしょに用具の使い方、野帳の取り方を練習し、調査のコツを聞いておくと現地に入ってもスムーズに調査になじんでいける。
 さらに、調査担当者は試しのアンケートやヒヤリング、野帳をもとに調査目的に従い分析考察をすすめておく。
 実はこれがもっとも肝心なことで、データが手に入っても分析や考察ができなければ調査が無意味になってしまう。
 試しは友人のヒヤリングであったり自分の家の間取りであるかも知れないが、現地での調査が終了したときに手元に残るデータをイメージしながら、友人のヒヤリングや自分の家の間取りをもとに、分析、考察を試してみるのである。
 研究の論旨から全く不要な項目ははずし、将来的な研究展開を想定した項目を加えるなどの微修正をすませておく。もちろん、現地で新たな発見があり調査項目の変更も起こりうる。
 事前の準備が十分であればあるほど、現地で対応がし易い。

7 現地調査
 どんなに事前の調査細目の検討が完全でも、現地に入って体験を繰り返すうちに必ず新しい発見はある。
 もし事前の調査項目だけで調査が終了してしまい新しい発見がなかったとすれば、研究者としての目を疑わざるを得ないし、わざわざフィールドで生活体験を繰り返し調査に取り組むメリットがない。
 新しい発見があった時、時間的にどうしても調査にかかれない場合は次の機会に万全を期するとしても、可能な限りのデータを得るように心がけたい。そのためにも基本的な用具、例えば七つ道具はいつでも備えておきたいし(写真)、可能な限り調査期間にゆとりをもたせておくことが大事である。
 また現地に入ってからは、初心者はとりわけ、日常とは異なった生活が繰り返されるため、精神的な緊張が極めて高くなりがちとなる。しかも、外で一日中立ちづくめのことが多く、肉体的にも疲労が蓄積されやすい。
 現地に合宿している場合は加えて、自炊、洗濯なども次第に負担になってくる。こんな時は調査内容にも時おりミスが出てくることがあるが、それ以上に用具の管理がおろそかになることが多い。
 それぞれの用具はいつもわかり易いかたちでまとめておくようにすると共に、担当者を決め、出来れば朝の調査直前、夕方の調査直後に点検するようにしたい。
 整理のうまさは、調査のうまさ、ひいては優れた研究につながる。

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