スペインを行く35 2016年ツアー8日目 風力発電 アシエンダ・プエルタデル・ソル ミハス 白い町/2016.11記
2015年10月27日・火曜、午後2時、コルドバをあとにして、ほぼ真南に位置するミハスMijasに向かう。
・・略・・ コルドバからミハスは185kmほどで、2時間半ほどかかる。
・・略・・ どちらかというと白茶けた色が優勢で、山襞にへばりつくように緑が散在する。緑が塊になり始めると町が現れる。町を過ぎるとまた緑が散らばり、白茶けた地肌が優勢になる。これがアンダルシアの特徴的な風景のようだ。
風景を眺めていると、風力発電の多さに気づく。10数機~20数機が、たぶん、風の効率のいい場所が選ばれているのだろうが、山あいに群れをなして羽を回している。
遠いから音は聞こえないはずだが、ぐ~~んぐ~~んと音を響かせているように感じる。
前にも紹介したが、2014年時点の電力供給割合は、火力発電39%(ガス25%+石炭11%+石油3%)に対し、再生可能エネルギーは47%で、うち風力発電が21%、水力発電17%、太陽光などその他9%である。
日本は火力発電がなんと88%(LNGガス46%+石炭31%+石油11%)、水力発電9%、再生可能エネルギーはわずか3%である。
比較すれば、スペインがいかに再生可能エネルギーに力を入れているかが一目瞭然である。電力供給についてはスペインを見習いたい。
・・略・・ 山道を下っていくと、次第に風景が開けてきて、4時ごろには地中海が見え始めた。ミハスMijasの町は山の中腹に位置するので、また坂道を上り、4時半近くにアシエンダ・プエルタ・デル・ソルホテルHacienda Puerta del Solに到着した。
・・略・・ ミハスはマラガ県のコスタ・デル・ソルCosta del Sol=太陽の海岸と呼ばれる地域に含まれる。
・・略・・ チェックインを済ませたあと、バスでミハスMijasの町の入口に設けられたバス駐車場まで送ってもらう。Oさんがインフォメーションで地図をもらってきてくれた。日本語の地図で、いくつかの店は日本語、日本円でどうぞ、と書かれている。よほど日本人が来るらしい。
地図によれば、坂道を上りきると展望台があるので散策しながら展望台を目指した。駐車場から上り始めるとほどなく黄色いポストが目につく。
ここから白い家並みが始まる。道に並ぶ建物はすべて白壁の2階で統一されていて、確かに白い町である。
コスタ・デル・ソル太陽海岸は、冬でも温暖で日照時間が長い。ということは、夏はかなり暑くなる。そこでミハスの人々は穴あき煉瓦を積み上げて壁にし、漆喰で塗りあげる工法を選んだ。
漆喰の白が熱い日射し反射し、煉瓦の穴が熱気を逃がすそうだ。生活の知恵が白い町をつくり、白い家並みを統一することで大勢の観光客を集めることになった。
人々の知恵、工夫があれば町は活気を帯びることができるのである。
どの家も白壁に青い鉢を下げ花を生けていて、白壁にアクセントをつけている。花の時期は香りが広がり、住んでいる人も観光客も香りを楽しむことができそうだ。こうした気配りがいい。石張りの坂道にはゴミが一つも無いし、けばけばしい看板もない。歩いていて心地いい。
坂の途中を右に折れると白い教会堂が建っている。
・・略・・ 教会から左の坂を上ると噴水のある広場がある。
その左に日本語、日本円が通用する民芸店がある。トイレをかねて、店に入った。手作りのかわいらしい民芸が並んでいたが、私の趣味ではないので近くをぶらぶらする。
みんなの買い物が終わってから、噴水の広場を抜けて坂を上がると、世界で一番小さい?闘牛場が建っている。扉は閉じていて、中の様子が分からない。白い外壁だけでは普通の建物に見える。
このあたりが行き止まりの高台で、展望台からはコスタ・デル・ソルの白い街並みが見下ろせる。その先に地中海が広がっているが、アフリカは雲がかかってはっきりとしない。
8世紀初頭、イスラム勢力はコスタ・デル・ソルあたりから上陸した、というのをどこかで読んだことがある。
ミハスから地中海を見下ろした人々は、イスラムの旗印を掲げた帆船の大軍にさぞや驚かされたのではないだろうか。
レコンキスタ国土回復によってイスラム軍はアフリカに追い戻されたが、長く地中海の制海権を握り続け、再三、海賊と化したイスラム勢力が地中海沿岸の町々を襲い続けた。
塩野七生著「ローマ亡き後の地中海世界」には、イスラム勢力の海賊との戦いが詳しく書かれていて、地中海沿岸各地でつくられた見張り塔の写真も載っていた。
コスタ・デル・ソルにも見張り塔が残っているそうだ。不便な山あいに立地する白い町々は、海賊から身を守るための工夫だったに違いない。
展望台周辺は公園として整備されていた。ぐるりと一回りし、白い闘牛場を通り、白い家並みを抜け、民芸店、土産物店などをのぞき、坂を下りる。
バス駐車場手前の公園に屋台がいて、おじさん・・おじいさんに近い・・が砂糖を絡めたアーモンドナッツを炒めている。
Oさんいわく、ミハス名物で日本人に人気があるそうだ。甘い香りに空腹を感じて購入した。
ほどよい甘さであとを引くが、時計は6時、夕食が近い。2粒で止めてバスに乗り、ホテルに戻った。