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トリエステ と 須賀敦子さん

2014-07-07 15:28:12 | 読書

 先日ドイツのテレビでトリエステが紹介されていました。

スロベニアとの国境に位置するイタリアの港湾都市を訪れたことはまだありません。
「ユリシーズ」(まだ読んだことはありませんが)のジェイムズ・ジョイスが1904年から1915年まで住んでいたこととかハプスブルク家の人々が好んだ保養地だったとか興味深いことを知りましたが、トリエステと聞いてまっさきに思い浮かんだのは須賀敦子さんのご著書「トリエステの坂道」でした。



 阿川弘之さんだったか久世光彦さんだったか記憶が定かではないのですが、「新しい小説を読んでつまらなくて落胆、憤慨する位だったら漱石の猫を読む」とどこかに書いておられました。私も最近はあまり新しい本を購入することが少なくなっています。昔、手にした小説の内容を忘れてしまったということもありますが、限られた残りの人生はできるだけ良書に接したいと思うからです。私にとっての「猫」は須賀敦子さんの本です。

 須賀さんのことは彼女が教鞭をとられていた大学の独語科を卒業した通訳仲間が紹介してくれました。
その後、よく仕事でご一緒した大学の先生も「須賀敦子って良いよね」というのを聞いて嬉しく思ったことを覚えています。

「トリエステの坂道」の中で特に印象的なのは以下の文章です。

  『… 周囲がイタリア語ばかりのなかでは、自分の中の日本語が生気を失って萎れるのではないか』

 ドイツに来てすぐに海外放送局の日本語課で仕事を始めたことや、通訳と翻訳の仕事をしてきた関係でドイツ語環境の中にあっても比較的、日本語には接してきたような気がします。でも自分の日本語が萎えてきていることは認めざるを得ません。

 須賀さんの本を読んで、せいぜい日本語のブラッシュアップに努めたいと考えています。そしてなにより彼女の毅然とした人生への姿勢をいくらかでも身に付けることができたらと思います。

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