一時帰国時に購入した重い単行本を銀座の郵便局からドイツ宛て船便で発送後に新聞の広告で知った本です。
スーツケースには更に単行本を詰めるスペースがなかったので、電子書籍をダウンロードし、帰りの機内で読みました。
イギリス人の陶芸家、バーナード・リーチのことが綴られています。
物語は1954年(昭和29年)4月に九州の小鹿田焼きの地にイギリスからバーナード・リーチという偉い先生がやってくるというので
村中がその準備に大わらわになっている所から始まります。
その先生のお世話をすることになったのが、沖高市という陶工修業している少年で、リーチ先生と話すうちに、高市の亡くなったお父さん、
沖亀之助は昔、リーチ先生の弟子をしていたことがわかります。
沖亀之助のモデルになったのはリーチが初来日した折に通訳をした人物だといわれていますが、小説の亀之助は原田マハさんが創作された人物のようです。
それでリーチ先生が昔のことを語リ始めることにより、読者はバーナード・リーチと高村光太郎、柳宗悦、濱田庄司、河井寛次郎との関わり、「民藝運動」について知ることになるのです。
これまで「民藝」についてほとんど知識がなかったので、興味深く読みました。
それで以前、通訳仲間のひとりから会議通訳の仕事を紹介したお礼にと贈られた本のことを思い出しました。
彼女のご主人が勤める出版社で発行された本で柳宗悦の随筆集を集めた英語の本の独訳本です。
英語のタイトルは"The Unknown Craftsmann. A Japanese Insight into Beauty"(無名の職人、日本の美への洞察)
独語では"Die Schönheit der einfachen Dinge Mingei"(飾らぬ美 民藝)
ほとんど目を通していなかったので、これを機会にしっかり読んでみたいと思います。
「リーチ先生」を読んで心を打たれたのはみんなに愛される先生の人柄です。
単に「優しい」というだけではなく接する人、全てに平等に真摯に対応するのです。
実は独語の本を贈ってくれた通訳仲間はリーチ先生とは違い、お話しするときいつも「目線が上」なので少し苦手です。
ですからお仕事以外でのお付き合いはほとんどありません。
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