花壇のエリカが咲き始めました。
猛暑の夏に耐えたためか今年は特に色が鮮やかなような気がします。
一時帰国の折、話題になっている本を購入して船便で送るのですが、
今年は「火花」と共に「サラバ上下巻」も購入しました。
重い単行本は電子書籍を購入し、iPadやKindleで読む方が簡便かもしれませんが、「紙本」の方が精読できるような気がします。
昨年の芥川賞受賞作の小野正嗣著「九年前の祈り」はiBooksで読んだのですがあまり記憶に残っていません。
「サラバ!」も重い単行本を船便で送って正解でした。
上下巻合わせて700ページ以上の長編をひといきに読ませる作家の力量に感嘆しました。
「アサイチプレミアトーク」や「smap & smap」に出演なさった西加奈子さんを拝見したのですが、
あの底抜けに陽気な感じいいですね。
私には弟しかいないので、あんな感じの妹がいたらよかったなぁと思いました(といっても私は彼女の母親位の年齢ですが)。
それに大変な読書量とその内容を記憶されていることに驚きました。
私は簡単な「読書ノート」を綴っています。読後感を記すというよりも、「あらすじ」を記しておかないと
読んだことを忘れてしまって、同じ本を2度買いしてしまうからです。
「サラバ!」は主人公、歩の誕生から30歳位までの人生行路を描いています。
小さい頃、嫌われ者だったのは破天荒なお姉さんの方だったのですが、20代後半になり「頭の毛が薄くなる」ことに愕然とするあたりから
順調に見えた歩の生活がどんどん崩壊していきます。
一番印象に残っている好きなシーンはエジプト生活時代、歩の親友になるヤコブとの交友です。
この本のタイトルになっている「サラバ」の由来も書かれています。
(アラビア語の「さようなら」である「マッサラーマ」が「マッサラバ」になり「サラバ」が二人だけの万能語になります)
「アラブの春」のあと歩がカイロにヤコブを訪ねるシーンも感動的です。
3年前、クルーズ船でヨルダン、イスラエル、エジプトを訪れた折、カオス的なカイロの状況を見たので、
楽しかった子供時代との差異に驚く歩に共感しました。
私が初めてエジプトを訪れたのは今から20年以上前、1992年です。
あの頃、ナイル川を見ながらホテルのプールサイドでゆっくりと日光浴したのが夢のようです。
カイロで歩とヤコブが楽しく遊ぶ様子を読んでとても羨ましく思いました。
私は弟二人とは年が離れていたこともあって、二人の遊びの仲間にはいれてもらえませんでした。
川遊びやカブトムシ集め、蝉取りや「怪獣遊び」など楽しそうだったなぁ。
伊集院静さんのエッセーに時折、高校の時、海で溺死した弟さんと幼い頃に一緒に遊んだ様子が綴られていますが
二人の弟を彷彿とさせ、時折読んでは微笑んでいます。