A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

他人の空似とはよく言われるが・・・・

2013-11-13 | MY FAVORITE ALBUM
Chet Baker in New York

ジャズはクラシックなどの較べると演奏者の個性が演奏に現れやすい。楽器自体の音色だけでなく、アドリブのフレーズ作りになると、より色濃く出る。すると聴いただけで「これは誰の演奏だ」ということを想像したくなる。
ブラインドフォールドテストなるものがあって、何の情報もなく曲を聴いて演奏者を当てたりする遊びが、昔はよくジャズファンの間では行われていた。確か、ラジオのジャズ番組でも行われた記憶がある。

ジャズ喫茶でいつもかかるような有名アルバムは自然とメンバーを含めて頭に焼き付いてくる。聴いたことが無いアルババムがかかると、まずは一体これは誰だろう?と過去の記憶から頭が回転を始める。そしてジャケットを見る。見覚えのあるデザインが目に入ると「なるほどこのアルバムはこのようなサウンドなのか」とまた一つ頭の中に刻み込まれる。見たことのないジャケットだと、思わず席を立ちジャケットを裏返してパーソネルを見る。昔ジャズ喫茶で一人ブラインドフォールドテストもどきをしていたことを思い出す。

このアルバムを手にして一曲目を聴いた瞬間思い出したのは、アート・ファーマーの”Modern Art”だ。同じ曲Fair Weatherが入っている。こちらはエバンスのピアノから始まりイントロがあってテーマのアンサンブルに入っていくが、このアルバムではドラムとピアノのちょっとしたイントロからいきなりテーマのアンサンブルが始まる。トランペットとテナーサックスのよくある組み合わせだが、覚えやすいメロディーを両者で絶妙に奏でる。よく似たサウンドだ。

作曲者はベニー・ゴルソン。Modern Artは自作自演、こちらのアルバムで演じているのはチェット・ベイカーとジョニー・グリフィン。よく聴くと似ているといえば似ているが当然微妙に違う。人に例えれば細かい顔立ちを見れば当然別人だが、遠目に見た姿形や風貌はそっくりだということだろう。

このアルバムが録音されたのは58年の9月。Modern Artも同じ9月。全く同じタイミングで録音されたものだ。ゴルソンがこの曲をいつ作ったのかは分からないが、ライナーノーツにはこのアルバム用にスコアを提供したように書かれている。とするとゴルソンがアート・ファーマーとの自分のセッションにも同じ曲(アレンジ)を使ったことになるが。とすれば、両者が似ているのも合点がいく。

さて、肝心なベイカーのプレーだが、このアルバムはリバーサイドに移って2枚目。一か月前に録音した前作がボーカル入りのパシフィックジャズ時代からのイメージを引きずっていたが、これは思いっきりハードバップよりの演奏だ。
リズムもフィーリージョージョーンズとポールチェンバースを起用しているのが大きいが、テナーのジョニー・グリフィンとの組み合わせが何と言っても特徴付けている。ボーカルも無く必然的にトランペットも力強いプレーとなってくる。ただし選曲がゴルソンの曲を含めてメロディックな曲を選んでいるので、雰囲気はアート・ファーマー似といった所か。

その後のリバーサイドでは前回紹介したCHETのようにまたソフト路線に戻っているので、唯一ハードバップを売りにしたリバーサイドらしいベイカーの演奏が聴ける。ジャケットのイメージは別にするとタイトルの“In New York”らしさがやっと出た一枚だ。移籍しても新球団に溶け込めず一勝もできない投手がやっと勝ち星を上げたように。






1. Fair Weather Benny Golson 6:58
2. Polka Dots and Moonbeams Johnny Burke / James Van Heusen  7:56
3. Hotel 49 Owen Marshall 9:48
4. Solar Miles Davis 5:52
5. Blue Thoughts Benny Golson 7:33
6. When Lights Are Low Benny Carter / Spencer Williams 6:52
7, Soft Winds Benny Goodman / Fletcher HendersonChet  6:26

Chet Baker (trumpet)
Johnny Griffin (tenor saxophone -1,3,5)
Al Haig (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Recorded in NYC, September, 1958
Produced by Orrin Keepnews
Engineer : Jack Higgins


In New York
クリエーター情報なし
Ojc
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