A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ブルースも街の音楽になり洗練された響きが・・・・

2013-10-07 | PEPPER ADAMS
Outskirts of Town / The Prestige Blues-Swingers

今から40年以上前、学生時代にグレイハウンドのバスを利用したアメリカ一周旅行をした。
当時、学生向けには確か1カ月99ドル(最初は3カ月?)という破格のパスで貧乏学生には有難いものだった。宿代を節約して深夜バスにもよく乗ったし、ターミナルで仮眠ということもよくやった。西海岸のシアトルからのスタートであったが、ロッキー山脈を越え、いわゆる穀倉地帯に入ると一日走っても変わらない景色にアメリカ大陸の広さを実感したものだ。

途中いくつかの街に立ち寄ったが、最初の大都市はシカゴであった。ミシガン湖に面した綺麗な街だが、ダウンタウンでは一歩通りを超えると黒人街があるような地域もあった。貧乏旅行で交通費もケチって街中を歩きで動き回ると、そのような場所に知らないうちに立ち入ってしまったことも。その時ほど、怖い場所を明示した地図を欲しかったことはない。

JAZZとは切っても切れないブルースも最初は農場で働く黒人の労働歌であったが、ジャズが都市で演奏されるにしたがって街の音楽へと変わっていった。今思えば、ニューオリンズからやってきたジャズが、シカゴブルースとして栄えた場所もそのあたりだったのかもしれない。

ペッパーアダムスが参加したジーンアモンズのアルバム”Blue Gene”はブルース色の強いアルバムであった。同じ頃プレスティッジではリーダーをとっかえひっかえ色々なセッションアルバムが作られていた。内容はハードバップがメインだが、中には少し毛色の変わった物も。ダグワトキンの”Roots”もジャズの原点を意識したアルバム。そして、ブルースを前面に出したアルバムもある。

The Prestige Blues Swingersと銘打った面々によるこのアルバムもその一枚。
アレンジャーのジミーバレンティンが編曲を担当しているので、彼がコーディネートしたグループだと思うが、このジミーバレンティンなるアレジャーはどのような経歴かはよく知らない。アールハインズやビリーエクスタインのバンドのアレンジをしていたようだが。このアルバムでは比較的大きな編成だが簡単なアレンジでソロを重視している。

集められた面々は当時のプレスティッジのアルバムには良く名を連ねているメンバー達。レギュラーグループではなく、多分このセッションの為に集まったのだろう。
その中に、ペッパーアダムスも加わっている。1958年8月の暑い盛り、アモンズのアルバムからは3カ月が経った頃の録音だ。アルバムのタイトル、そして内容からアダムスの黒っぽさを期待されての起用であろう。

タイトル曲は、ギターのイントロで始まりリチャードソンのアルトそしてジミーフォレストのテナーが朗々と響き渡る。2曲目はリチャードソンのフルート。この頃のリチャードソンはフルートの演奏をよく聴けるがブルージーなフルートは秀逸。
3曲目スインギーなブルースだがアダムスはここからソロで登場。軽快なアンサンブルとテンポに乗ってまずは快調に。次の曲では、ギターに次いでねちっこい側面を。

気取りの無い、心の底からの咽びの様なものがブルースの魅力だ。
やはり、ブルースは都市に出てきても、表舞台に立っても洗練された街の目抜き通りよりは、中心地から少し離れた街はずれ(Outskirts of Town)の裏口から聞こえてくるのが似合う。




1. I'm Gonna Move to the Outskirts of Town Jacobs / Andy Razaf / Will Weldon 6:15
2. Blue Flute                             Jerry Valentine 6:16
3. Blues A-Swingin                        Jerry Valentine 6:10
4. Jelly, Jelly           Billy Eckstine / Earl Hines / Trade Martin 6:02
5. Sent for You Yesterday and Here You Come Today
                  Count Basie / Eddie Durham / Jimmy Rushing 5:30
6. I Wanna Blow, Blow, Blow                    Jerry Valentine 5:55

Art Farmer (tp)
Idress Sullieman (tp)
Jerome Richardson (fl,as)
Jimmy Forrest (ts)
Pepper Adams (bs)
Buster Cooper (tb)
George Cooper (tb)
Ray Bryant (p)
Tiny Grimes (g)
Wendell Marshall (b)
Osie Johnson (ds)

Arranged by Jimmy Valentine
Engineer : Rudy Van Gelder
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, August 29, 1958



Outskirts of Town
クリエーター情報なし
Ojc

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サドジョーンズの名作は時代... | トップ | どの業界にも世に知られざる... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。