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A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

もうひとつのMoanin’・・・・

2013-11-24 | PEPPER ADAMS
Blues & Roots / Charles Mingus

モダンジャズの入門盤として有名なアルバムの一枚としてアート・ブレーキーのMornin’がある。古今東西を問わずまずはこのアルバムを聴いてジャズ入門をした人は多いだろう。
ハードバップからファンキー時代の代表作のひとつだ。そして、この雰囲気がジャズの、そして昔のジャズ喫茶の雰囲気の代名詞そのものだった。

ペッパーアダムスの参加しているアルバムを追いかけていると、Mornin’が生まれた1958年ハードバップやウェストコーストジャズの全盛期(成熟期?)に量産された多くのアルバムに交じって、新しい時代のジャズを予見させるようなアルバムもあれば、反対にジャズの原点を改めて問うようなアルバムも散見される。アダムスが加わったアルバムでも、ダグ・ワトキンスのRootsブルーススインガーズというアルバムがあった。

アダムスにとっては1959年の年明け早々チェットベイカーとのセッションが続き、モンクの2月のコンサートのリハーサルが始まるという多忙な中、2月3日から連続して4日間レコーディングが続く。そのような中、アダムスはまた大物のあるアルバムに参加している。チャーリーミンガスのBlues & Rootsだ。ちょうど真ん中の4日にこのアルバムが収録されている。

ミンガスはモンクと並んで特徴あるプレーヤーだ。時には変人扱いされることも共通点があるが、確かにメインストリームのジャズの流れとは一筋違う活動をしていた。世の流行事には我関せずで、独自の主張、世界を守り通す人物はいつの時代にもいるものだが。自分はモンク同様、あまり深くは聴いてこなかったプレーヤーの一人だ。
自分も最近トラッド系を聴き返すようになって、今更ながら改めてジャズの原点に興味を持つようになった。そうしてこのアルバムを聴き返すと実に新鮮な感じがする。

ミンガス自身、ルイアームストロングとも共演し、パーカーやガレスピーともバップムーブメントに参加し、レッド・ノーボのグループに参加するなど表面的にはスタイルにこだわらずに何でもこなすプレーヤーに見える。しかし、デューク・エリントンを尊敬し自己の世界を作っていった背景は、常にジャズのオリジンに対する拘りだったに違いない。

ソロ中心にジャズが移行していく中で、グループによるアンサンブルワークとグループインプロビゼーションの組み合わせの妙を突き詰めていくのはトラッドジャズの伝統そのもの発展系にも思える。これはミンガスビッグバンドにも引き継がれているが、ミンガスの曲を味わうにはラージアンサンブルが不可欠なのかもしれない。
演奏スタイルだけでなく、黒人差別に反対して白人嫌いを標榜していたようだがこれもジャズはあくまでも黒人音楽だという主張の現れのようだ。奥さんも白人、メンバーにはジミーネッパーやペッパーアダムスなどの白人を起用したということは、主義主張を通すためには多少ポーズも必要だったのか。

ブルースとジャズのルーツに拘ったこのアルバムのミンガスワールドはそれぞれの曲で十分楽しめるが、ペッパーアダムスがイントロから活躍するのはMornin’。ブレーキーのモーニンも覚えやすい曲だが、この曲も一度聴くと忘れない曲だ。My Jelly Roll soulでは、ミンガスのベースがフィーチャーされているが、昔ながらのスラップ奏法も聴ける。

それにしても、アダムスというプレーヤーはチェットベイカーとのセッションを続けながら、いきなりこのような演奏に飛び込んでもよく違和感なく演奏できるものだと思う。
アダムスとミンガスの出会いはミンガスがライオネルハンプトンのグループに加わってデトロイに来た時だそうだ。その後も付き合いが続き、アダムスが西海岸からニューヨークに戻った時もミンガスのセッションに参加している。
2人の間には長い付き合いの信頼関係があったのであろう。黒人白人は関係なくミンガスミュージックの良き理解者としての。




1. Wednesday Night Prayer Meeting  5:43
2. Cryin' Blues       5:02
3. Moanin'       8:02
4. Tensions       6:30
5. My Jelly Roll Soul   6:50
6. E's Flat Ah's Flat Too      6:42

Willie Dennis (tb)
Jimmy Knepper (tb)
Booker Ervin (ts)
John Handy (as)
Pepper Adams (bs)
Jackie McLean (as)
Charles Mingus (b)
Horace Parlan (p)
Mal Waldron (p)
Dannie Richmond (ds)

Composed by Charles Mingus
Produced by Nesuhi Ertegun
Tom Dowd : Engineer

Recorded at Atlantic Studio, New York on February 4,1959



Blues & Roots
クリエーター情報なし
Atlantic / Wea

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