Chet / Chet Baker
10月も終わると残すところあと2か月。何となく「今年も終わりか」という気分になる。今年は夏の暑さの後、いきなり台風が続いて秋晴れの清々しさをあまり実感することなく肌寒くなってきた。いきなり晩秋の趣で、なんとなく冬の到来が早そうな気配だ。
ペッパー・アダムスにとって1958年の秋の到来はベニーグットマンのオーケストラのツアーへの参加であった。その節目で11月にレコーディングも済ませ、今年も終わったという気分になったであろう。
年末は同郷の仲間であるケニー・バレルとのgigをこなし乍ら、クリスマスシーズンを迎えていた。
この年はニューヨークに戻って本格的な活動を再開した年。年初に編成したドナルド・バードとの双頭バンドが自己のレギュラーグループであったが、相変わらず色々なバンドやオーケストラから声が掛かってgigやレコーディングに忙しかったが、最後はグッドマンのツアーへ参加することになった。
この年の締めくくりとして、クリスマス前の21日にはドナルド・バードとのグループの成果として、ブルーノートに”Off To The Races”のアルバムを残す。このアルバムにはジャッキー・マクリーンも参加し、ご機嫌なアルバムだ。
これで仕事収めかと思ったら、暮れも押し迫った30日に、チェット・ベイカーとのセッションに参加してアルバムを残している。
チェット・ベイカーというとジェリー・マリガンとのコンビが有名で、ペッパー・アダムスというと少し違和感があるが、・・・実はアダムスがロスに居た前年1957年には、チェット・ベイカーとグループを組んで、地元のクラブには録音の合間を縫うようにして連日出演していた仲だ。
この時のベイカーとの共演は、“James Dean Story”で録音に残されているが、2人のコンビの演奏はアルバムとして残っていないようだ。ライブも多く出ていたので、どこかでライブの記録でも陽の目を見たらぜひ聴いてみたいものだ。
チェット・ベイカーは、この年パシフックジャズからリバーサイドに移籍して、それまでに8月、9月とすでに続けて2枚のアルバムを録音していた。
2枚目は売り出し中のジョニー・グリフィンも加わって、これまでのクールサウンド&ボーカルのイメージから、ハードバップ色の強いトランペットプレーにイメチェンを図っていた。
その流れで、引き続き12月のセッションが組まれたが、そこにアダムスが呼ばれた。
以前一緒にやっていた仲なので何か助け舟を求めたのかもしれない。一緒に加わった他のメンバーも、ビルエバンスやハービーマンと前作とは大きく違った編成で、イメチェンを図ったものの中途半端で今一度リセットといった感じだ。
まず、このジャケットのインパクトは大きい。そしてこのジャケットイメージと演奏内容はピッタリだ。
最初の曲“Alone Together”はエバンスのイントロから始まる、情感の籠ったトランペットはこれぞベイカー。それにアダムスのバリトンが絡むようにソロを引き継ぐ。アダムスのお家芸はアップテンポのゴリゴリプレーだが、実はマリガンよりも太いサウンドのバラードプレーも捨てたものではない。
このアルバムは全編バラード~ミディアムテンポのプレーでベイカーの良さが光る。
ということは、リバーサイドに移籍をしてイメージチェンジを図ったが、ベイカーの良い所はやはり「この感じ」だということでこのアルバムになったのかもしれない。これに戻したのはプロデューサーオリンキープニュースだが、コンビを組んだことのあるアダムスの存在も何か影響しているような?
録音を終えた後、1959年の年明けは2人で一カ月近くgigを続けたそうだ。
益々、アダムスとのコンビのプレーを聴いてみたくなる。
1. Alone Together
2. How High The Moon
3. It Never Entered My Mind
4. 'Tis Autumn
5. If You Could See Me Now
6. September Song
7, You'd Be So Nice To Come Home To
8, Time On My Hands
9, You And The Night And The Music
10. Early Morning
Chet Baker (tp)
Herbie Mann (fl)
Pepper Adams (bs)
Bill Evans (p)
Kenny Burrell (g)
Paul Chambers (b)
Connie Kay (ds)
Philly Joe Jones (ds)
Produced by Orin Keepnews
Engineer : Jack Higgins
Recorded at Reeves Sound Studio in NYC, December 30 & January 19, 1959
10月も終わると残すところあと2か月。何となく「今年も終わりか」という気分になる。今年は夏の暑さの後、いきなり台風が続いて秋晴れの清々しさをあまり実感することなく肌寒くなってきた。いきなり晩秋の趣で、なんとなく冬の到来が早そうな気配だ。
ペッパー・アダムスにとって1958年の秋の到来はベニーグットマンのオーケストラのツアーへの参加であった。その節目で11月にレコーディングも済ませ、今年も終わったという気分になったであろう。
年末は同郷の仲間であるケニー・バレルとのgigをこなし乍ら、クリスマスシーズンを迎えていた。
この年はニューヨークに戻って本格的な活動を再開した年。年初に編成したドナルド・バードとの双頭バンドが自己のレギュラーグループであったが、相変わらず色々なバンドやオーケストラから声が掛かってgigやレコーディングに忙しかったが、最後はグッドマンのツアーへ参加することになった。
この年の締めくくりとして、クリスマス前の21日にはドナルド・バードとのグループの成果として、ブルーノートに”Off To The Races”のアルバムを残す。このアルバムにはジャッキー・マクリーンも参加し、ご機嫌なアルバムだ。
これで仕事収めかと思ったら、暮れも押し迫った30日に、チェット・ベイカーとのセッションに参加してアルバムを残している。
チェット・ベイカーというとジェリー・マリガンとのコンビが有名で、ペッパー・アダムスというと少し違和感があるが、・・・実はアダムスがロスに居た前年1957年には、チェット・ベイカーとグループを組んで、地元のクラブには録音の合間を縫うようにして連日出演していた仲だ。
この時のベイカーとの共演は、“James Dean Story”で録音に残されているが、2人のコンビの演奏はアルバムとして残っていないようだ。ライブも多く出ていたので、どこかでライブの記録でも陽の目を見たらぜひ聴いてみたいものだ。
チェット・ベイカーは、この年パシフックジャズからリバーサイドに移籍して、それまでに8月、9月とすでに続けて2枚のアルバムを録音していた。
2枚目は売り出し中のジョニー・グリフィンも加わって、これまでのクールサウンド&ボーカルのイメージから、ハードバップ色の強いトランペットプレーにイメチェンを図っていた。
その流れで、引き続き12月のセッションが組まれたが、そこにアダムスが呼ばれた。
以前一緒にやっていた仲なので何か助け舟を求めたのかもしれない。一緒に加わった他のメンバーも、ビルエバンスやハービーマンと前作とは大きく違った編成で、イメチェンを図ったものの中途半端で今一度リセットといった感じだ。
まず、このジャケットのインパクトは大きい。そしてこのジャケットイメージと演奏内容はピッタリだ。
最初の曲“Alone Together”はエバンスのイントロから始まる、情感の籠ったトランペットはこれぞベイカー。それにアダムスのバリトンが絡むようにソロを引き継ぐ。アダムスのお家芸はアップテンポのゴリゴリプレーだが、実はマリガンよりも太いサウンドのバラードプレーも捨てたものではない。
このアルバムは全編バラード~ミディアムテンポのプレーでベイカーの良さが光る。
ということは、リバーサイドに移籍をしてイメージチェンジを図ったが、ベイカーの良い所はやはり「この感じ」だということでこのアルバムになったのかもしれない。これに戻したのはプロデューサーオリンキープニュースだが、コンビを組んだことのあるアダムスの存在も何か影響しているような?
録音を終えた後、1959年の年明けは2人で一カ月近くgigを続けたそうだ。
益々、アダムスとのコンビのプレーを聴いてみたくなる。
1. Alone Together
2. How High The Moon
3. It Never Entered My Mind
4. 'Tis Autumn
5. If You Could See Me Now
6. September Song
7, You'd Be So Nice To Come Home To
8, Time On My Hands
9, You And The Night And The Music
10. Early Morning
Chet Baker (tp)
Herbie Mann (fl)
Pepper Adams (bs)
Bill Evans (p)
Kenny Burrell (g)
Paul Chambers (b)
Connie Kay (ds)
Philly Joe Jones (ds)
Produced by Orin Keepnews
Engineer : Jack Higgins
Recorded at Reeves Sound Studio in NYC, December 30 & January 19, 1959
Chet | |
クリエーター情報なし | |
Ojc |
クルーニーのアルバムご紹介の曲を中心に探してみたいと思います。
有り難うございました。
昔、Mulliganをコンプリートしようとしていた時期に必然的にMulliga & Baker も入ってくるのでよく聴いたものですがBaker単独となると数枚のアルバムがあるのみでそんなに聴いてなかったのですがそんな中でも最も惹き付けられたのはConcierto / Jim Hall でのプレイでした。
ご存知のように当時空前のベストセラーになったこのアルバム発売当日にジャケ買いで購入したのですが全編インタープレイの固まりでJAZZの魅力を最上の形で再認識させられた記憶があり今だによく聴いております。
あまりに聴きすぎてLPを2枚潰し現在のCDはオルタネートテイクなどが追加された関係で3枚目を数えます(笑)
上記Conciertoのメンツも凄かったですがご紹介のChetのメンツはそれを上回る程のオールスターバンドですね。
当時、このアルバムの存在は知っていましたがジャケットの甘ったるいデザインとまたあの怪しい彼のヴォーカルが入っているのではと思い内容を吟味もせず避けていました(笑)
今始めて聴かせていただきましたが素晴らしい内容に当時の不勉強を恥じるばかりです。
Chet とAdams がこれほど合うとは驚きです。
Mulligan と比べて太いトーンなので好対照の二人がより引き立つのではと思ったりもしています。
このアルバム今更ですがHMVに発注しました!
よいものを教えていただき有り難うございました。
Jim Hall のConcierto、これも名盤ですね。
CTIも好きなレーベルでした。
私もすぐに入手した記憶があります。
最近聴いていなかったので早速聴き返しました。
2人に加えデスモンドにハナのピアノもピッタリです。
CDはオルタネイトもありですか、食指が動きます。
確かに今更ながら聴き逃しているアルバムはたくさんあります。
古いアルバムの再発掘で新しいアルバムを聴く余裕がありません。
水と油のようなベイカーとアダムスが実に良く合うのにびっくりです。
エバンスも色々なバンドに顔をだしていましたが、マイルスのグループを経て丁度自己のトリオに収れんされるとき。
エバンスらしさが出ているのでピッタリハマっています。
コメントありがとうございます。
今回YANさんのご紹介でChetは注文させていただいたのですがAdamsの良さも今更ながら認識させられましてHMVで見てみますとEncounterというアルバムが気になりましてメンツ的には凄いので購入しようかと考えていますがこの内容はどんなもんでしょうか?
私のAdamsのイメージは感性むき出しのゴリゴリトーン一辺倒なのですが今回のChetで認識がかなり変わりました!
やはり一流は何をやらせても一流なんですね。
この相手がMulliganならば甘すぎるような感じがし
ますがAdamsだけに少しスパイスが効き絶妙な雰囲気で素晴らしいの一言です。
以前アナログで所有していた時のアルバムはAdamsがヨーロッパに活動拠点を移した時のものばかりで古い時期のものは全く知りませんのでまたAdamsのアルバムを入手したく思うときにはご助言を頂くやもしれませんがその折は宜しくお願い致します。
ゴリゴリトーンで有名なアダムスですが、時代による変化も大きいですが色々なセッションに顔を出しているので時と場合によっては微妙な違いを感じます。
このEncounterは1968年の録音。
アダムスの絶頂期の録音です。
66年にサドメルのレギュラーとして参加して、サドジョーンズが辞めるまでほとんどすべてのセッション&ツアーに参加していると思います。
翌67年は、デュークピアソンのBig bandと掛け持ち。
さらには、ブルーノートを中心にバックのオーケストラ、アンサンブルには必ずといっていい程顔を出し、夜はgigをこなし、コマーシャルのジングルも収録するという休みなしの日々。
68年になると、サドメルは毎週月曜日のビレッジバンガード以外にもコンサートへの参加が増えて来た時期。
7月には日本に初来日しました。いわゆる伝説のピットイン出演があった年です。
サドメル以外にも相変わらずスタジオとライブを毎日のようにこなしていた年末も押し迫った頃の録音です。
レーベルはプレスティジですが、元々はFred Norsworthyというプロデューサーが個人的に制作したものでプレスティッジに原版を売ったもの。
したがって、全くコマーシャリズムに毒され、アダムス&メンバー達が何の制約も受けずに演奏したアルバムです。
目玉は何といってもドラムのエルビンジョーンズ。
エルビンのドラムがアルバムの流れを決めたといっても過言ではないでしょう。
実は、もう一つのポイントはリズムの3人、そしてアダムスが皆デトロイト出身(厳密には郊外ですが)で、若い頃からプレーをした仲ということ。
特に、アダムスとエルビンは前年には毎週のように一緒にクラブでgigをしていた仲。
チェットベイカーとアダムスではないですが、エルビンとアダムスというのも意外に関係が深いです。
この、いわば仲間内のセッションにズートシムスが加わった形ですが、当然エルビンの迫力に押されてシムスも普段以上にホットなプレーをしています。
チェトベイカーとの共演と、丁度対極にあるプレーが聴ける一枚です。