評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
野村のネット証券はうまくいくのか?
ジョインベスト証券という名の証券会社が、野村グループのネット証券として、ネット証券業界に参入する。「後発」と呼んでも失礼でないと思えるくらい遅い参入だが、業界最安の株式売買手数料を掲げて、早期に50万口座程度を獲得する方針という。
野村グループとしても、ネット証券の売買シェアと利益は無視できないところまで来たということなのだろう。もともと、「最大&最強!」を良しとしたかつての野村證券の文化からして、ネット証券に個人顧客の売買シェアを取るに任せたこれまでの行動が不思議だった。シェアが落ちると自己売買の情報力も落ちるし、ひいては顧客の囲い込みにほころびが生じる。他人事ながら、規模を拡大しながら稼ぐ絵を描いて強引とも思える戦略を進めてこそ、野村らしい。
さて、他人事ながら、この参入は成功するのだろうか。最割安水準の手数料は顧客にとって確かに魅力だし、新規に参入する場合に必要な条件なのかも知れないが、ネット証券の株式売買手数料はもう下限に近い水準まで下がっているように思う。数字上まだ下げられる余地はあるが、300円とか500円といった、タクシーの初乗り料金よりも安い手数料で収益を上げるのは大変だ。超大量に取引する顧客をのぞくと、売買手数料は、もうそれほど差別化要因にならないのではなかろうか。
セオリー的には、売買代金や個人客が急増する時期なら、手数料を下げてシェアを取る作戦が成功する公算が大きいが、当面の相場は、取引量的には、むしろ「小康状態」を迎えつつあるように思う。ネット証券の主力商品である、株式売買は明らかに利潤圧迫のプロセスに入りつつあるのではないだろうか。
もちろん、カジノに開業した貸金業者のごとく、信用取引の金利や品貸し料で稼ぐことはできるだろうが、これでコストを吸収しきれるのだろうか。
また、口座獲得には、それなりのコストが掛かる。口座数を急拡大しようとするのも大変だが、ある程度の規模を早く欲しいだろうから、必然的に初期に費用がかさむことになる。
しかも、野村グループのネット証券会社であることの難しさがどう解消されるのかが、現段階では想像がつかない。
たとえば、一般のネット証券の顧客から見ると、手数料や使い勝手で大差がつかないとなると、IPOの株がどれだけ当たるのか、というあたりが期待のポイントになるだろうが、野村證券の対面の顧客もIPO株は欲しいだろうから、ジョインベスト証券だけにIPO株を回すわけには行くまい。
また、株式や個人向け国債などで顧客を集めておいて、投資信託のような手数料の稼げる商品に誘導するのは一つの戦略だが、たとえば、同じファンドが、野村證券では手数料が3%掛かり、ジョインベストだとノーロードだ、ということになると、顧客はジョインベストに流れるはずであり、野村證券のリテール部門との競合が生じる。かつての大手証券系の投信委託会社の直接販売が、親証券のリテール部門との競合を克服できずに結局立ち消えになったような問題は、本質的に解消されずに残っている。
ジョインベスト証券が、収益の充実を求めて、商品やサービスを充実させればさせるほど、野村證券のリテール部門との競合が厳しくなる。今や、下手なセールスマンよりも、ネット証券のホームページの方が、顧客にとってはよほど役に立つ。確かに、投信などは「勧められなければ買いたくないもの」だが、顧客は、同じ商品を買うなら、安く買えるところで買うようになるはずであり、資産数千万円程度以下の顧客の場合、証券会社の人間が手間をかけて、手間に見合うだけ儲けるのは難しくなるのではないか。
証券業界の発展方向としては、これまでのリテールのビジネスは、準法人向け的な取引あるいは大口客向けのプライベート・バンキング的な個別サービス(これとて、本源的なニーズがどれだけ存在するかは怪しいが)と、ネット証券の二つの方向に解体されるのではなかろうか。しかし、これまで、強力なリテール営業に支えられてきた野村證券のような会社の場合、リテール部門が強いだけに、このプロセスでは遅れを取るのかも知れない。
いずれにせよ、ジョインベスト証券には、野村グループの会社であるがゆえに何ができるのか、驚くような成果を見せて欲しい。数年後に、野村證券本体のリテール営業部門を吸収するような勢いで同社が発展するようだと、面白いと思っている。
尚、このテーマ(ネット証券の今後の発展方向)については、「週刊ダイヤモンド」の二週くらい後に発売される号の連載コラムで取り上げた。本稿は、その記事でスペース上取り上げることができなかったテーマについて、メモ的に書いてみたものだ。
もちろん、この書き込みも、週刊ダイヤモンドのコラムも、私の個人的な意見であり、勤務先の楽天証券とは何の関係もないので、楽天証券に対するご意見・ご要望などは、同社に直接言っていただけるとありがたい。
野村グループとしても、ネット証券の売買シェアと利益は無視できないところまで来たということなのだろう。もともと、「最大&最強!」を良しとしたかつての野村證券の文化からして、ネット証券に個人顧客の売買シェアを取るに任せたこれまでの行動が不思議だった。シェアが落ちると自己売買の情報力も落ちるし、ひいては顧客の囲い込みにほころびが生じる。他人事ながら、規模を拡大しながら稼ぐ絵を描いて強引とも思える戦略を進めてこそ、野村らしい。
さて、他人事ながら、この参入は成功するのだろうか。最割安水準の手数料は顧客にとって確かに魅力だし、新規に参入する場合に必要な条件なのかも知れないが、ネット証券の株式売買手数料はもう下限に近い水準まで下がっているように思う。数字上まだ下げられる余地はあるが、300円とか500円といった、タクシーの初乗り料金よりも安い手数料で収益を上げるのは大変だ。超大量に取引する顧客をのぞくと、売買手数料は、もうそれほど差別化要因にならないのではなかろうか。
セオリー的には、売買代金や個人客が急増する時期なら、手数料を下げてシェアを取る作戦が成功する公算が大きいが、当面の相場は、取引量的には、むしろ「小康状態」を迎えつつあるように思う。ネット証券の主力商品である、株式売買は明らかに利潤圧迫のプロセスに入りつつあるのではないだろうか。
もちろん、カジノに開業した貸金業者のごとく、信用取引の金利や品貸し料で稼ぐことはできるだろうが、これでコストを吸収しきれるのだろうか。
また、口座獲得には、それなりのコストが掛かる。口座数を急拡大しようとするのも大変だが、ある程度の規模を早く欲しいだろうから、必然的に初期に費用がかさむことになる。
しかも、野村グループのネット証券会社であることの難しさがどう解消されるのかが、現段階では想像がつかない。
たとえば、一般のネット証券の顧客から見ると、手数料や使い勝手で大差がつかないとなると、IPOの株がどれだけ当たるのか、というあたりが期待のポイントになるだろうが、野村證券の対面の顧客もIPO株は欲しいだろうから、ジョインベスト証券だけにIPO株を回すわけには行くまい。
また、株式や個人向け国債などで顧客を集めておいて、投資信託のような手数料の稼げる商品に誘導するのは一つの戦略だが、たとえば、同じファンドが、野村證券では手数料が3%掛かり、ジョインベストだとノーロードだ、ということになると、顧客はジョインベストに流れるはずであり、野村證券のリテール部門との競合が生じる。かつての大手証券系の投信委託会社の直接販売が、親証券のリテール部門との競合を克服できずに結局立ち消えになったような問題は、本質的に解消されずに残っている。
ジョインベスト証券が、収益の充実を求めて、商品やサービスを充実させればさせるほど、野村證券のリテール部門との競合が厳しくなる。今や、下手なセールスマンよりも、ネット証券のホームページの方が、顧客にとってはよほど役に立つ。確かに、投信などは「勧められなければ買いたくないもの」だが、顧客は、同じ商品を買うなら、安く買えるところで買うようになるはずであり、資産数千万円程度以下の顧客の場合、証券会社の人間が手間をかけて、手間に見合うだけ儲けるのは難しくなるのではないか。
証券業界の発展方向としては、これまでのリテールのビジネスは、準法人向け的な取引あるいは大口客向けのプライベート・バンキング的な個別サービス(これとて、本源的なニーズがどれだけ存在するかは怪しいが)と、ネット証券の二つの方向に解体されるのではなかろうか。しかし、これまで、強力なリテール営業に支えられてきた野村證券のような会社の場合、リテール部門が強いだけに、このプロセスでは遅れを取るのかも知れない。
いずれにせよ、ジョインベスト証券には、野村グループの会社であるがゆえに何ができるのか、驚くような成果を見せて欲しい。数年後に、野村證券本体のリテール営業部門を吸収するような勢いで同社が発展するようだと、面白いと思っている。
尚、このテーマ(ネット証券の今後の発展方向)については、「週刊ダイヤモンド」の二週くらい後に発売される号の連載コラムで取り上げた。本稿は、その記事でスペース上取り上げることができなかったテーマについて、メモ的に書いてみたものだ。
もちろん、この書き込みも、週刊ダイヤモンドのコラムも、私の個人的な意見であり、勤務先の楽天証券とは何の関係もないので、楽天証券に対するご意見・ご要望などは、同社に直接言っていただけるとありがたい。
コメント ( 17 ) | Trackback ( 0 )
« 「優雅な暮ら... | 堀江・宮内対決 » |
>強引とも思える戦略を進めてこそ、野村らしい。
野村らしいと言えば、整髪料で固めた
『オールバック』のヘアスタイルに
白い『カッター!シャツ』を思い出します。
先ごろの設立記者会見では、社長がノータイ姿で
質問に応じていたように記憶していますが、
IT企業系のカジュアル感とは違い、
どこか作為的な匂いを感じさせるのは、
「野村らしさ」が染み付いている方なのかも
しれません。
野村の場合は"内部の"摩擦が大きいかもしれないと
思います。ネット証券の先駆けである松井証券は「か
つては下から数えた方がはやい存在だった」「先代の
娘婿である現社長に代わった際、リストラするまでも
無く営業マンが顧客を持って逃げた」と聞いた事があ
ります。それと確かホリエモンが「SBIの北尾氏は
野村アメリカで"天皇"とまで呼ばれた男で、今なら野
村の社長になれたのだろうが、その頃はそうではな
かったのでソフトバンクに行った。」と言っていたと
いう事も聞いています。
それから週刊朝日の相談コーナーが終わってし
まったのですね。週刊朝日で読むところが無くなって
しまいました。
自分では、旧来の「野村らしさ」的な人物像にはなりたいと思いませんし、この種の人物と付き合うのも大変だなあ、と思うのですが、この種の人々がいなくなった世の中も寂しいなあ、と思います。ちょっと、不思議ですね。
>ブロガー志望さま
ご指摘の「内部の摩擦」をどう克服するかは、組織にとって難しい問題なのだろうと思います。理屈で考えると、スーパーリッチではないレベルの個人客向けのリテール営業は、対面で手をかけた形では成り立ちにくいので、PBとネット証券のような形に発展的に解消せざるを得ないと思うのですが、これまで、こういったリテールの稼ぎで支えられてきた歴史があると、転換は簡単ではないでしょう。
北尾氏には、私は面識がありませんが、彼が作った、Eトレード証券はなかなかいい会社になったのではないかと、私は、思っています。
「週刊朝日」の人生相談コーナーをお読みいただいたようで、どうもありがとうございます。編集長が交代して、しばらくしたので、リニューアルするようで、私の連載は今週号限りです。以前の「マネークリニック」から数えると、連載が相当長期間に及んでいたので、何となく寂しい感じですが、毎週原稿を書いていた分時間的な余裕ができるので、また、何か、やりがいのあることをやろうと思っています。
何か始めるときには、このブログにも書き込みますので、また、よろしくお願いいたします。
とても残念です。
家族で愛読していました。
里帰り中の妻に
「山崎さんの連載が終わったよ」
と話したら
「えー、何で何で」
と嘆いていました。
長い間、楽しませていただいて
ありがとうございました。
また楽しいコーナーを期待しています。
かっこつけたって
てめぇは 要するに金なんだろ
いろんな会社 転々として
要するに 普通の会社じゃ
普通にいられない 変な奴なんだよな
だから 金に走ってるだけだろ
どうせ すぐ削除されるだろな
「コメントありがとうございます」とまで、慇懃には振る舞いませんが、ご指摘の、要するに金なのか、ということを少し考えてみました。
私が、会社に勤めるにせよ、テレビに出るにせよ、原稿を書くにせよ、仕事でやっている以上、「お金」が全く関係ないということはありません。ただ、「要するに」というほど、「お金」が動機になっているなら、私はたぶんちがうことをしているだろうな、と思います。
ちなみに、テレビの出演料は、タレントとして出るわけではないので、そんなに高いものではありませんし、原稿料も時間と苦労を考えると、たいていのライターが「安い」と思っているのではないでしょうか。いずれも、やってみると分かると思いますが、お金を稼ぐ上では効率のいい手段ではありません。まあ、一度やってみて下さい。
これまでの職歴でも、もっとお金になりそうな会社がいくつかありました。しかし、お金に徹することはできずに、何度も転職しました。金融マンとしては、もっとお金に貪欲な方がいいのでしょうし、今後の生活が安心なほど稼いだわけでもありません。生活のために働いています。
「要するに 普通の会社じゃ 普通にいられない 変な奴なんだよな」というご推測には、本人ながら、クスリと笑ってしまいます。確かに、少し変なのかも知れませんが、普通、人は、自分が自分で思うほど「個性的」ではないものなので、自分では「普通程度に変か」というくらいに謙虚に(!?)考えることにしています。
「金に走ってる」というご推測は、いささか想像力が貧しいかと思いますが、ある程度のお金を稼ぐことは必要だと思っているので、否定しようとは思いません。「必要なお金が稼げる範囲で、いろいろな自己主張(広い意味での)をしている」というのが、本人の実感です。
公の方となってしまい、つまらない誹謗中傷をうけることも今後あるのかもしれませんが、それに屈せず、頑張ってください。
コメントありがとうございます。
転職の本については、文春から出ている「僕はこうやって11回転職に成功した」という本の改訂版(12回になりましたし)を準備中です。前回は、「・・・成功した・・・」という書名がどうも自慢話のようで気に入らなかったので、今度は、タイトルを変えるつもりです。
うーろん様もお感じのように、転職は、本人にとっては、それなりに「大変」ですし、12回転職しているということ自体で容易にご想像いただけるように、私の転職は決して成功ばかりではありません。でも、何とかなっているし、本人は悪い気分ではない、というあたりを、うまく伝えたいと思っています。
なお、「誹謗中傷」をご心配いただいていますがが(ありがとうございます!)、まあ、この商売に限らず、人間は、「自分の悪口が聞こえるようになって一人前」だと思っているので、ご安心下さい。
単なる悪口や、急所からずれた批判は、邪魔に感じるものですが、時に議論に負けたり、指摘された本人もヤラレタ!と思うような批判を受けることは、本人の気分として、決して悪いものではありません。
東京都中央区日本橋堀留町1-10-19第一川端ビル6階 電話03-3667-5618
ベンチャーで人使いが最悪。
元々、旦那と起こした会社で定年退職した旦那の父親(今は引退)を役員に迎えたり、
自分の友達やその友達の紹介などで人を集め固めた同族会社の為、新しく入った人で続いてるのはゴマスリの上手い人のみ。
女社長だから女性に優しいとか言ってる割に福利厚生0!!バイトからも不満多し
社員もバイトとも離職率高、
ボーナス・退職金無しのブラック企業
市村洋文の息子(24歳)がパトロンです。
1億6千万円資金援助してもらってます。
作山若子(42歳)は愛人。
市村洋文さんは銀座にあるファーストヴィレッジ(株)の社長で元野村証券にお勤めしていた人です。
「昼メシは座って食べるな!」サンマーク出版。
息子は24歳。5年前に作山と知り合ってます。
19歳のときです。バツイチで子供と親と同居
している作山にとっては、お金を援助してもらい。自分の性欲も解消できる市村の息子との
愛人関係は好都合だと思います、毎週、市村のマンションに通ってます。
AIJには浅川という社長と、イカサマ野村には大沢義博という定年間際の出遅れ課長が居ました。二人は、大学も野村も先輩後輩の関係でした。やった悪事もケイマン諸島の投資信託で多大の人に迷惑を掛けました。浅川は多くの企業に、大澤は個人投資家に先輩と同じように迷惑を掛けました。でも、浅川は犯罪人、大澤はお咎めなし、名古屋地裁の谷口さん、何か矛盾を感じませんか。
非難が占めております。これは矢張り由々しき問題です。
監督官庁はもっと厳しい法制化を急がないと国民に不幸があまりにも多くふりかかります。「云った云わない」問題は、殆ど地裁は野村も勝訴にもって行きます。裁判官が公平に判断できる「残る証拠」を野村に義務付ける方法を法制化し投資家は、金融庁の「大臣目安箱」を使って意見を述べよう。
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August 27, 2019
昭和51年慶応経済卒の野村證券の詐欺師は、今どこにいるのか、連絡せよ。おきゃ