評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
ライブドアショックの翌日
前場、日経平均は、310円高。マーケット全体に対するショックは、取り敢えず収まったようです。朝のテレビ(とくダネ!)では、「ライブドア以外の銘柄の業績には関係ないのだから、むしろ買いチャンスです」と証券会社のオッサン(まあ、その通りなのだけど)的なことを言って、自分では少し気が滅入っていたのですが、理屈通りリバウンドしてくれて良かった(市場の反応に「良かった」と感じるのも情けないが)。
それにしても、テレビでも話しましたが、450万件が処理の限界で、300万件に乗っていたのに、対策を取っていなかった東証の責任は重いのではないでしょうか。それなのに、東証の西室社長は「ライブドアへの強制捜査が原因であることは明らか」と責任はないと言いたげな態度でした。彼は東芝出身の民間人トップですが、もう東証の官僚的体質に染まったようです。
ところで、ライブドアの強制捜査と株価下落がショックとして波及するメカニズムの中で同社株の担保掛け目をゼロにしたマネックス・ビーンズ証券の措置の影響は大きかった。「担保としての価値を認められない」という、会社側の信用リスク管理の感覚は理解できるとしても、顧客にとっては、二重に「想定外」の事態となったわけですから、これはキツかった。顧客の側の予測可能性の問題としてどうだったのか、些か顧客に厳しすぎなかったか、ということは考えさせられました(はっきり「悪い」とまでは言えませんが)。
そういえば、マネックス・ビーンズ・ホールディング社長の松本大さんと本を出していた、眞鍋かをりさんが、「とくダネ!」のコメンテーターでこの日出演していました。何だか、マネックスの人が居るような錯覚を覚えました。
この番組で報道された内容については、「楽天証券の投資評価 A(最高)→E(最低)へ」という字が画面に出たので、これにも触れておきます。本当は出して欲しくなかったのですが、フジテレビが調べてきた事実なので、私としては敢えて削除は求めませんでした。(解説者が報道をねじ曲げてはいけませんから)
これは、楽天証券のアナリストによるものですが、事件の以前に投資評価「A」であった、と出たのは、会社としては正直なところ、何とも格好が悪かった。しかし、アナリストを弁護する訳ではありませんが、財務を分析し、会社訪問を重ねても、粉飾を見抜くのは難しい。会社側に本気でごまかされると、殆どの場合、どうにもなりません。
レポートを書いたアナリストは、外資系証券出身の一流アナリストで、かつて日経金融のアナリストランキングでトップだったこともある人です。私の知る限り、知識アイデア共に豊富ですし、人柄も誠実で、何よりもこの仕事に対して熱心な方です。それでも、ライブドアの粉飾は分からなかった、というのが現実です。
投資家としては、専門家(アナリスト、ストラテジストなど)の判断は、あてにならないものだという現実を前提として強く意識すべきだと思います。もっとも、これは、悪いことばかりではなくて、株式市場では、情報の上でプロとアマの条件は、ほぼ同等なのだということでもあります。これはこれで、象徴的、教育的なケースなので、敢えて書いておきます。
それにしても、テレビでも話しましたが、450万件が処理の限界で、300万件に乗っていたのに、対策を取っていなかった東証の責任は重いのではないでしょうか。それなのに、東証の西室社長は「ライブドアへの強制捜査が原因であることは明らか」と責任はないと言いたげな態度でした。彼は東芝出身の民間人トップですが、もう東証の官僚的体質に染まったようです。
ところで、ライブドアの強制捜査と株価下落がショックとして波及するメカニズムの中で同社株の担保掛け目をゼロにしたマネックス・ビーンズ証券の措置の影響は大きかった。「担保としての価値を認められない」という、会社側の信用リスク管理の感覚は理解できるとしても、顧客にとっては、二重に「想定外」の事態となったわけですから、これはキツかった。顧客の側の予測可能性の問題としてどうだったのか、些か顧客に厳しすぎなかったか、ということは考えさせられました(はっきり「悪い」とまでは言えませんが)。
そういえば、マネックス・ビーンズ・ホールディング社長の松本大さんと本を出していた、眞鍋かをりさんが、「とくダネ!」のコメンテーターでこの日出演していました。何だか、マネックスの人が居るような錯覚を覚えました。
この番組で報道された内容については、「楽天証券の投資評価 A(最高)→E(最低)へ」という字が画面に出たので、これにも触れておきます。本当は出して欲しくなかったのですが、フジテレビが調べてきた事実なので、私としては敢えて削除は求めませんでした。(解説者が報道をねじ曲げてはいけませんから)
これは、楽天証券のアナリストによるものですが、事件の以前に投資評価「A」であった、と出たのは、会社としては正直なところ、何とも格好が悪かった。しかし、アナリストを弁護する訳ではありませんが、財務を分析し、会社訪問を重ねても、粉飾を見抜くのは難しい。会社側に本気でごまかされると、殆どの場合、どうにもなりません。
レポートを書いたアナリストは、外資系証券出身の一流アナリストで、かつて日経金融のアナリストランキングでトップだったこともある人です。私の知る限り、知識アイデア共に豊富ですし、人柄も誠実で、何よりもこの仕事に対して熱心な方です。それでも、ライブドアの粉飾は分からなかった、というのが現実です。
投資家としては、専門家(アナリスト、ストラテジストなど)の判断は、あてにならないものだという現実を前提として強く意識すべきだと思います。もっとも、これは、悪いことばかりではなくて、株式市場では、情報の上でプロとアマの条件は、ほぼ同等なのだということでもあります。これはこれで、象徴的、教育的なケースなので、敢えて書いておきます。
コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )
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「担保価値の評価が困難になったと総合的に判断される場合に、その担保掛目を下げることは、経営の選択肢の一つであると考え」、今回の5銘柄の引き下げについて「市場全体に対する影響を検討し、特に大きな影響はないものと判断」し即日実施、本日(19日)に至るも「当社による(中略)掛目の引き下げと、ここ数日間の市場全体の株価変動との間には、因果関係があるとは考えておりません」。
ただ、「如何なる理由であっても、多くの方に憤りの気持ちや、不安な気持ちを持たせてしまっていることにつきましては、大変心苦しく思っております。申し訳ございません」。
う~む。
自分たちの行為がモトで不安になった投資家はたくさんいるだろうが、その不安になった人たちが取った行動とウチらとは関係ない、と突き放しておられます、松本さん。ちょっと好感度が落ちたとみました。
それにしても、ライブドアにしろソフトバンクにしろソニーにしろ、個人投資家が大好きな銘柄って、不運ですね(もちろん不運なのは個人投資家で、カイシャじゃないです)。
その反面 9月にスタートした友人はIPOで運良く儲けた後は ・・・。 です! 今回に反発にも乗り切れず・・・。
ビギナーズラックで万馬券取ったようなもんで 最終的にお金の流れる方向は・・??? (知りたいですね?) やはり 素人さんは勝てないのが株式市場なのかな?(授業料ですね!) 情報量は同じと山崎さんのコメントにあったとおりだな~~と思います。
リスクとリターンとゆう考えでは競馬と同じようなもんで、強いやつが勝つ気がします。
内田博 ハーツクライに がつん!
いらっしゃいませ。確かに、今回、マネックス・松本大さんは好感度を下げたかも知れませんね。ライブドア株はどうせ下がるのだし、ルール通りでも投資家にはキツイ。投資家の「予測可能性」を超えて、自社の利益を守るために「担保価値ゼロ」と決めた様子は、与謝野金融大臣流に言うと、「美しくありませんでした」。
しかし、これでまた、ネット証券他社がマネックス叩き・松本叩きの話に打ち興じるのかと思うと、これもまた、せせこましくて、情けない。
>虎治朗さま
結局、短期のトレーディングの損得は、参加者間の合計が原則ゼロですから、他の博打と一緒で、全体を見ると、寺銭を取る証券会社が一番有利な立場です。一流雀士といえども、雀荘のバアさんにはかなわないのが、ギャンブルの世界の宿命です。
そして今回の事件で、不正工作以上に驚かされたのは、東証のシステムの脆弱性でした。やはり官僚体質を引きずった、旧態然とした体制だった。いくら民間人を入れても競争がないところに進歩はないのだろうか?いやトップのリーダーシップだと思う。世界で熾烈な競争をしてきたトップの言動には一寸驚いている。
私の何時止まってもいいコンピュータでもスピードや容量を仕事に合わせて十分過ぎるぐらいにしている。世界と競争している東証はハードもソフトも世界のトップを走っている日本の技術力を駆使してアメリカやイギリスを越えたシステムを構築して欲しい。
株取引のマナーをユーザー皆に教育するのは難しいけれど止まらないシステムの構築はやれば出来るはずです。
事態を立て直そうとする方たちの、努力がまず報われて欲しいと願ってます。
本もぼちぼち読んでますが、こういう事態があっても、希望を失わずに、経済に関わっていくのが望ましいのかな?
これから、発展する会社を、応援しつつ、自分も、稼ぐ事が出来たら、一石二鳥ですよね。
ひとつは政治家であり、もうひとつは外資系投機筋です。 そしてこれらの動きは、まさに空白の10年(15年)といわれた前のバブルのときと同じです。
あの時は土地を中心としてその資産価値を中心に株が買われたというのが一般的な見解でしょうが、中身は外資系投機筋が、企業価値に対して低い日本の株価に目をつけて投機して膨らみ、株価が上がっていったわけです。
で、小糸製作所事件を契機に、日本企業の高止まりと経営への不介入が外国投機筋に認められるとさっさと売られてしまい、株の大暴落になり、その副産物として不動産の下落を招きました。
今回は、前回の不動産がITに変わったという関数で考えれば、納得できるのではないでしょうか?
いずれにしても、個人投資家(投機家)は、踊らされないことだと思います。
企業価値をもう一度見つめなおさなければいけないのではないでしょうか?
その点、楽天とても、同様です。