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マーケティングの付加価値と罪について

 資産運用のビジネスは、考えれば考えるほど、マーケティング勝負のビジネスだ、ということが言える。現実をリアルに見ると、顧客は、良いファンドマネジャーや運用会社を事前に見分けることなどできないし、運用者の側でも本当に他人よりも良い運用が出来るという確信があれば、他人のお金ではなく、自分のお金(借りたっていい)を運用するはずだ。
 自分はファンドマネジャーを選ぶことが出来るという大いなる勘違い(「オーバー・コンフィデンス」から来る)と、他人には負けないけれども絶対に勝っているわけではないという運用者側の自信のない空元気とが重なり合う僅かな場所を、「良い運用」というものが存在し、これを「見分けることができる」という二つのフィクションを押し立てて商売にするマーケティングの行為こそが運用ビジネスの本質だ。
 ちなみに、「運用力」というものは、鍛えて強くなる筋肉のようなものではない。運用会社の社長はしばしば、「運用力を強化する」と発言するが、本気でそうできると思っているなら、その人は阿呆だろう。正確にいえば、運用の商品力を強化するために、運用部門に金をかける、ということは出来るのだが、それが運用成績に結びつくか否かは分からないし、少なくとも、経営上計算できるものではない。
 平凡な運用を、非凡に上手く売り付けることこそが、運用ビジネスの要諦である。
 そこでクローズアップされる技術が、マーケティングということになるが、運用商品の場合、マーケティングの役割を考えると、些か憂鬱になる。
 運用商品は、インプットが「お金」であり、アウトプットも「お金」であって、目的は、お金を増やすことだ。マーケティング活動により、顧客の購買行動に至るようないろいろなイメージが形成されたり、顧客の満足感に差が出たりはするだろうが、その運用商品を買ったことが意思決定としてどの程度損だったか得だったかが、金額ベースで計算できてしまう(たとえば、たまたま儲かった商品でも、後から分析してみて、実は運が良かっただけで、意思決定としては、ひどく損だった、というようなことが、分かる人には分かる)。
 マーケティングに顧客満足を増大させる付加価値があるとも言えるだろうが、この付加価値は、運用商品の目的に照らして評価すると、後から空虚なものだったと簡単に分かり、リセットされてしまう。いい加減なマネーライターのように、気休めや勘違いも効用のうちだ、という前提で運用を考えるなら、運用商品のマーケティング活動に対してポジティブな気持ちを維持することが出来ようが、ある程度以上の知識をもって、且つ真面目に考えるなら、マーケティング活動は、インチキ商品を高く売るための、騙しのテクニックを体系化したものに過ぎない、とも見えてくる。
 加えて、行動ファイナンスやその裏付けとなる脳科学の発達が、運用商品のマーケティングに体系的に悪用されつつある。これらが、人間の意思決定の非合理性の傾向を研究するものだとすると、「非合理性」の程度は、合理的な意思決定との損得で測ることが出来るが、その「程度」は、運用商品の売り手が利益を獲得するための原資になる。
 しかも、たとえば短期の時間選好率が非合理的に大きい双曲割引のような現象が、脳科学的に裏付けられた、人間のやむを得ない傾向性だとすると、これを利用した消費者金融のマーケティングや、多分配型のファンド(最近、私は、「猿が喜ぶ朝三暮四ファンド」などと呼んでいる)のマーケティングなどは、人間の弱さにつけ込んだ悪事の領域にあるのかも知れない。
 さりとて、たとえば、出来るものなら自分でやってみたいと思う、「投信のユニクロ」(取りあえず、顧客が払う年間の総コストが50ベイシス以下のアクティブ・ファンドとしておこう)を実現しようとすることを考えると、考慮のポイントはもっぱら販路であり、売り方であり、つまりは、マーケティングということになる。
 運用商品に限らず言えることだと思うが、少なくとも、「マーケティング」というものは、ビジネスを活性化する光の部分だけに注目すべきものではなく、その蔭の部分にも着目しなければならないと思う。顧客の側では、マーケティングに対する免疫を持つ必要があり、それはある種の啓蒙活動によって可能だと思うが、問題は、この予防注射の費用を負担してくれる主体が見あたらないことだ。
 運用あるいは金融におけるマーケティングというものについては、引き続き考えて行きたいと思っている。
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コメント
 
 
 
恐れ入ります (のんきなとうさん)
2006-11-16 12:03:02
恐れ入ります。でもこんな事ハッキリ言って良いのかなとチョト心配でもあります。月の出ない夜もあるし・・・・・
 
 
 
Unknown (ny)
2006-11-16 12:30:58
山崎様

最近、海外の高配当銘柄への投資をうたった投資信託の広告を見かけ、ちょっとよさげだなと思って手数料を確認してみると、販売手数料3.15%に信託報酬が1.718%、合計で4.8%以上!!

配当目的での運用に、米国債なみの手数料もぎとるとは、びっくりです。一体何%の配当を得られるのか運用者に問い詰めてみたいものです。

リートのようにレバレッジをかけるならまた別ですが、それでは安定した配当を得るというファンドの目的とも違ってきてしまいます。

普通に考えれば為替リスクを負う上にこんなに手数料がかかるならリスクフリーの米国債の方がいいと判断できそうですが、
こんなものがうれてしまうなら日本人のファイナンシャルリテラシーもそうとう危険水準ですね。
高額な手数料で売る厚顔無恥さもマーケティングには必要なのかもしれません。

ひとつファンドのアイディアなのですが、利益・資産・CFなどの面から定量的かつ機械的に割安銘柄を選んで投資する「ウォール街で勝つ法則ファンド」みたいなものはできないでしょうかね。
これならマネージャーは一人でいくらでも運用できるのではないかと思います。手数料もインデックスファンドと同じレベルで出来ると思います。
まあ、あまりにも地味な上に山崎さんも書かれている「運用力」を否定するような手法ですから証券会社は売ってくれそうにありませんが。。

投資・金融関連の宣伝の胡散臭さはずいぶん前から自分も気になっていたので、ぜひ今後も継続して記事を書いて欲しいです。
 
 
 
Unknown (田中大介)
2006-11-16 13:02:12
>「猿が喜ぶ朝三暮四ファンド」

(笑)

グロソブは悪く言えばほとんど詐欺ですよね・・・
 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-16 14:41:57
>のんきなとうさん様

「マーケティング」というものの本質を主として金融を題材に明らかにしてみたい、とは、近年考えていることです。商品の具体例を入れ、運用会社の様子を書き、行動ファイナンスの解説でページを稼ぐと、新書本一冊くらいにはなると思うのですが、もう一捻り欲しいなあ、と思って、考えを温めているところです。

>nyさま

運用そのものの方法やコストについては全然心配していません。仰るように、ファンドマネジャー一人で十分運用できると思います。面白い仕事なので、片手間にやるのは勿体ないのですが、片手間に私がやってもいいくらいです。

販売は、主としてネットを通じた直接販売が良いのでしょうが、50ベイシスが信託報酬で、40ベイシスが運用会社の取り分だと考えると、残高1000億円では会社を維持することが厳しそうですから、何とか2000億円まで持っていかねばなりません。さわかみファンドなどの例を見ると、時間をかけると何とかなるようにも思えますが、その時間を耐えてくれるスポンサー探しは大変です。

尚、金融商品を単なるマーケティングの素材と考えると、価格(=手数料)が高いものの方が有り難いと顧客が判断する可能性もあり、この辺り、ご指摘の「マネーリテラシー」の教育が本当に必要です。

>田中大介さま

グロソブは、最初から猿を目当てに作った商品ではないでしょうが、気がついたら、お猿さんと猿相手の商人達がわさわさ寄ってきてしまったのでしょうね。

某大手運用会社のビジネス勘の悪い東大出の社長さん(現在は、もっと偉くなっておいでですが)が数年前に「あれは合理的ではないから、ウチは追随しない」と決めて、成長機会を逃したように、非合理的だけれども、ツボにはまっている、という状態にはなかなか侮れないものがあります。
 
 
 
なんか似たような話やね (作業員)
2006-11-16 21:08:28
友人に霊能力者がいて、今、一時間半二万円でぼろ儲けしている。新規お客さんは半年待ちらしい。ポスト江原だと思って大事にお付き合いしようと思っていたら、真っ先に、わしから切られた。不安、を商売にするのが一番じゃ。山さん、絶対、キーワードは不安よ。それにしても、わしから切るところが、ひょっとして霊能力、本物か、とも思う秋の夜長である。
 
 
 
投信のユニクロ (水瀬 ケンイチ)
2006-11-16 21:11:38
山崎さんの「投信のユニクロ」、ずっと前から期待しております。
ユニクロと言わず、「g.u.(ジーユー)」並みのコストのアクティブファンドを、ぜひ実現させてください!
 
 
 
Unknown (トーレス)
2006-11-16 23:34:00
いつも楽しく拝見させていただいております。

山崎さんはよく「安定的に市場をアウトパフォームできる能力を持った運用者などいない。」といった趣旨の事をおっしゃっていた記憶があるのですが(あいまいな記憶ですが...)、それなのに「安いコストのアクティブファンドがあれば良い」とおっしゃるのはどうしてでしょうか?前者を前提にして考えると、パッシブファンドの方がよいということではないのでしょうか?わざわざ(ユニクロ並にリーズナブルなコストの)アクティブファンドを推奨される理由はあるのでしょうか?
 
 
 
Unknown (トーレス)
2006-11-16 23:34:30
トーレス

いつも楽しく拝見させていただいております。

山崎さんはよく「安定的に市場をアウトパフォームできる能力を持った運用者などいない。」といった趣旨の事をおっしゃっていた記憶があるのですが(あいまいな記憶ですが...)、それなのに「安いコストのアクティブファンドがあれば良い」とおっしゃるのはどうしてでしょうか?前者を前提にして考えると、パッシブファンドの方がよいということではないのでしょうか?わざわざ(ユニクロ並にリーズナブルなコストの)アクティブファンドを推奨される理由はあるのでしょうか?
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-11-17 00:57:54
山崎さんの文章を読んで言わんとしていることは、なんとなく分かるような気がするのですが、私のような業界とかかわりのない素人にも分かりやすく書いていただけないでしょうか。

内容はとても大切なことで、それができるのは山崎さんくらいだとおもってます。御願いします。
 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-17 03:19:51
>作業員さま

「霊能力があるかも知れない」と思わせるテクニックと、「運用力があるかも知れない」と思わせるテクニックは、多分、共通でしょう。

また、生命保険、化粧品、健康食品、プライベートバンク、・・・、と、マージンの大きな怪しい商品は、「不安」を喚起しておいて売るのがマーケティングの定石のようです。

>水瀬ケンイチさま

ともかく、コストの安いファンドを作りたいと思っているのですが、ビジネス的には、ハードルが高いですね。何とかしたいとは思っていますが・・・・・。

>トーレスさま

少し前なら、TOPIX連動のパッシブファンドでもまあまあ良かったのですが、Topixも浮動株指数になってしまい、ウェイトが変わる度に、トレーダーに鞘を抜かれる情けないインデックスになってしまいました。

経営的には、パッシブファンドとアクティブファンドでは、実は、銘柄数とトレードが少なくて済む分、アクティブファンドの方が安上がりなのです(アナリストなんて抱えても役に立ちません)。

市場の平均(観測が難しくなっていますが)とどっこいどっこいで良ければ、アクティブファンドの方が面白くて且つローコストにできるように思います。

>Unknownさま

分かりにくくてスミマセン。同じテーマを次回に書くときまでに、分かりやすい文章を身に着けるように努力します。それまで、決して、投資信託や個人年金保険を買わずにいていただきたいと思っています。
 
 
 
Unknown (貞子ちゃん)
2006-11-17 10:58:55
山崎様 こんにちは。
『最近、私は、「猿が喜ぶ朝三暮四ファンド」などと呼んでいる)のマーケティングなどは、人間の弱さにつけ込んだ悪事の領域にあるのかも知れない。』とのこと。激しく同意しました。
投資信託のユニクロって発想 すごく素敵ですね!!!
私も近いうちに 毎月分配型の投資信託について、なるべく分かりやすく記したいと 熱望しております。
グローバル・ソブリンは 創設当初は 毎月の分配金を 実際に営業マンお方が現金を持って お客様の家庭を尋ねたそうです。ツボを心得ていると思いますが・・・・家をバリアフリーにしようと思って解約したら、元本が激しく割れていたような事態になるのではないか・・・そんな風な危機感を持って眺めています。
先週 とんでもないこと(アクティブとパッシブ、株式運用中心と債券中心、これらのファンドをごっちゃにしたままで ちゃんと区別しないまま投資信託の手数料の説明をすること)に自分のブログでチャレンジしてしまいました。(^^;内容は 自分でも満足できるものでは無かったですが、けっこう好評でした。
(N2証券系の方から クレームと思しきメールが届いたりしましたが。。。)TBを遅らせて頂きます。
山崎様のご健勝を名古屋からではありますが いつもお祈りしております。

 
 
 
Unknown (tarou)
2006-11-17 13:13:03
はじめまして。たろうと申します。

いつも楽しくブログ読ませてもらっています。

上のコメントで、
>Unknownさま
>それまで、決して、投資信託や個人年金保険を買わずにいていただきたいと思っています。
とお書きになられておりますが、
いい商品が出るまでまったく投資をせずにいるよりも、
今ある商品の中でベターな物を選択して早く投資を始める(資産を分散させる)方が合理的だと思いますが、いかがでしょうか?
もちろんあまりに悪質な商品は買うべきではないですが、まあ許容範囲内だ、と思われる投資信託はないのでしょうか?
 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-17 16:20:05
>貞子ちゃん様

毎月分配型のファンドは、「毎月の分配金は○○円で、ずっと安定している」ということばかりが強調されて売られるケースがあるようなので、ご指摘のようなケースが起こる心配がありますね。

商品の問題というよりも、売り方が問題なのかも知れませんが、困ったことです。

>tarouさま

ご意見にも一理ありますね。敢えて探すことにあまり気が進みませんが(自分で株を買う方が良いので)、たとえば設定が古くて、信託報酬が70-80ベイシスくらいのファンドがまだ残っているケースがあります。ただし、熱心に運用しているかどうかは疑問がありますし、販売政策的には、早く償還しようとするでしょうから、信託報酬だけ見て選べる、というものでもなさそうです。

インデックスファンドが銘柄の入れ替えやウェイト変更でダメになった(ETFには配当取りの問題もあります)ことが痛く、現在、なかなか勧められるものがありません。

まして、個人年金保険なんて、言語道断ですしねぇ・・・。

それに、Unknown様の場合は、金融マーケティングに関してもう一つ良く分からないと仰っているので、そういう方は無理に投資しなくていいと思います。

アメリカでも、運用業界の影響を受けたと思える学者などは、「本人がよく分からなくても、投資できるように習慣づけをすることは、親切として良いことだ」といった意見を持つことがあるようですが、私はこの意見には賛成しません。「投資しておくと、長期的には確実に儲かる」などということは、誰も責任を持って言える話ではないので、本人の理解と決断を待つのが正しい投資教育だと思います。

 
 
 
インデックスとアクティブと現物 (とりさん)
2006-11-17 20:57:17
イニシャルとランニングコストで考えると、コスト的には現物<インデックス<アクティブだと思います。
コスト的にアクティブを買う理由がありません。
やはり現物が一番良いと思いますが、生活を金融関係の以外の仕事をしているのであれば、現物を選考する時間と手間と相場感がなければ、インデックスが一番だと思っています。現物に対しての相場観もは危うい物なので、勝ち負けは半丁博打でしょう。
インデックスをメインにして、残りの少額の金を自分の相場感で運用するのが、小心物の自分には合っていると思ってやっています。
インデックスの銘柄入れ替えで、コバンザメが勝っているとは思っていません。短期的なトレーダーの勝ち負けは、ゼロサムでは無いでしょうか?
資本主義が拡大再生産という前提があると思っています。
であれば、買ってほっておくというスタイルは、長期の運用では、面白いのではないかと思ってます。
少なくとも預貯金よりは面白いのではないでしょうか。
ただ、日本株式についてはそうは思えない状況が15年以上続いていますので、海外インデックスの方が正しかったという事実はあります。日本は資本主義ではなく、(発展途上では効率的な)社会主義国家であった事が原因だと思っています。
相場の綾やうねりで”さやを抜く”という意識が、長期でできれば良いかと思いますが、そうではないのでしょう。
長期という言葉が短すぎると思います。そんな相場感を感じています。
 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-17 21:20:11
とりさん様

コバンザメは大したことがないのですが、証券会社の自己売買は、ほぼ、コンスタントに勝っているようです。日経平均の場合、小規模な入れ替えでも、数十ベイシスのロスがインデックス側に出ています。TOPIXではまだ計測したことがありませんが、良い感じはしませんね・・・。
 
 
 
毎月分配型(ソブリン型)ファンドについて (貞子ちゃん)
2006-11-17 23:49:53
山崎様

『それはある種の啓蒙活動によって可能だと思うが、問題は、この予防注射の費用を負担してくれる主体が見あたらないことだ』とのこと とても共感しました。
不肖貞子、微力ながら 自分のブログで『多分配型のファンドについて啓蒙活動』もどきを 本日挑戦してみました。ちょっと自分では自信作です。1万文字くらいを書いたので きょうはとても疲れました。

TBをあつかましく3件送らせていただきます。

お手の空いた時間に読んでいただけたら とても幸いです。
 
 
 
損保各社のマーケティング (toyshop)
2006-11-18 23:04:55
再び生保、損保の不払い問題が上がっています。

生命保険、医療保険と比較したとき、
・損害保険は将来必要となる金額の見積もりが困難(ボラティリティが大きい)
で、貯蓄で賄うことが難しい
・医療費のように公的補助では対応できない(この点についても意外と自分が知らない点があるのでしょうか?)
の2点で、損害保険の存在意義は生命保険、医療保険よりも大きいと考えられます。

ただ、
商品数またその複雑さ故に過剰包装で、
売る側でさえ、一部の人を除いて中身が良くわからない商品を売っていた
ように見えます。
(結局、セールスの教育コストが上がっている?)

不払い問題は、
顧客をカモにしようとワナを仕掛けた(複雑で分かりにくくした)つもりが、
自分(同僚)も引っかかったようにも見えて、ちょっぴり滑稽です。

これらを考えると、むしろ商品をシンプルにして、商品管理の簡素化、
セールスの教育コストの低下、付加保険料の削減を行った方
が、(「消費者が賢くなれば」という前提つきですが)売れそうなのではないかと
思いますが、どうでしょうか?

いつも、質問ばかりですいません。
 
 
 
山崎がファンドを作ったら (ベルカンプ)
2006-11-19 00:35:56
儲かるのかね?(笑)
ほえるのはそれを見せた後でもいいような気がするが。

 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-19 18:59:06
>toyshopさま

保険商品が必要以上に複雑だというのは、仰る通りだと思います。本当は、顧客が損得を考えやすいように、シンプルな物の方がいいのでしょう。

特に、保険に対するコンサルティングが十分発達した場合には、シンプルなものが安価にあるといいのでしょうし、これが理想です。

しかし、ビジネス面を考えると、人は(特に日本では、かも知れませんが)コンサルティングの形になるとなかなか明示的に費用を払いたくないようですし、保険の場合も、保険会社の儲け(経費部分を含む)を見せてしまうと、これを契約したくなくなるのかも知れません。

とはいえ、無用な複雑さに対する多少の歯止めと、情報開示はもっと必要ではないか、と思います。

>ベルカンプさま

この程度の話で、「ほえた」なんて思っていただくと、恐縮しますね。
 
 
 
Unknown (たろう)
2006-11-20 13:27:22
山崎様

質問に、回答していただきまして、ありがとうございました。
山崎様のようにご活躍されている方とこんなに簡単にコミュニケーションが取れるなんて、すごい世界ですね。ブログっていうのは。


念のためにお聞きしたいのですが、
適当な日本株の投資信託がないから円預金にすべて置いておくべきだ、
というお考えではないですよね?


>ご意見にも一理ありますね。敢えて探すことにあまり気が進みませんが(自分で株を買う方が良いので)
たしか山崎様は雑誌などで、ETFなどを買うよりも、10銘柄程度の個別銘柄を、リスクの大きさ、種類や産業分野などを分散するように選択して自分なりのファンドを組んだ方が良い、と提案されていたと記憶しております。それが、「(自分で株を買う方が良いので)」という意味だと思いました。

つまり、山崎様のお考えでは、個人投資家の取る立場として、日本株に関しては、
アクティブファンドは買うのも、自分で作るのも論外として、
パッシブファンドを買うよりも、インデックスに連動するように簡易パッシブファンドを自分で作るのが、今のところベストである、ということだと理解しましたが、それでよろしいでしょうか?

(私もぜひそうしてみたいと思うのですが、どうしても自分で個別銘柄を選ぶことに抵抗があってETFを少しずつ積み立てることしかできておりません。誰か信頼できる方のお墨付きがほしくなってしまうのです。ちょっと情けないですが・・・。)
 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-20 15:33:43
たろう様

こんにちは。

ちょっと説明不足でしたか。

自分で株を買う場合も、ファンドであっても、アクティブ運用で構わないと私は思っています。インデックス運用が「特にいい」という結論は理論的には導けません。

勝ち負けはあっても、自分で良かれと思うポートフォリオ(もちろんリスク分散されているものです)を作ると、数銘柄のポートフォリオで、トータルリスクに関しては、インデックスとそう違わないものが出来ます。

たとえば福井日銀総裁の個人ポート(キッコーマン5千、新日鐵1万、富士通5千、三井不動5千、商船三井1万)の推定リスクは19.5%くらいなのですが(11月初旬。Riskscopeによる)、この時点のTOPIXの推定リスクは17.2%くらいです。ポートフォリオとしては、ちょっと三井不動産のウェイトが過大ですが、まあ、上手いものです。

銘柄は彼の真似をしないほうがいいと思いますが、こんな調子でいいと思います。

「お墨付き」といっても、「お墨付き」した人が利回り保証するわけではないでしょうから、たぶん、ご自分で選んだ銘柄が失敗だったときに、自分について後悔するのがお嫌なのでしょうね。

「同じように損をするなら、他人の言うことを聞いて損をしたのよりも、自分で決めて損をした方が、余程スッキリする!」と考えることができるようになると、株式投資にも人生にも、より向いているようになると思うのですが、いかがでしょうか。

無理強いはしませんが、これは価値のある意識改造だと私は思っています。
 
 
 
Unknown (たろう)
2006-11-20 17:49:07
回答、ありがとうございました。

誤解しておりましたが、おかげさまで、よくわかりました。

また、コメントさせていただきます。
 
 
 
Unknown (ベルカンプ)
2006-11-21 21:56:25
「同じように損をするなら、”山崎”の言うことを聞いて
損をしたのよりも、自分で決めて損をした方が、
余程スッキリする!」と考えることができるようになると、株式投資にも人生にも、より向いているようになると思うのですが、いかがでしょうか。

というのが結論ですな
 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-22 00:54:19
ベルカンプさま

正解♪ その通りです! 私が言ったことの要点をわざわざ繰り返していただいて、どうもありがとうございます。
 
 
 
インデックスファンドの有用性 (たいこもち)
2006-11-23 20:34:51
>インデックス運用が特に「特にいい」という結論は理論的には導けません。

しかしアクティブ運用の大部分はインデックス運用に負けているという現実があるのでは?

だとすれば現実問題としてインデックス運用を選択するのもありだと思うのですがいかがでしょうか。
 
 
 
追記 (たいこもち)
2006-11-23 21:16:40
それに例の「こばんざめ」の件でも、今ではみんなが同じことをするので最近は負けている、つまりインデックスの方がもうけているという話もあるブログで読みました(私のような素人にはこの話が正しいかどうか判断はできませんが)。

それに自分で数銘柄でポートフォリオを組んでそのうち一社が倒産したりすると目も当てられない、それならインデックスの方がましのような気がするんですが。(これもまったくの素人考えですが)

あの三洋電機だって経営悪化の直接的原因は中越地震で半導体工場が大被害を受けたことがもとで、こういうのって予見できないと思うのですがいかがでしょうか。
 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-23 22:28:49
たいこもち様

インデックスを喰うのは、個人投資家のコバンザメではなくて、ジンベイザメのようにでかい証券会社の自己トレーダー達です。

本当は、インデックス・ファンド側が適当な裁量を持ったり、まじめにリバランスしなかったりすればいいのですが、現状では、まだまだ心配があります。

数銘柄のうち一社が倒産、というのは確かに痛いでしょうが、そのために分散投資しているのですし、「一銘柄の倒産」と「二銘柄の半減」は効果として一緒ですから、「倒産」にはこだわらない方がいいと思います。

まあ、つべこべ考えずに、取りあえずインデックス、という選択は、信託報酬1.5%のアクティブファンドを買うよりは、あり得るとは思いますが、目下の状況では積極的にお勧めは出来ません。
 
 
 
Unknown (ベルカンプ)
2006-11-23 22:52:57
>まあ、つべこべ考えずに、取りあえずインデックス、という選択は、信託報酬1.5%のアクティブファンドを買うよりは、
>あり得るとは思いますが、目下の状況では積極的にお勧めは出来ません。

と山崎が言うならインデックスファンドは買いだ。

 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-11-23 23:14:02
ベルカンプさま

ベルカンプさんも、是非買うといいですよ♪
 
 
 
暇な山崎先生に質問 (ベルカンプ)
2006-11-23 23:57:39
2007/3末の日経平均って幾らだと思いますか?
(1年後は答えられないだろうけど4ヵ月後なら答えられる?)

 
 
 
ご回答ありがとうございます (たいこもち)
2006-11-24 22:42:49
山崎様わざわざ回答していただきありがとうございます。

次回作「1億人のファンドマネジャーに捧げる本」期待して待っております。願わくば「年金運用の実際知識」よりもわかりやすいものをお願いいたします。むつかしいなりに同書で印象に残っているのは「自分が知るに至ったようなことは、多くの他人が知っている」「投資の世界でよくある見落としは自分が知っていることを他人が知らないと思う見落とし」ですね。これはひと昔前ですが「私の知り合いが持っている携帯はドコモばっかり、だから私はNTTドコモを買ったのに」と嘆いている人に対する解説に使えて便利でした。
 
 
 
ダイヤモンド12月2日号 (Circusmanx)
2006-12-11 11:53:19
「側頭葉てんかん・・」でお邪魔したCirxusmanxです。もう誰かがコメントしてるかと思われる内容ですが、意外にも見当たらないのでお邪魔します。見落としていたらごめんなさい。

12月2日号の週刊ダイヤモンドの特集
<「投信」の罠>
はすごいですね。山崎さんの投信に関する年来の主張がかなり見事に消化された、山崎さん責任編集といっても良い特集になってます。山崎さんのお名前が執筆者あるいは編集者として見当たらなかったが意外なくらいでした。
皆さん、まだお読みでなかったら是非バックナンバーを手に入れてお読みください。要は不当にぼったくる投信ビジネスを告発した特集です。山崎さんの年来のご主張がこういう形で広まってゆくのは大変喜ばしいことです。
秀逸だったのは「婦人と老婆」のだまし絵というか多義絵を「目論見書」の表紙にしているイラストですね。投信ビジネスの本質を一瞬にして理解させる佳作と感心しました。(すみません、絵のことゆえ言葉足らずの段は失礼)。

しっかし、それにしてもすごい。こんな、あまりにも真っ当ゆえほとんどの投信会社や販売会社にとってひどく目障りな特集を、外部者を表に立てずに誌の記者で特集するとは。編集部には相当の覚悟と備えができているものと見た次第。山崎さんはもしかしたらこのあたりの事情を何かご存知なんでしょうか?
 
 
 
ダイヤ12月2日号 (山崎元)
2006-12-11 13:55:44
Circusmaxさま

こんにちは。

「投信の罠」は、ご指摘のように、私は原稿を書いていませんが、内容は、ほぼ納得できる、良い特集だったと思います。私が書いたと思った投信会社があったらしく(笑)、編集担当のデスクから問い合わせがあって、誰が書いたのかが分かりましたが、商品名も出していますから、相当の覚悟を持って取り組んだようです。

特筆すべきは、その売れ行きで、これが大成功だったようです。特集号を後から本屋さんのリクエストによって刷り増しすることはあるらしいのですが、この号は余りによく売れたため、週の半ばに○万部増刷して、再び取り次ぎに乗せる、というダイヤモンド社では初めての、週刊誌としても珍しい事態になったそうです。担当デスクは、大いに喜んでいました。

私は、特集タイトルを見たときには大惨敗を心配しましたが、予想は完全に外れました。投信に対する関心がそれだけ高まっているということでしょうし、「投信は、何か怪しい」と思っている人が多数居たということのようです。

私の知り合いの投信会社社員でも、会社でダイヤを取っているけれども、「家読み用」を一冊買ったという人がいます。

まだレポートを読んでいませんが、この号を見て、「ダイヤモンドの罠」という、投信業界擁護レポートを書いた、投信アナリストさんもいるようです(失笑)。

それにしても、「ダイヤモンド」は経済誌ですし、僚誌の「ZAi」には金融広告がたっぷり入りますから、今回の特集は、「アサヒカメラ」がキャノンの偽装請負問題を取り上げるくらいの快挙ですね(褒め過ぎか?)。
 
 
 
保身と挑戦 (床屋政談)
2006-12-12 07:02:08
山崎さま

私も山崎さんがアドバイザーに付いていると思い、お名前を記事中に探してしまいました。(売れるのではとおもいましたが・笑)

たいへん売れたというのは喜ばしいことですが、あえて別の角度から考えてみたいと思います。

売れ行きが良くて、刷り増した数を仮に5万冊とします。定価570円で、刷り増しは(定期購読つまり直販でなく)店売りでしょうから、流通(卸や本屋さん)が仮に3割、残り7割が出版社の儲けとして、
5万冊×570円×7割=約2000万円の儲けが純増となります。(素晴らしい!)

ダイヤモンド誌の毎週の売れ行きは伸びていると編集後記で拝見してましたし、刷り増し以外に通常で売れ残ってた部分が今回は無いということでしょうから、実際にはもっと儲けの増加分が大きいのかもしれません。仮に約2500万円とします。

これは、雑誌で目にする投資信託の広告ページが仮に1p100万として25本、1p50万として50本
に相当します。

広告主側が本気で怒って何ヶ月か止めた場合(東洋経済社や日経00社にのみ広告を出すのでしょうね)、出版社側の経営上層部はどう判断するのでしょうか。

計算が立つ広告収入を優先するか、編集部と読者のダイナミズムに賭けるか…(後者を尊ぶ気風をどう創るか考えたいところです)

止まるというのが極端にしても、緩慢に広告を抑え、想像するに来年の同時期、「また今年もやるんですか?」と探りをいれてこられて広告主、広告部、編集部で嫌な空気が醸し出されないか心配です。

とはいえ、記事は事実に基づく冷静な(それだけに信頼感を持てる)ものでしたので、広告主も面と向かっての反発がしにくいものだったろうと思います。
週刊誌の毎週の売れ行きが(一特集の号だけでなく)伸びていれば、編集部は闘いやすいでしょう。

欠陥商品の広告に遠慮したジリ貧なんぞ糞喰らえ、と経営上層部とスクラムを組んで、刺激的かつ確かな記事で奮闘してくれることをゼヒゼヒ期待します。

PS
ところで次号の医療保険の特集の売れ行きはどうだったのでしょう。私はこちらのほうが売れるのではと思っていたのですが外れたのかな。だとするとテーマと
読者性の関連が想像できる気もします。
(今号の自動車産業の特集も楽しみです)
 
 
 
ダイヤモンド(続き) (Circusmanx)
2006-12-12 10:14:52
山崎さん、床屋政談さん、

コメントありがとうございます。なるほど、と納得しました。そういえばZAIもあり、相当覚悟しないとできない話ですよね。

「噂の真相」廃刊以来「真相」をいえる場はブログぐらいしかないと思ってましたが、こういうこともあるんですね。あっぱれあっぱれ。ダイヤモンドさんは「王様の耳はロバの耳」の寓話に出てくる葦笛となったわけで。さてはて、ミダス王はどう出ますやら。
 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-12-12 14:11:54
以前週刊ダイヤモンドの編集長だったT氏によると、「週刊ダイヤモンド」は、社内調整抜きに、編集部が独自にテーマ設定できるような雰囲気が、社内にあるらしいです。「編集の独立性は他の経済誌よりもあるんじゃないかなあ」と仰っていました。

投信会社が、広告を圧力にどの程度使うか分かりませんが、先般、偽装請負問題を大々的に報じた朝日新聞に対するキャノンの広告数を見てみましたが、過去半年くらい、日経に対する広告数ほどではないのですが、他紙並あるいはそれ以上に広告が入っていました。さすがに、不快な記事を書かれたから、広告出稿を止める、というような大人げないことはしていないようです。

ただ、雑誌・新聞・TV何れも、広告スポンサーに対する気遣いと恐怖感は相当のもののようで、例のヤラセのタウンミーティングをアレンジした大手広告代理店などは、相当の権力を持っているのだろうなあ、ということが推測できます。

広告を通じた圧力も、せめて、事実が明らかになるといいのですが、メディアが広告で成り立つ形では難しそうであり、当面は、ジャーナリスト個人の健全な反発心、あるいは悪戯心に期待するしかなさそうなのが心許ない限りです。
 
 
 
スポンサーにも天敵あり、ですか (Circusmanx)
2006-12-13 10:21:53
なるほど。不利な記事で単純に怒って広告を引き揚げるのはたしかにみっともないですね。記事の内容が確かであることを世間の目に裏付けることにもなりましょうし。「世間の目」はスポンサーの天敵であり顧客であり。「いろいろご意見を頂くのは我々にとって望むところで、こうしたことを通じて投信への皆様のご理解が高まれば大変ありがたい」ってな風情を保つのがよろしいんでしょう。なんだかアングロサクソン仕込みですが。

おっしゃるとおり広告を通じた圧力が開示されればずいぶん違いますね。証券会社のレポートのようにディスクレーマーを毎号つけて、広告の動きの変化についてもさらりと言及することになれば面白そうですね。「○○証券様、××投信様はそれぞれのお考えとご事情により今号から本誌への広告掲載を停止されました」。ハハ、単独でやるとちょっと危なそうな話ですが。



 
 
 
Unknown (山崎元)
2006-12-13 14:08:36
Circusmanxさま

広告調査機構みたいな組織を作って、メディアを調査して、情報を公開する、といった仕組みが出来れば面白いと思います。しかし、この機構のスポンサーがまた問題ですね・・・・・。
 
 
 
そろそろ「マーケティング・・」第2弾はいかがでしょう? (Circusmanx)
2006-12-14 09:57:35
調査会社ですか。なるほど。そのうち山崎さんの会社でおやりになってはいかがでしょう?大学の先生などと組んでブランドと安い労働力(学生)を確保したりして(笑)。あ、でもいまだと楽天証券の関係があるので外見上は微妙なお立場になっちゃいますね。ま、そのうち機会があればオプションの一つとしてご検討くださいな。期待しすぎずあきらめず楽しみにしております。

さてさて、いつも的確にコメントを返していただくので、ついついあつかましく続けてしまいました。ありがとうございます。でもそろそろどうでしょう、やや目立つところに論議の場を移すというのは。「マーケティング・・・」の第二弾としてダイヤモンドの投信特集に関する簡単な記事をお書きになれば、いろいろと意見も得られそうに思います。
第一弾(この記事)では運用ビジネスの「あくどさ」につき意見が集約され概ね合意が得られたように思いますが、第二弾ではそうした意見の広報戦略に関していいアイデアをいただけるのではないかと思います。

うーん、ちょっと(あるいは大いに)差し出がましくて恐縮です。よろしくご寛恕願います。

 
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