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【ダイヤモンドオンライン】民主党、失敗の研究

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「 民主党、失敗の研究 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 今回の総選挙では、民主党は空気が抜けた軟球のように反発力がありませんでした。
 民主党が、かくもボロボロになってしまった経緯には、企業などの組織にとっても、人個人にとっても、教訓とすべき失敗が山のようにあります。
 今回は、2009年の政権奪取以来の民主党の大小の失敗の原因を振り返ってみました。

1.現場のマネジメント軽視
 現場を知らない大臣、副大臣、政務官が数人で乗り込んで行って、巨大な官庁をコントロールしようというのは、敵対的買収で手に入れた大企業を数人でマネージしようとするくらい無謀でした。

2.仲間割れ
 民主党政権の成立後ほどなく、民主党の議員集団は「小沢系」・「非小沢系」に分断されまし。
 直接証明する術はありませんが、官僚集団が民主党政権を弱体化させようという意志を持っていたとの仮説を私は持っています。組織を弱体化させるにあたって有力な手段が、組織の分断です。

3.デフレ的な政策
 労組支援をバックとする限り、民主党がデフレ的な政策に傾きやすいのは仕方のないことかも知れませんが、今回の総選挙マニフェストでも、「柔軟な金融政策」という言葉で金融緩和の後退を謳っていました。

4.消費税に関する2つの勘違い
 おそらく当時の菅氏は、消費増税が必要でありその達成は政治家として偉業であることなどを官僚に吹き込まれて、これを信じたのでしょう。結果、菅氏は急に消費増税を掲げて戦った参院選で敗れました。
 続く野田佳彦氏は、消費増税を決めた首相になりたいという功名心からか、公約違反且つ選挙無しでの増税という政治的自殺行為に民主党を走らせてしまいました。
 二人の党代表が連続して経済政策に弱かったことは、民主党にとって致命的でした。

5.相手の手に乗ったアベノミクス批判
 アベノミクス全体を逐一批判した今回のやり方は、旧日本社会党の「何でも反対!」の悪しき野党根性を思い出させるような失敗でした。
 この点は、金融緩和を「経済回復へのかすかな光」と評価し、その先の「第三の矢」が飛ばないことに攻撃の狙いを絞った維新の党のマニフェストの方が適切でした。

6.「組合命!」か「改革!」か、コンセプトが曖昧
 既に手垢が付いた印象はありますが、それでも「構造改革」、「既得権打破」、「脱官僚」といった言葉で示される方向性を多くの有権者はまだ支持しています。
 しかし、民主党には、まさに大きな既得権者である労働組合の利益代表としての側面があり、「組合命!」の党なのか、「改革!」の党なのか、党のコンセプトがまとめ切れていない点に、組織であると同時に「政治商品」としての民主党の決定的な弱点があります。

7.変わりばえのしない看板
 民主党再生のためには、「フレッシュな顔」が不可欠です。マーケティング的な常識から見て不可避といっていいでしょう。
 今回の総選挙にあって、与党側の最大の武器は、有権者の頭に残る民主党の前政権時代の記憶でした。民主党の執行部の人選は、明らかに敵を利した結果となりました。


 それにしても、鳩山由紀夫氏のような資金を持っていた訳でもなく、小沢一郎氏のように徒党を組む力があったわけでもなく、世評では資金も友達も少なくイライラしがちなご性格らしいのに、ある種の人気と世渡り術だけを頼りに、首相まで上り詰めて、逆風の選挙でもぎりぎり残るのだから、菅直人氏という政治家は特異なキャラクターと運を持っていると言わざるを得ません。
 民主党にとっては迷惑な存在かも知れませんが、ビジネスパーソンなどにとっては、何か学ぶべき点のある人物なのかも知れないということを、驚きと共に一言付け加えておきます。
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【現代ビジネス】これからの社会保障を考える5つのポイント

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に記事を書きました。
これからの社会保障を考える5つのポイント
※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。

 社会保障については、諸制度を総合的に調整しなければならない大きな問題なので、一度に全体像を論じることは難しくはありますが、今回、重要と思えるポイントを、以下にまとめてみました。

 まず社会保障の財源は一対一である必要はありません。「消費税率を引き上げないと社会保障財源がない(ので困る)」とする意見がありますが、社会保障費が本当に必要な支出だと認識していれば、消費税の税収がない場合には他の収入を充当するだけの話であって、財源を特定の収入で賄わなければならないと決めつけることこそ、税収の本質を隠すインチキです。
 「消費税を社会保障財源として目的税化する」というのは、よく考えない国民に何となく消費税の増税を認めさせるための、悪質な目くらましに過ぎません。

 次に、日本の公的年金は、「賦課方式」で実質は税金なのですから、そもそも財源は税金一般であってよく、年金保険料、特に国民年金・基礎年金の部分は、財源を税金とするのがいいでしょう。
 行政コストの面からも肝心なことは、年金保険料と税金の徴収を別々に行う二度手間と非効率を即刻止めることです。

 先日、日銀の追加金融緩和と同時にGPIFの新しい運用方針が発表されました。
 GPIFが使った期待リターンとリスクの数字を元に計画を見ましたが、運用元本が130兆円とすると、単年度で約27兆7千億円の損失が起こりうる計算となります。公的年金の運用で27兆円の損失が発生した場合、年金財政はこれをどう処理するのか。また、そもそもこれだけの損失の可能性があることに、国民は納得しているのか、という疑問が残ります。
 運用的な常識から眺めて、公的年金運用で問題なのは、リターンよりもリスクの方にあります

 年金制度については、全体の調整が必要ですが、公的年金の支給は最低70歳からでいいでしょう。もちろん、高齢者の働き場の確保という問題と、働けない或いは低収入の高齢者に対する補助をどう行うかをセットで考える必要があります。
 「成長戦略」の一環として、年金の支給開始年齢の引き上げを早急に行うことが必要です。

 最後に、社会保障は、経済的弱者に対する、公的な(主に国による)富の再分配です。公的な再分配に当たっては、フェアであること(対象が根拠無く偏らないこと)が重要であり、また同時に人的な裁量が加わる余地が小さい方がいいですし、加えて制度の運営コストが小さいことが求められます。
 現在の非効率的且つアンフェアな面を多々持った「不透明な再配分」ではなく、「透明な再配分システム」の構築をテーマに掲げて、総合的な社会保障改革を推進しようとする政治家がいてくれると嬉しく思います。
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【アサヒ芸能】100万円以上の投資資金があるなら、税金を軽減できるNISA!

 週刊「アサヒ芸能」に連載中の『山崎元の「なっ得!オヤジのためのマネー講座」』は、WEBサイトでもお読み頂けます。

  100万円以上の投資資金があるなら、
 税金を軽減できるNISA!
 お勧めは手数料の安いETF!


 今回は、NISA(少額投資非課税制度)について、その仕組みと使い方を簡単に紹介しています。

 お金の運用には基本的に20%の税金が掛かります。仮に上手くいって「1割儲けた」と思っても、税引き後の実質は8%に過ぎません。この税金を軽減することが出来る制度がNISAです。

 NISAの運用の考え方は、「非課税であるメリットを最大に使う」です。

1.自分の運用資産の中で最も期待利回りが高く、
2.途中で売りたくなって、メリットを使い切れなくなる可能性が低く、
3.手数料が安い。

 以上の3つの条件から導かれるNISAの正解は、「ネット証券でインデックス投信(できればETF)」です。
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