山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

イメージの少女

2009-03-26 17:07:43 | モノローグ【エトセトラ】
雑誌『ガロ』で中心的に活動し、浮世絵流の作風で海外でも話題を呼ぶ漫画家・丸尾末広の「少女椿」を見世物的、パノラマ風に映像化し、地下上映されたアングラアニメ。作品は、極彩色と暗黒が交互する特設会場で上映され、白煙装置が吹き出し桜吹雪が客席全体を舞うなど上映中に数々のからくりが駆使されて見世物的に物語は進められた。監督はアングラアニメ専門の絵津久秋、製作・作画は「二度と目覚めぬ子守唄」の原田浩、音楽は天井桟敷のJ・A・シーザー、美術は原田浩、天井桟敷の大橋紀子、「おもひでぽろぽろ」の針生勝文、深海十蔵が担当。声の出演は、パラノイア百貨店、月蝕歌劇団、欲望プロ、劇団漁火など各小劇団の俳優たちが担当している。

 大阪事務所から「少女椿」DVDが送られて来た。早速、劇団員たちに見せようと思う。
 次回公演に向けて台本を2本「影踏み」「眠り男復活」に取り組んでいる。台本がない時点での稽古はイメージの出し合いが要求される。
 只今、新人さんを対象に基本トレーニングを中心に行っている。役者としての身体作りのため。だが、ダラダラと肉体的なトレーニングばかりやっていても意味がない。ここにはイメージのトレーニングも取り入れる。そのきっかけとなるべき共通のテーマが必要になる。そこで何通りかあるイメージの参考になるものの一つが「少女椿」となる。

 いつものことだが、稽古前には最低1時間程度、こちらでイメージを組み立てておく。これは長い間の習慣になっている。
 
 苦い経験がある。少女らしくやろうと思うばかりに気持ちの悪い学芸会のような演技になってしまうことだ。子どもの仕草に定番があると思っては大きな間違いを犯す。問題は仕草や言葉遣いに「少女らしさ」は現れて来ない。
 稽古場では定番にはめていく作業などない。ひたすら、舞台に立つ俳優とのキャッチボールをするのである。ここからしか生まれてこないからだ。

 イメージの少女・・・残酷であり美しいもの。そして悲しみを抱いている。劇で要求されるものは「明るく元気」ばかりでなく、その奥に潜んでいる「不幸」を垣間見せることで見る側が感動を覚えてしまう。
 笑う少女が流す涙は?・・・人形のように美しい涙に見える。

 人形は止まったままだが、角度や光の強弱で笑ったり泣いたりする。
 俳優にトリツカレルトキ!・・・それは人形のような固まった(あるいは死んだ)こころを発見する時。その時、再び、俳優は俳優として生まれ変わる。
 少女も何度も繰り返して老いていくのだろう。

 さぁ、今から稽古だ。人格が多重になる。稽古場には活字というものがない。

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