山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

劇トレ③「立つ」

2010-05-18 23:21:09 | モノローグ【エトセトラ】
日常の生活にとっては「考えすぎ」と思われる領域まで踏み入ってしまう。ここまで細かいことを考えなくてもいいのではないか。・・・その通り!考えすぎは身体によくない。
確かに、日常の生活では自然体。つまり、在るように在れば済まされる。・・・「力を抜くこと」「呼吸すること」「皮膚で感じること」そして「立ち歩くこと」を日常の生活の中でこだわっていく必要はない。

衣食住、つまり、人間の営みは経済の豊かさを求めて生きてきた。
ところが、表現に関わっていると「当たり前」のことを「?」ハテナマークで「何」を問う癖が身についてしまうのです。
だから、得にもならないことを本気で取り組める。・・・「豊かさって何?」



さて、今回は「舞台に立つ」ことについて。
稽古では、こんなことをしています。

■まっすぐ立つ。

両手を上にあげる。・・・自分では、コレがまっすぐだと思っていても前に後ろに、手が広がっていたりする。つまり、アタマのテッペンがまっすぐ上に向かっていない。自分では気づかないことがあるので、まっすぐの姿勢は他人にみてもらて点検する。
私のようにひねくれた骨を持っていると容易なことではない。お金が落ちていないか、下ばかり見て歩いてきたので猫背になってしまったよ。
あまり頻繁に両手を上げると、四十肩・五十肩になってしまうのでご注意を!
身体が「まっすぐ」を覚えると、今度は両手を上げたつもりで姿勢を確認する。
腰の上にまっすぐ背骨がノッテルかい。首はどんな感じ?顎を少しばかり引いておかないとアタマのテッペンが天頂に向かない。
まっすぐ立つと気持ちが良い。自分だけでなく、見ている側を気持よくする。

基本姿勢は「まっすぐ」から出発して、人間の様々な感情「喜怒哀楽」を作る。歪みます。ちょとした姿勢の変化で感情を表現できる。

胡坐(あぐら)をかいて座る。→アタマのテッペンを意識する。→首の力を抜く→背骨の上から腰まで徐々に力を抜く。→上体を前に倒す。→顔を横に向ける。→身体をひっくり返す。→仰向けになる。

からっぽになった身体をつくる。しばらく、そのまま。・・・そして寝た状態で身体を伸ばしてみる。

農耕民族は土にへばりついて生きてきた。前かがみの姿勢だって立派なまっすぐと言えるだろう。だが、劇ではそれを意識できるかどうか、・・・トレーニングは自分の身体探しでもあるのです。



身体ばかりを注目していると、誤解されることもあります。
いわゆる、視姦。・・・劇の場合は断乎として「セクハラ」ではありません。
それは、舞台上で「殺人事件」を演じても犯罪にならないのと同じ。・・・賢明な役者さんだったら、絶対に日常で殺人を犯すような愚かなことはない筈。
つまり、想像力の欠如が日常での悲劇を生むのだと思っています。

「狂気」を演じる場合でも、自分なりの「正気」がないと演じることはできません。
まっすぐな姿勢を知る、作ることは・・・裏返せば「歪み」を表現することにも通じるのです。
ドラマは「歪み」や「衝突」があって転がります。何もないことを淡々と流していると観客は飽きてしまう。

次④では「歩く」ことについて。

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