山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

もっと円形を。

2012-10-26 00:14:11 | 「極楽少女」2012
イメージは相姦関係である。つまり、妄想できる劇は危険である。ところが舞台で形にするとその登場人物たちの人間関係は滑稽になってくる。子どもたちが下ネタを喜ぶのは気のせいではなく、性や暴力が大らかなものとなって現れてくるからである。
品が悪い程に美しく、品が良ければ醜く見え、だから劇は作る側も見る側も面白くなければならない。面白ければ悲しさも突き刺さるのである。
ネタはおもちゃ箱をひっくり返したようになっている。劇場を出てから整理すれば良い。すると「極楽少女」はこころの中で永遠に生まれ変わるのである。

確かに「極楽少女」には参考文献がある。
阿部定事件の資料、唐十郎「少女仮面」「愛の乞食」、寺山修司「疫病流行記」、つげ義春「ねじ式」、ルイスキャロル「不思議の国」など。だが、活字を切り取って構成した劇ではない。ここには役者たちの汗と血が流れているのである。
阿部定事件の資料をもとに、今年の3月「サダひとり。」をテント芝居で上演して「阿部定・三部作」に取り組んだ。その第2弾が7月に上演した「赤色時代」。完結編として「極楽少女」はある。
完結を試みるために、その味付けとして唐十郎と寺山修司、つげ義春、ルイスキャロルミックスしたのである。味付けは劇団夢桟敷が過去に上演した舞台から切り取ったもの。粉砕してふりかけたようになる。料理でいうと34年かけて煮込んだスープのようなものだ。


2002年の「アリス三部作」より

登場人物たちが重なり合う。
アリスが阿部定だったり、吉蔵が阿部定だったりアリスだったりする。
ねじ式の青年が穴に行くうさぎたちを追っかける。追っかけているつもりが、うさぎたちに追いかけられている。
登場人物たちは密着しながらすれ違っていく。立場も逆転する。円の中をぐるぐる回る劇。

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