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スタンドプレー

2012-11-10 09:19:04 | 日記
昭和24年秋の或る日曜日。茨城の中学2年生だった私は、2,3人の級友と、クラス担任の教師に連れられて、後楽園の巨人・南海戦を観に行った(まだ1リーグ制の時代である)。 試合は南海が1点をリードして9回の裏の守備。すでに2アウトだが、1,2塁に走者がいて、もしホームランが出れば…という場面だったが、打者は平凡なレフトフライを打ち上げ、左翼手の堀井数男さんが軽く手を挙げた。巨人が好きでない私も、やった!と思った。と、そのとき南海の木塚忠助遊撃手がスルスルと背走し、レフトの位置までボールを追いかけ、ボールを一度はグローヴにあてたものの、落球してしまう。むろん巨人の2人の走者はホームインして南海の逆転負けとなる。これがプロ野球史に残る、木塚落球事件であり、もちろん翌日の新聞で、木塚さんのスタンドプレーは散々に叩かれた。 では、なぜ彼はそんなよけいなことをしたのか。 そのこと、木塚チュウさんは二歩日の名ショートと称されていた(まだ吉田義男さんや広岡達朗さんはプロ入りしていない)。だから、プロのプレーとはこういうものだと観客に見せたかったのに違いない。最近はスタンドプレーという言葉は少なくなり、代わって、パフォーマンスという言葉が流行だ。この2ツは似ているようで異なり、無駄なパフォーマンスもあるが、スタンドプレーは、とにかく目立ちたがるというのが先立つ。つまり、あのときの木塚チュウさんは、せいぜい打球を追う姿だけ見せ、あとは堀井左翼手に任せればなんでもなかったのだ。  今朝のニュース番組で、今回の田中真紀子文科大臣の発言を、スタンドプレーだと言った評論家がいたので、ふと63年前の木塚落球を思い出した。