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鉢巻

2021-05-22 11:18:12 | 日記
三軒茶屋の雀荘に、みんなから<たぁさん>と呼ばれている40歳ぐらいのオッチャンがいた。八百屋さんで、隣町にある我が家にも週に1,2回は三輪オートで出張販売に来ていた。明るくて、元気な人で商売柄か声も大きかった。麻雀は下手だったから、腹前にぶら下げた商売用の革袋のようなものの中から、よく百円札を取り出して負け金を払っていた。たぁさんは、いつも鉢巻を締めていて、それがよく似合っていた。「たぁさん、大丈夫か?かぁちゃんに怒られないか?」と雀卓仲間のヤクザの兄ちゃんに冷やかされると、「大丈夫、大丈夫、うちのかぁちゃんは優しいから」と顔を赤くした。赤くなった顔に鉢巻がさらによく合った。

八百屋の役をやったらピカイチなのは前田吟さんだとずっと思っていて、これは同時に鉢巻の似合う日本一男も意味していた。鉢巻を使うのは八百屋さんに限らないが、なんとなく、鉢巻・八百屋をくっつけて考えてしまうのは、三軒茶屋のたぁさんのことがあったからだろう。山口瞳先生のエッセイの中には、<はちまき岡田>という料理店の名がよく出て来るが、その店の料理人のみなさんは鉢巻姿なのだろうか。

日本でいちばん鉢巻が似合うのは前田吟さんだと思い続けて来たし、そのことを同人誌に書いたり、いろんな人に喋って来たが、それを上回る人物が、2年ほど前に出て来た。と書けば、ああ、あの人だなと気づく方もいるだそ。そう、現在の鉢巻日本一は、あのスーパーボランティア、尾畠春夫さんである。あの鉢巻スタイルは素晴らしい。どうして日本一のタオルの生産地の今治市は、あるいはタオル製造会社は尾畠さん主演のテレビコマーシャルを造らないのだろうか。

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