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大谷翔平―若き「宇宙人」が与える感動―

2021-06-20 11:44:07 | スポーツ
大谷翔平―若き「宇宙人」が与える感動―

アメリカではメジャーリーグ野球で大谷翔平(26)の投打にわたる活躍が止まりません。

最近では、相手チームのホーム球場でも、観客は大谷翔平の並外れた能力に対する期待と
興奮で盛り上がっています。

野球にあまりくわしくない私でも、映像でみる大谷翔平のすごさは、見ていて爽快感と感
動を覚えます。大谷翔平は、まさしくスーパースターです。

彼は何事もなかったかのように涼しい顔をして、目の覚めるようなホームランを打ち、投
げては速球と変化球を巧みに投げ分けてはバッターを討ち取ります。

まるで、マンガに出てくる主人公のような、現実の世界では起こり得ない「二刀流」を実
際に見せてくれます。

現地の実況担当者も、WOW WOW !! といった感嘆詞しか発せられない興奮状態
です。

ある解説者は大谷翔平を「宇宙人」(space alien) という表現で、彼のすごさを表現してい
ます。

投手としての大谷翔平の素質や技術について、私には全く分かりませんが、彼の投げるボ
ールのスピードは、ある程度練習を積めば獲得できるのかも知れません。

彼が、そのためにどれほどの練習をし、身体を鍛えているか分かりませんが、プロの選手
なら誰でも必死の思いで練習していると思われます。

それでも差がつくのは、彼が練習の成果を超える、生まれもって与えられた「天賦の才」
(英語では、神が与えてくれた能力 ギフト giftと言います)としか考えられません。

打者として、彼が打つホームランは美しい弾道を描いて軽々とスタンドに飛び込みます。
彼は、まさに「宇宙人」としか言いようのない天才的なセンスをもっているようです。

野球の世界でよく言われるのは、守備は練習でうまくなるが、打撃は先天性のセンスの
問題で、これは練習してもなかなか上達しない、と言います。

大谷のバッティングは、全力でバットを振るというより、バットがボールにパシッと当
たるその瞬間に全ての力がバットに伝わる打ち方に見えます。

このため、軽々と打っているようで遠くは飛ぶのだと思います。

これは、目でとらえた自分に向かってくるボールの速さと、自分の体の感覚を瞬時に判
断して反応しているからです。

この動きはほとんど無意識で、自動的に起こっていると思われます。実際、猛スピード
で飛んでくるボールに対してあれこれ考える時間はありません。

だからこそ、これは生まれ持って賦与されている才能だと私は思います。

もっとも、この一連の反応の能力を、身体が自動的に反応するまで練習を積み重ねるこ
とによってある程度は獲得できる可能性はありますが、それにも限界があります。

かつてイチローがベースの前で地面に着きそうなくらいの低いボールを巧みなバットさ
ばきでヒットにしてしまったとき、アメリカの解説者が、イチローの「並外れたハンド
・アイ・コーディネーション」(目で捉えた情報と体の動きの連動)と表現をしました。

これは、自然界では動物が、ごく普通にやっていることで、行動科学では「アフォーダ
ンス」と呼ばれています。よく引き合いに出されるのが、海の魚を捉えるカツオドリの
動作です。

カツオドリは海の中に獲物の魚を見つけると魚の移動する方向と速度を確認して、その
近くまで羽を広げて大急ぎで飛び、その後急降下して海に飛び込み、魚を捉えます。

この時、目で確認した海との距離、羽に当たる空気の流れで自分のスピードを確認し、
水の抵抗を小さくするために、海に突っ込む最後の瞬間に羽を縮めて水中に突っ込みま
す。

こうした動きは、ほとんどの動物が獲物を捕らえる時に自動的に行っています。

たとえば、ライオンやヒョウなどの肉食動物が獲物を捕らえる時、追いかける自分のス
ピードと、逃げる相手の動物の速度と距離を目と体の動きで感じ取り、最後に獲物に飛
びかかる瞬間を判断しているのです。

このタイミングが少しでも早すぎても遅すぎても、空振りに終わってしまいます。

大谷翔平やイチローの動きを私の趣味の渓流釣りにたとえるのは、失礼かもしれません
が、よく似た点があります。

私の渓流釣りは、日本古来の毛ばりを用いる「テンカラ釣り」で、毛ばりの着水に合わ
せてイワナはエサと認識して素早く見つけて空中で毛ばりを咥えることがあります。

この時、イワナは自分が泳いで毛ばりを捉えられるところまで猛スピードで泳ぎ、そし
て空中に降りてくる毛ばりの速度と位置を確認して、空中に飛び出してくるのです。

一方、釣り人の側から見ると、自分の毛ばりがゆっくりと水面に向かって落ちてゆくス
ピードと、おそらく魚が毛ばりに飛びつくであろう位置とタイミングを想定して、竿を
立てて針に合わせるのです。

魚が飛び出した姿を見てから竿を上げても、それでは遅すぎて、空振りとなってしまい
ます。

渓流釣りの経験のなかで最も感動するのは、こうした読みと実際の魚の動き予想が一致
して空中で魚を針に掛けて釣った時で、これもほとんど無意識の反応です。

ところで、もう一つ、あまり取り上げられませんが、私が大谷翔平の動きを見ていて感
動するのは、投げる姿も、打つ姿も、とりわけ走る姿が非常に美しい、ということです。

これは、身体の動き全体に無理がなく、無駄な力が加わっていない自然な動きだからで
す。ここにも、私は彼の「天賦の才」を感じます。

少しキザな表現を使うと、優れたものには“美”があるのです。

これまで、アメリカのメジャーリーグでは“怪力”誰々と言われたホームラン・バッターは
何人もいました。しかし、私たちはホームランの数には感心しますが、そこに“美”を感じ
ることはあまりありません。

怪力の持ち主は、太っていて、お腹が出ていて、走る姿もドタドタと重苦しい場合が多
いのに、大谷翔平は、日本人離れした長身でスリムで、そもそも立ち姿が美しいのです。

大谷翔平が、たとえホームランを量産したとしても、もし、打つ姿や投げる姿が美しく
なかったらどうでしょうか? もし走る姿が、ドタドタと重苦しかったら、今のような
人気があるでしょうか?

大谷翔平の動きに“美”を感じる点では、イチローと似たところがあります。イチローのプ
レーについて、たとえば相手チームが打った打球が自分の方に向かって来るとき、彼は
打球の速さと位置を計り通常よりも早く動き出します。

その代表的な例は、今や伝説となった、“レーザービーム”送球です。これは、イチローが
ライトを守っていた時に飛んできたボールを素早くキャッチして、3塁に向かって走って
いた走者をアウトにした、あのプレーです。

三塁でイチローのボールを受けた選手によれば、ボールは地上1メートルの高さを保った
まま真っ直ぐに飛んできたといっていました。そのボールが飛んできた軌跡が、まるでレ
ーザービームのように真っ直ぐだった、というのです。

あるアメリカ人の監督は、その時、彼の身体の全ての動きが、ボールを投げるその瞬間に
伝わるように連動する、そのスムーズさにある、と評しました。これは大谷翔平にも当て
はまります。

大谷翔平が、これからどれだけの活躍をし、どのように変貌して行かは全く分かりません。
とくに、アスリートには心身ともに年齢という避けることのできない壁があります。

しかし彼の存在は、野球ファンだけでなく、私たちに、人間のもっている底知れない能力
を見せてくれます。

コロナ禍でうっとうしい雰囲気が覆っている日本で、大谷翔平がこれほどの希望、喜び・
感動を与えてくれるのは大きな救いです。

これからも、毎日、OHTANI SHOW TIME を楽しみにしています。
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今年も庭のフランボワーズのジャムが5ビンできました。これでほぼ1年間、大事に食べます。          庭のトマトが、まるでブドウのようにたくさん実をつけています。
    


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