ウクライナ侵攻(1)―大義も勝ち目もない戦争―
ロシアによるウクライナ侵攻は、ますます混迷と市民に対する残虐な攻撃をむき出しに
しつつあります。
私は、この侵攻が始まった当初から、この戦争でロシア、というよりプーチンは勝てな
い、長期的には負ける、と感じました。
というのも、これまでの歴史を振り返ってみればわかるように、大義のない戦争は、短
期的には軍事力に勝る方が勝ったように見えますが、長期的には大敗してゆきます。
たとえば、ベトナム戦争(1955-1975)です。この場合、ベトナムは一発の銃弾もアメ
リカに対して打ち込んだことはないのに、アメリカの共産主義の拡大に対する恐怖心か
ら、一方的にベトナムに侵攻し、攻撃しました。
しかし、アメリカ軍は大きな犠牲を払った上、追い詰められて、最後はベトナムからみ
じめに逃げ出してしまいました。
今回のロシアによるウクライナ侵攻はどうでしょうか?
ウクライナはロシアに対して攻撃したことはありません。ロシアによるウクライナ侵攻
は、ロシア(というより)プーチンの一方的な野望によって引き起こされたのです。
そこには、プーチン独自の歴史認識や世界観はあるものの、攻撃された側には到底受け
入れられない勝手な考えにすぎません。
つまり、客観的には、何のために、どんな正当性があって攻撃するのか、という大義が
ありません。
大義のない戦争は、やがて闘う兵士の心に戸惑いや疑問を起こさせ、著しく士気を弱め
ます。これは、ベトナムに派遣されたアメリカ兵についても言えます。
その反対に、理不尽な攻撃を受ける側には、それに抵抗する高い士気をもたらします。
なぜなら、そこには、自らを守る正当性と大義があるからです。
ロシアはウクライナの首都キエフを2日で陥落させることができると考えていたようで
すが、2週間以上も経った今でも、陥落していません。
それはひとえに、ウクライナ側の頑強な抵抗に遭っているからです。そして、その頑強
な抵抗は、ウクライナ軍の高い士気と、その根拠となる、“正義は我にある”と言う強い
信念です。
他国に侵入して、その国を軍事的に支配するというのは、侵入する側に多大なリスクを
課すことになります。
ウクライナ軍からすれば、自ら身を隠したままロシア軍を待ち構えて攻撃できるわけで
すから、たとえ戦力が10対1でも、実践的にはその逆もあり得ます。
最近の映像で、ロシア軍の戦車の車列を待ち構えていたウクライナ軍が物陰から攻撃し、
破壊したり、あるいは乗っ取ったりしていましたが、こうした状況は、当然起こります。
まして、ウクライナは日本の1・5倍もの面積があります。その国土を占領し続ける、
というのは、現実的には不可能です。
したがって、今回のロシアの侵攻は、長期的には失敗に終わります。
もし、ロシアに何が何でも勝利(軍事的な)を得たいとするなら、全土が灰となるまで、
徹底的に破壊してしまうことですが、それは、現在の世界状況から不可能です。
ロシアは日本に対するアメリカの占領政策をヒントにしている、との説もあります。
つまり、アメリカは第二次大戦で、文字通り灰燼に帰すまで日本を徹底的に破壊し、原
爆まで投下した後に、占領しました。
そして、かなり長期的に(ある意味では現在まで)アメリカ陣営の一員となるよう政治
体制を変えさせたことを、ロシアはウクライナに対して行おうとしている、というもの
です。
しかし、現代世界で、とりわけ情報が世界規模で行き交う状況で、ロシアがウクライナ
を長期的に占領し、体制変革を行うことは、考えられません。
では、客観的にみれば、ロシアは最終的にこの戦争で手痛い敗北を負うことが明らかな
のに、なぜ、侵攻を強行したのかを、いろいろな観点から考えてゆきたいと思います。
というのも、これだけの戦争の背景を、プーチンンの狂気だけで説明することには無理
があるからです。
実際、この問題の根本的な解決を見出すには、私たちは、政治・軍事だけではなく、歴
史的、民族的、国際社会の枠組みも含めて、相当幅広い認識が必要だと思います。
ロシアによるウクライナ侵攻は、ますます混迷と市民に対する残虐な攻撃をむき出しに
しつつあります。
私は、この侵攻が始まった当初から、この戦争でロシア、というよりプーチンは勝てな
い、長期的には負ける、と感じました。
というのも、これまでの歴史を振り返ってみればわかるように、大義のない戦争は、短
期的には軍事力に勝る方が勝ったように見えますが、長期的には大敗してゆきます。
たとえば、ベトナム戦争(1955-1975)です。この場合、ベトナムは一発の銃弾もアメ
リカに対して打ち込んだことはないのに、アメリカの共産主義の拡大に対する恐怖心か
ら、一方的にベトナムに侵攻し、攻撃しました。
しかし、アメリカ軍は大きな犠牲を払った上、追い詰められて、最後はベトナムからみ
じめに逃げ出してしまいました。
今回のロシアによるウクライナ侵攻はどうでしょうか?
ウクライナはロシアに対して攻撃したことはありません。ロシアによるウクライナ侵攻
は、ロシア(というより)プーチンの一方的な野望によって引き起こされたのです。
そこには、プーチン独自の歴史認識や世界観はあるものの、攻撃された側には到底受け
入れられない勝手な考えにすぎません。
つまり、客観的には、何のために、どんな正当性があって攻撃するのか、という大義が
ありません。
大義のない戦争は、やがて闘う兵士の心に戸惑いや疑問を起こさせ、著しく士気を弱め
ます。これは、ベトナムに派遣されたアメリカ兵についても言えます。
その反対に、理不尽な攻撃を受ける側には、それに抵抗する高い士気をもたらします。
なぜなら、そこには、自らを守る正当性と大義があるからです。
ロシアはウクライナの首都キエフを2日で陥落させることができると考えていたようで
すが、2週間以上も経った今でも、陥落していません。
それはひとえに、ウクライナ側の頑強な抵抗に遭っているからです。そして、その頑強
な抵抗は、ウクライナ軍の高い士気と、その根拠となる、“正義は我にある”と言う強い
信念です。
他国に侵入して、その国を軍事的に支配するというのは、侵入する側に多大なリスクを
課すことになります。
ウクライナ軍からすれば、自ら身を隠したままロシア軍を待ち構えて攻撃できるわけで
すから、たとえ戦力が10対1でも、実践的にはその逆もあり得ます。
最近の映像で、ロシア軍の戦車の車列を待ち構えていたウクライナ軍が物陰から攻撃し、
破壊したり、あるいは乗っ取ったりしていましたが、こうした状況は、当然起こります。
まして、ウクライナは日本の1・5倍もの面積があります。その国土を占領し続ける、
というのは、現実的には不可能です。
したがって、今回のロシアの侵攻は、長期的には失敗に終わります。
もし、ロシアに何が何でも勝利(軍事的な)を得たいとするなら、全土が灰となるまで、
徹底的に破壊してしまうことですが、それは、現在の世界状況から不可能です。
ロシアは日本に対するアメリカの占領政策をヒントにしている、との説もあります。
つまり、アメリカは第二次大戦で、文字通り灰燼に帰すまで日本を徹底的に破壊し、原
爆まで投下した後に、占領しました。
そして、かなり長期的に(ある意味では現在まで)アメリカ陣営の一員となるよう政治
体制を変えさせたことを、ロシアはウクライナに対して行おうとしている、というもの
です。
しかし、現代世界で、とりわけ情報が世界規模で行き交う状況で、ロシアがウクライナ
を長期的に占領し、体制変革を行うことは、考えられません。
では、客観的にみれば、ロシアは最終的にこの戦争で手痛い敗北を負うことが明らかな
のに、なぜ、侵攻を強行したのかを、いろいろな観点から考えてゆきたいと思います。
というのも、これだけの戦争の背景を、プーチンンの狂気だけで説明することには無理
があるからです。
実際、この問題の根本的な解決を見出すには、私たちは、政治・軍事だけではなく、歴
史的、民族的、国際社会の枠組みも含めて、相当幅広い認識が必要だと思います。