先週届いた「京大短歌20号」を会社の行き帰りやお昼休みに読んでいます。
こういう同人誌や結社誌は、私は散文から読んで歌はあとでじっくり、読みます。 歌はなんとなく雑音のあるときは読めないのです。夜とかひとりの時間でないと、ちゃんと歌に向き合えなくてなんだか悪い気がするのです。
さて、まだ読んでいるところですが、面白いと思ったのは、北村早紀さんと笠木拓さんの「企画 短歌日記」です。 その日のことを短歌に詠んでありますが、そのまえに結構長い日記があって、とても普通なところがいいなぁと思います。
最初、笠木さんがひとりで書いていると思い込んでいて、「〇〇が好き。」という文がいくつか続いて、「阿波野先輩の寝癖が弟にそっくりで、歌会中すこしホームシックになった。」とあったので、「笠木さんって繊細な人だったんだなぁ」と勝手に納得していました。
よく読むと、ふたりで書いていることがわかって、なんだぁと思ったのですが、笠木さんの書いたものにも「このあと手と顔と唇にそれぞれ別のクリームを塗ってから眠る。」と書いてあったので、あ、やっぱり細やかな人だ、と思ったのでした。
そのときは同じような日々の連続だとしても、卒業したり就職したりしたら、もう戻れない学生のころの特別な時間が、ふたりの日記に閉じ込められていて、うらやましいような痛々しいような気がふとしました。
・爪にひとつ星が灯っているうちにフェリーに乗って会いにいくから 牛尾 響 (「京大短歌20号 「フェリーに乗って」」より)
少しずつ楽しみながら歌も読もうと思います。