ほよほよさんぽみちNEW

いつでも君のこと好きだったよ

明るさのなか

2014-09-01 22:31:20 | 日記

 おととい、カヌーを漕ぐのをやめてじっとしていたら、銀色のトンボが飛んできて私の手元にすっととまりました。

 

 あ、とんぼだ、と思って、写真を撮ろうとしたらすいっと逃げていってしまいました。

 

 楽しいツアーの途中も、こわいものがありました。 いま思い出しても身震いのするような、巨大なネコジャラシ。 岩場を恐る恐るあるいているときに、ふとにょきにょき生えているその植物が目にはいってしまい、「ぎゃー」と叫んでしまいました。 私が足を滑らせたかと思って、前を歩いていた人が「大丈夫?」と振り返ってくれたのですが、「いえ、べつに、大丈夫です」といいながら内心ぶるぶる震えていたのでした。

 

 島に渡ったときも、島がちかづくにつれて、岩場にびっしりと貝が貼りついているのが見えてきて、 「上陸できないかもしれない」 と思いました。 実際に着岸した場所には貝があんまりなかったのでなんとか上陸できました。 岩と岩のあいだに小さなプールができていて、「かわいい魚がたくさんいるよ」と呼んでもらったのですが、そこへ行こうとしてなにかへんなものを踏んだ感じがして、足元をみると見たこともない植物のような貝のようなものが壊れていました。

 

 「こ、これはなに?」

 「カメノテ。亀の手みたいでしょ。湯がいて食べると蟹みたいでおいしいよ」

 「食べたい気がおこらない・・・」

 「うしろ、食べ放題なほどあるけど」

 

 振り向くと、大きな岩の群れにびっしりカメノテがついています。 どうも、私は「びっしり」に弱く、気が遠くなりそうになりました。

 

 苦手なものが世の中に溢れているので、たぶん私は無意識のうちに明るいほうへ、光のあるほうへ、きらきらしているものへ心を向けるようにするみたいです。 きらきらしていたら、怖いものは目にはいらないでしょう。 

 

 「無意識のうちに回避しているものに向き合うべきだ」というような指摘をうけて、そうだなぁと思ったけれど、ほんとうにそんなことが私にできるのかなぁと思ったり。

 

  このあいだ、実家へ帰ったときに母から「読んでおいてね」といって、手渡された書類、「はじめて喪主になる方へ」。 ずっと部屋の隅においてあって、一度も読んでいません。 あんなものを読んだら、たぶん心がどんよりして自分のほうがさきに死にたくなるような気がします。

 

 私は自分が生きるために本能的に明るいものを求めているのかもしれません。 悲しくなるようなことを凝視できる人は、強い人なんだなと思います。

 

コメント
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