きのう久しぶりに義父の老人介護施設へ面会に行ってきた。それまでに頼み事をきいていたので、午前中にチェックする。
施設からの請求はすべて私が管理しているので、これまでの収入支出を確認したいということだったので、直近4ケ月分をエクセルに打ち込んで、見やすいように色分けしたりしてまとめた。これで義父にも経済状況が分かってもらえると思う。それから、保険料を払いすぎているので還付申請するのに、本人のサインが要るというので、市から届いた書類に書けるところは書いておく。
15時半。元気そうな義父が面会室に現れた。手にA4の紙を1枚持っている。そこにぎっしりと質問事項が書いてある。
ふつうは4人掛けのテーブルにこちらがわに夫と私、向い側に義父というポジションで座るのだけど、隣に座って説明をしたほうがいいと思ったので、私と義父が並んで座った。
エクセルで作った書類を渡して説明し、市役所の書類にサインをしてもらう。こちら側の用事をまず済ませた。そこから矢継ぎ早に義父がじゃんじゃん質問してくる。
義父「ところで、八十八か所の御朱印の入った掛け軸の虫干しは定期的にしてくれてるのかな」
夫と目があう。そんなこと、これまでに聞いたことがない。しかも、夫は「八十八か所じゃなくて西国三十三か所やろ」という。そこはどうだっていいと思うんだけど・・・
私「そういうこと聞いていなかったので、お義母さんのお葬式のときに掛けて以来、桐の箱に入ったままですけど」と正直に言うと、夫がすかさず、
夫「いまはまだ天候も不安定やし、4月になって天気が続くようになったら虫干しするわ」と言った。ナイスフォロー。
義父「そう。あとね、リビングの壁に設置しているモニター類は定期的に点検してるかな」
え、なにそれ。と思う。そんなこと一度も聞いたことがない。
私「ああ、ソーラーパネルの電気量のモニターですか。普段はみてないですけど、あれは関電から書面でお知らせがきていますのでそれは見ています」
義父「おとなりとの境界に植えてあるキンモクセイだけど」
私 「ああ、キンモクセイのアレルギーがでるから花が咲く前に切ってほしいということでしたね。それはちゃんと切ってますよ」
義父「ダイニングルームの冷蔵庫は誰か使ってるの? 掃除機はどうなってる?」いろいろ気になるんだな。
私 「冷蔵庫はみんなそれぞれの家にあるので、コンセントを抜いてそのままにしていますよ。掃除機はあの家の掃除をするのに必要なのであそこで使っています」
要するに。義父は使えるものは有効に誰かに使ってほしい、ということなのだ。長年のつきあいによりそこは私も理解しているので機嫌を損ねないように対応する。
私たちの答えをメモする義父。
義父「八十八か所の掛け軸だけどね」 2クール目にはいる。夫ももう三十三か所やろとは言わない。
私 「暖かくなったら虫干しする予定です」
義父「いま使っている携帯が使えなくなるって本当?」それはこのあいだ電話で説明したけど、まだ大丈夫と答える。
義父「リビングに設置しているパネルの点検だけどね」
夫 「毎日点検してる」 だんだん2クール目にはいると返答もぞんざいになってくる。
という感じで3クール目になる。
義父「キンモクセイだけどね」
私 「切ってますよ。お義父さん、その質問はもう3回目ですよ。ほら、さっきそこにメモされてるじゃないですか」←手厳しい嫁。
面会の1時間は終わる。帰りの車のなかで、夫が「なるべくなんでも万事うまくやってるって言っといたらええねん。携帯もいつまでも使えるって言うといたら安心するやろ」という。
なるほどね。嘘も方便か。まぁ、高齢者はいろいろ小さなことが大きな不安になるから、安心させてあげることが一番なのだなと思った。わかっているんだけど、つい正直に答えてしまう私なのだった。