きのうは第65回あなたを読む会だった。前回流れ流れてようやく開催。
結構みなさん歌が溜まっていたようで、普段より歌数が多めだった。
10首+11首、15首+9首、16首、16首、13首。私が13首でいちばん少なかった。
やっぱり会って話すと楽しい。私がいいなと思った部分が他のひとには傷に見えたりするところが面白い。評者2名が丁寧に読みこんだのち、残りの2名が流すようにフォローしていく。私がいいと思った歌の評価が低かったりすると、心の中でうひひと思う。もっと悪いこと言って。私があとで巻き返すから。とファイトが湧いてくるのだ。こういうのは長くやっている信頼の上に湧きあがる感情だと思う。
ここがいいんですよ!
確かに稚拙と思える表現ととるか、そのときに湧いた一瞬の臨場感がでているととるかで歌が大きく分かれる。
擬人はだめだとか、ひとつのものさしで測りきってしまいたくない。 私は「本当」が伝わればそれはいい歌だと思う。ここでいう「本当」というのはリアルかどうかということではなく、その人に一瞬兆したものがつかめているかどうか。
あと、やはり先蹤があると魅力が半減するから気を付けたいところだ。似たような発想の歌があったり、〇と▲の組み合わせというのは名歌があるからはずすべきとか。万葉集含む短歌だけでなく、詩や小説、音楽、絵画などいろんなジャンルに詳しい人がいると、恥ずかしい思いをすることもあるけれど、ひとりでやっていてはその恥ずかしいことにさえ気づかない。
それから、今回は、グラシン紙、蕺、アンジェリック、アドニス、キャペリンハット、アザーブルー、ボートネック、カラスムギなど、知らなかった言葉や歌に使ったことのないアイテムがたくさんあっていろいろ調べて楽しかった。長く生きていても知らないことたくさんあるな。
・リンドールのチョコの溢れてくるような切なさあなたがいないここには 藤田千鶴
今回の連作の5首めの私の歌。「リンドールってなに?」と訊かれたりもした。もちろん知っていたひともいたけれど。
写真はきのうの帰りの駅前の風景。青い画用紙にボール紙を貼り付けたようなマンションの珈琲色の側面。建物の間から「おれの出番だぜ」というふうににやりとする存在感のある夏雲。 あしたから7月です。