職場の人が「この本知ってる? 読んでみる?」といって、一昨日、宇佐見りん『推し、燃ゆ』を貸してくれた。
未読だったので、さっそくきのう読んだ。
なんだろう。途中何度も泣く。 これは私じゃないか。と何度も思う。
誰かを強く応援する、それが生きる意味になることがある、ということを私は去年欅坂46にハマッて知った。それまで、「推し」の意味さえ知らなかったし、たぶん興味を持っていなかったせいかもしれないけれど聞いたこともなかった。(ちなみに、グループ全員のファンは「箱推し」という)
私は推しのメンバーたちの親世代だけれど、もし、10代にハマッていたら、この主人公のようになっていたかもしれない、と思う。
しかも、この小説がいいのは、そういう世代だけのテーマじゃなく、家族や世代や、学校や社会やいろんなものを内包しているところだ。母娘のこと、姉妹のこと、バイト先のこと、あらゆるシーンに見覚えがある、と思ってしまう。私も抱いたことのある感情が、もう忘れてしまうくらい深い場所に沈めていたものへ一気に通じるボタンがそこらじゅうにあって、引き込まれてしまうというより、忘れていた自分に会うという気がする。
自分に推しがいてもいなくても、惹かれると思う。終わり方もよかった。
一気に読んだけど、自分でもほしいので買うつもり。(人の本だから読みながら付箋が貼れなかった)
詳しく書くとネタバレになってしまうから深くは書かないけれど、私はとてもいいと思った。
164回芥川賞を受賞している。