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 年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

福神漬物語 15

2009年11月07日 | 福神漬
しょうゆの事件報道の始まり

明治42年11月2日 大阪朝日新聞
この頃は中国ハルピン駅で暗殺された伊藤博文の国葬の報道がにぎわしていた。
後日談から何者かが大阪朝日新聞に内部情報を提供し、警察に通報したようである。
醤油にも劇薬
▲ (大阪)警察本部の検挙
先に清酒中に防腐剤として劇薬のホルマリンを使用するものあり、その筋の知るところとなり、多量の廃棄を命じられたが近頃に至り某会社の製造販売する醤油中にも甘味をつけるために薩可林(サッカリン)を用いたる上、さらに防腐剤としてホルマリンを使用していると警察本部において探知し二三日前より衛生課の二三の技師は(大阪)西署その他と協力して販売店につき現品押収の上分析に付したるがその結果はなお不明なるも製造元はこのために大恐慌を起こし、一方現品の隠匿に努めると同時に『サッカリンその他を混入したものはわずかに販売店に配布したる見本品7樽に限りにして、これは顧客に一々試味を受ける際に甘くなくては悪い品のように思われるため止む得ず混入したものであって、ひとつの販売政策に過ぎず、その証拠に他の商品及び倉庫貯蔵の何千万石には一滴も左様のものは混じっておらず、何分将来の信用上にも重大の関係を及ぼすことなれば十分秘密の間に調査されたし』云々を半ば自白的に願い出でたるも、もちろん信用すること出来ねば(11月)一日技師数名は製造場に臨検した。一説には会社の製造法が不備のため多数の腐敗を見るに至ってこれにホルマリンを入れて無理に腐敗を止めて、年末前の売れ行きを見込んで法外の安値で発売を試みたるものと言える。とにかくこうも飲食物に劇薬や有害物が放り込められるようでは少しも安心することは出来ず当局者の厳重な取り締まりが望ましい。

この当時は保健衛生の管轄は警察であった。技師とは警察の技師である。今では保健衛生は保健所の管轄であるが表示偽装問題は警察の生活安全課の担当となる。
明治42年11月3日 大阪朝日新聞
不正醤油の検挙続報 ▲1600挺の押収 
▲ 会社内の混乱
醸造元の本体
昨紙(11月2日)醤油にも劇薬と題して某会社が醸造の醤油に甘味料として、薩可林(サッカリン)を混入した上腐敗を防ぐため劇薬ホルマリンをも混入し乱売したのがこのほど発覚し大阪警察本部の手において検挙中の趣き記載したが某会社とは日本醤油醸造株式会社のことにして資本金一千万円、本社及び第一工場を東京深川区小名木川通に、第二工場を摂津尼崎町に置き、かの大伏魔殿たりし大日本精糖の前身日本精糖の社長だった鈴木藤三郎氏が最近の学問を応用して従来は早くて十ヶ月遅ければ二年内外の時日を要していた醤油界のレコードを破り、わずか二ヶ月内外において完全なる醤油を生産しうると呼号し社長兼技師長となり、(目下は社長を辞して取締役兼技師長)八万五千坪の広大なる敷地内に建設した工場において一ヵ年24万石以上生産の予定でどしどし醸造していたものである。
 
食品業界の不祥事の言い訳は昔と今もあまり変わらない。醤油の価格低下と品質向上なくては福神漬普及に繋がってくる。

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