番外編「ドイツ・フランスの旅」が終ったと思ったらまた遠出の話なので、遊んでばかりいるのではないかと思われかねないのですが、冬休みだからお赦しいただくことにして、水曜日から1泊で「故郷」ベルンに9月25日以来の里帰りをしてきました。師匠フォレンヴァイダー教授ご夫妻が、ベルンのお宅に招待してくださったので、そのついでに1泊して、懐かしい町を散歩して歩こうという趣向です。
ベルンには列車で行ったのですが、スイス鉄道(SBB)は12月12日から大幅なダイヤ改正ならびに運賃値上げを実行しました。その宣伝に今SBBは一生懸命です。
冒頭の写真はその一つで、これは家の近くの通りに建てられている大看板。「チューリヒとベルンがなんと58分」というのが宣伝文句です。
以前は1時間10分程度かかっていたチューリヒ・ベルン間を時間短縮すべくSBBは、新たな線路をひいて、約10分の短縮に成功しました。より速く、より便利に、という、鉄道会社ならどこでも思いつきそうなモットーをSBBはまじめに実行しようとしたわけです。
しかし、それがタダで済むはずもなく、ましてやここはスイスです。当然その代償を払うのはお客なわけで、ダイヤ改正と同時に運賃も「改定」されました。以前は、チューリヒとベルンを2等車で往復すると77フラン(今のレートなら7000円弱ってところ)だったのが、90フラン(8100円強)になったのです。(参考までに: 1等車で往復すると150フラン=約13500円します。)
77フランでも暴利のような気がしますが(新大阪から名古屋まで「のぞみ」に乗れば確かに6500円くらいするけど、乗車券だけならその半額。SBBには特急料金はなく、これが乗車券代)、それをまた90フランにまで上げるとは。
実際には、たいていのスイス人はこの料金で乗ることはないでしょう。「半額パス」なるものがあり、1年有効で150フラン(13500円くらい)のこのパスを買えば、ほとんどの路線で半額になるからです(我々も持っています)。ということは、このパスを持たない旅行者などが、正規料金を払う破目になるのでしょう。日本からの旅行者はたいてい、ユーレールパスやスイスパスなどを持っていますから、そういう目に遭うことはないと思いますが。いずれにせよ、もともととんでもなく高い鉄道料金がまた値上げされたわけです。
こんなに値上げしておいて、ベルンまで10分早く着けるくらいがなんだ!と思っていました。1時間を切ることがそんなに大事なのかと。スイス人にしては珍しいせっかちな話だなぁとも思っていました。
しかし、実際に乗ってみると、1時間10分が58分に縮まるのは結構大きな違いに感じられます。え、もう着くの?ってな感じです。師匠フォレンヴァイダー教授もそうですが、ベルンとチューリヒの間を行ったり来たりしている人たちには結構意味のある時間短縮なのでしょう。それに応じて、ローザンヌやジュネーヴといったフランス語圏まで行く時間も短縮されているわけで、便利になったのは間違いない。しかし、国全体で九州くらいの大きさしかないスイスの中で10分短縮ってのは、やっぱりコストに見合ってないような気がしてなりません。
それよりも、ベルンとチューリヒを結ぶ Intercity (特急)が1時間に2本しかないってこと自体をまず考え直したほうがいいのではないでしょうか。東京と新大阪を結ぶ新幹線の数といい勝負なんですから。まぁ、乗客の数がそもそも違うけど。
などとぶつぶつ言っている間に、我々の乗った Intercity は早くもベルンに到着しようとしていました。(続く)
ベルンには列車で行ったのですが、スイス鉄道(SBB)は12月12日から大幅なダイヤ改正ならびに運賃値上げを実行しました。その宣伝に今SBBは一生懸命です。
冒頭の写真はその一つで、これは家の近くの通りに建てられている大看板。「チューリヒとベルンがなんと58分」というのが宣伝文句です。
以前は1時間10分程度かかっていたチューリヒ・ベルン間を時間短縮すべくSBBは、新たな線路をひいて、約10分の短縮に成功しました。より速く、より便利に、という、鉄道会社ならどこでも思いつきそうなモットーをSBBはまじめに実行しようとしたわけです。
しかし、それがタダで済むはずもなく、ましてやここはスイスです。当然その代償を払うのはお客なわけで、ダイヤ改正と同時に運賃も「改定」されました。以前は、チューリヒとベルンを2等車で往復すると77フラン(今のレートなら7000円弱ってところ)だったのが、90フラン(8100円強)になったのです。(参考までに: 1等車で往復すると150フラン=約13500円します。)
77フランでも暴利のような気がしますが(新大阪から名古屋まで「のぞみ」に乗れば確かに6500円くらいするけど、乗車券だけならその半額。SBBには特急料金はなく、これが乗車券代)、それをまた90フランにまで上げるとは。
実際には、たいていのスイス人はこの料金で乗ることはないでしょう。「半額パス」なるものがあり、1年有効で150フラン(13500円くらい)のこのパスを買えば、ほとんどの路線で半額になるからです(我々も持っています)。ということは、このパスを持たない旅行者などが、正規料金を払う破目になるのでしょう。日本からの旅行者はたいてい、ユーレールパスやスイスパスなどを持っていますから、そういう目に遭うことはないと思いますが。いずれにせよ、もともととんでもなく高い鉄道料金がまた値上げされたわけです。
こんなに値上げしておいて、ベルンまで10分早く着けるくらいがなんだ!と思っていました。1時間を切ることがそんなに大事なのかと。スイス人にしては珍しいせっかちな話だなぁとも思っていました。
しかし、実際に乗ってみると、1時間10分が58分に縮まるのは結構大きな違いに感じられます。え、もう着くの?ってな感じです。師匠フォレンヴァイダー教授もそうですが、ベルンとチューリヒの間を行ったり来たりしている人たちには結構意味のある時間短縮なのでしょう。それに応じて、ローザンヌやジュネーヴといったフランス語圏まで行く時間も短縮されているわけで、便利になったのは間違いない。しかし、国全体で九州くらいの大きさしかないスイスの中で10分短縮ってのは、やっぱりコストに見合ってないような気がしてなりません。
それよりも、ベルンとチューリヒを結ぶ Intercity (特急)が1時間に2本しかないってこと自体をまず考え直したほうがいいのではないでしょうか。東京と新大阪を結ぶ新幹線の数といい勝負なんですから。まぁ、乗客の数がそもそも違うけど。
などとぶつぶつ言っている間に、我々の乗った Intercity は早くもベルンに到着しようとしていました。(続く)