牛図鐔 西垣勘平
牛図鐔 無銘西垣勘平
松樹を背にして、のんびりと草を食む牛の様子を描いた作。無銘ながら勘平の特徴が現われている。密に詰んだ鉄の地相に時代の上がる肥後の強みがあり、松樹の意匠構成も住吉図と同じ。鄙びた図柄を素朴な構成線によって透かし去り、要所に毛彫を加えている。
古風な地鉄に美観を見出した初二代とは異なるものを求めたのが勘平であると思う。だが決して写実的ではないし、精巧精密な彫刻を目指したとも思われない。肥後独特の風合いを活かしつつも、新味を効かせた透かしの構成を生み出している。松樹に、鳥居や波、あるいはこのような牛を組み合わせるという指向も、次回以降に紹介する桐や唐草にも、初二代にはない優れた構成美がある。勘平の感性は頗る優れていることを敢えて述べておく。□
牛図鐔 無銘西垣勘平
松樹を背にして、のんびりと草を食む牛の様子を描いた作。無銘ながら勘平の特徴が現われている。密に詰んだ鉄の地相に時代の上がる肥後の強みがあり、松樹の意匠構成も住吉図と同じ。鄙びた図柄を素朴な構成線によって透かし去り、要所に毛彫を加えている。
古風な地鉄に美観を見出した初二代とは異なるものを求めたのが勘平であると思う。だが決して写実的ではないし、精巧精密な彫刻を目指したとも思われない。肥後独特の風合いを活かしつつも、新味を効かせた透かしの構成を生み出している。松樹に、鳥居や波、あるいはこのような牛を組み合わせるという指向も、次回以降に紹介する桐や唐草にも、初二代にはない優れた構成美がある。勘平の感性は頗る優れていることを敢えて述べておく。□