西脇市郷土資料館では、夏季企画展として『多井隆石―絵を描く日々―』を8月3日~11月4日の会期で開催されています。
多井隆石(本名・与三郎)さんは、西脇市富吉南町出身で、明治から昭和を生きた日本画家として有名な方です。兵役時に訪れた朝鮮金剛山(クムガンサン)の奇観に見せられ、退役後は大阪の南画家姫島竹外のもとで学び、「隆石」の号を与えられたそうです。山水画を中心に見事な作品を残されています。今回、遺族の方からの寄贈を受け、企画展を開催されたようです。
多井隆石さんの作品の多くは四季の移り変わりを描かれた山水画ですが、花や鳥、虫などを鮮やかな色彩で描いたりしています。全国各地を訪れられ、写生帖も数多く残されています。今回の企画展会場入り口には、写生帖の一部をビデオで紹介してくれています。私も、ゆっくりと見せていただきました。
また、多井隆石さんは、高野山とのかかわりも深く、仏画にも取り組まれていたようです。「弘法大師入定御影図」や「如来図」は見事でした。会場には、多井隆石さんが描かれた屏風図や掛け軸が数多く展示されていました。西脇市が生んだ日本画家として、多くの方に知っていただきたいと願っています。