6月16日(月)、私が所属する総務産業常任委員会が開催され、本会議で負託を受けた議案3件の審査を行いました。3件とも全員一致で可決すべきものと決しました。
また、市民の方から出されていた『刑事訴訟法の再審規定の改正を求める意見書の提出』に関する請願の審査を行いました。最初に、請願者より、請願理由として「再審法の不備により、裁判所の裁量に寄ることや検察の不服申し立て等により再審開始まで長い年月を要すること、検察が持っている証拠開示の必要性とともに検察による証拠の捏造が行われていること等」が分かり易く説明されました。
委員間での意見交換でも、先日、無罪が確定し検察官が謝罪した袴田事件等のえん罪事件を踏まえ、全員一致で請願が採択されました。請願採択を受け、意見書を正副委員長が中心となって作成し、午後の常任委員会で了解されました。6月25日の本会議で意見書が採択される予定です。総務産業常任委員会で可決された意見書を紹介します。
『刑事訴訟法の再審規定の改正を求める意見書』
再審制度は、三審制のもとで確定した有罪判決について、一定の重大な瑕疵があった場合にこれを是正し、有罪判決を受けた者を救済する非常救済手続である。
えん罪は有罪とされた者や家族の人生に大きな影響を及ぼし、時にはその生命をも奪いかねない最大の人権侵害である。えん罪の発生を防ぐことはもちろん、不幸にしてえん罪が発生した場合には人権救済の観点からも速やかに救済することは国の基本的責務であり、再審制度は重要な意義を持っている。
通常審については、戦後間もなく刑事訴訟法が改正され、刑事手続における基本的人権の保障と公正な裁判を実現するべく詳細な規定が
置かれたほか、近年でも、証拠開示制度の整備、国選弁護制度の拡充、
取調べの録音・録画等刑事手続の改善が進められている。
しかし、再審手続について定める刑事訴訟法第4編(再審法)は、戦後の法改正から取り残された結果、今なお戦前の規定がほぼ踏襲され、審理手続を具体的に定めた規定はないに等しい状態にある。
また、過去の多くのえん罪事件では、警察や検察庁といった捜査機関の手元にある証拠が再審段階で明らかになり、えん罪被害者を救済するための大きな原動力となっているが、現状では捜査機関の手元にある証拠を開示させる仕組みについて、現行法に明文化された規定がなく、再審請求手続において証拠開示がなされる制度的保障はない。そのため、裁判官や検察官の対応いかんで、証拠開示の範囲に大きな差が生じているのが実情であり、これを是正するためには、証拠開示のルールを定めた法律の制定が不可欠である。
さらに、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについては、これにより誤った再審開始決定が是正されている事案も存在するものの、不服申立てによって更に審理が長期化し、えん罪被害者の救済が遅延することが指摘されるとともに、検察官は不服申立てによらずとも、再審公判において主張の機会が保障されており不都合はないとの見解もある。
えん罪は減らすことはできても無くなることはない。慎重な裁判を行うことでその誤りを防ぐ三審制が採用されているにもかかわらず、幾つもの再審無罪判決が出されてきたことを考えれば、再審に係る確固たる手続規定が整備されなければならない。
ついては、国におかれては、えん罪被害者を迅速に救済するため、刑事訴訟法の再審規定の改正を速やかに行うよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。