政治、経済、映画、寄席、旅に風俗、なんでもありの個人的オピニオン・サイト
とりがら時事放談『コラム新喜劇』



ターミナルへ入って行くと、こちらを向いてニコニコしながら手を振っているガイドさんを発見した。
16ヶ月前にたった5日間ガイドをしてもらっただけなのに、しっかりと私を覚えてくれていたのだ。
よっぽど私の印象が強烈だったのだろう。
もちろん「ブラビにそっくりの○○さん」などと、覚えてくれていたのではないだろう。
「インドの王様の墓へ行きたいんですけど」とか、ガイドさんはおろか旅行社の人も知らないような場所へ行って見たいとワガママを言ったり、レストランで自分のオーダーしたものより、ガイドさんのオーダーした料理の方が美味しそうだったので「それ、ちょっと食ってみていいですか?」と他人のものを平気で食べようとしたことなどとかが、強烈な印象を与えていたに違いないのだ。

でも、ガイドさんは私に再会できたことをとても喜んでくれたのだった。

たった16ヶ月の間にヤンゴン国際空港は随分様変わりしていた。
まず、イミグレーションのデスクが増設されていたのだ。
去年はたしか2つしかなく、カウンターに座った番台のオヤジ風の審査官がトロトロと仕事をしていた。このトロトロした仕事のために恐ろしく長い行列ができていたのが印象的だった。
おれが今年は6つもカウンターがあったのだ。
えらい進歩だ。
そして、アライバルビザの発行も立派な事務所で受けられるようになっていた。
昨年は「太陽にほえろ」に出てくるような、しょぼ~い取調室のような狭い場所でビザのハンコを頂戴したのだったが、今年は事務所に入る必要もなく、ガイドさんが全てを代行してくれたのだった。

で、去年と同じくイミグレーションデスクを通過せず、アライバルビザ取得者の特権(?)として列を飛ばし、あっという間に入国完了と相成ったのだった。

帰国してから知ったのだが、この大規模なヤンゴン国際空港のターミナルビルの改修増築工事は日本からの無償援助45億円を使って実施しているものであった。
私たちの血税が使われて作られている空港なので、日本人はもっと堂々と利用しよう。
アジア(大嫌いな中国も含む)のほとんどの空港はメイド・バイ・ジャパニーズ・マネーのような気がするのだが、どの国からも感謝の言葉が聞かれないのはどういうわけか?
私は外務省のアホ官僚共に訊いてみたいと思った。

入国手続きは5分で完了したが、預けた荷物がコンベアから出てくるまで40分以上もかかってしまった。
これでは早く入国した価値がまったくないではないか。
あまり時間がかかるので、コンベアの出口のカーテンに頭を突っ込み、どうなってんのかと中を覗いてみると、さすがミャンマーの男性作業員である。
トロトロと嫌々重い荷物を航空機用コンテナから下ろしてコンベアに乗せている姿が目に入った。
この「ミャンマーの男は働かない」という姿は、前回もそうだったが、今回も嫌というほど目撃することになった。
そんなこんなで、荷物が揃い、タクシーに乗り込んだ時は飛行機が着陸してから一時間以上も時間が経過していたのだった。
しかし、久々のミャンマーだ。
なんとなく嬉しい。
ガイドさんと楽しい無駄口をたたきながらヤンゴン市内へと車を走らせた。
そして「明日の列車旅行が楽しみなんです」と私が言うと「私も列車に乗ってスルーでお客さんを案内するは初めてなんです」とガイドさんもワクワクした雰囲気だ。
そう、これから起こる過酷な運命も知らず、能天気にはしゃいでいる私たちなのであった。

つづく

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )